次のビッグテーマ(グローバル):2024年4月
リチウム&バッテリーテクノロジー
リチウム価格が再び上昇へ
世界のリチウム価格は、4月上旬に年初来で初めてプラスに転じ、安定化の兆しを見せました1。中国では、炭酸リチウムの価格が4月10日現在、前年比15%上昇し、トン当たり15,550米ドルで取引されています2。また、世界の電気自動車(EV)販売台数が2024年に前年比27%増の1,750万台になると予測されていることも、価格にとってプラスになります3。この規模のEV販売台数の高騰は、旺盛なEV需要に依存するリチウム価格をさらに押し上げることになるでしょう。供給面では、米エネルギー省が、リチウム・アメリカズのネバダ州サッカー・パス鉱山の開発を支援するため、リチウム・アメリカズに22億6,000万ドルを融資することに条件付きで合意しました4。この融資は、現在29.3億ドルと見積もられているプロジェクトの初期段階に必要な資金の大半を賄うものになります5。同社は2027年に生産を開始する予定のこの鉱山で、年間4万トンのバッテリーグレード炭酸リチウムを生産することを目指しており、これは80万台の電気自動車(EV)に供給できる量に値します6。サッカー・パスは北米最大のリチウム埋蔵量を持ち、国内のリチウム・電池サプライチェーンの強化に大きな役割を果たすことが期待されます。
人工知能(AI)
テック大手、AI投資を強化
アマゾンは、OpenAIのライバルとも言われる程有望なAIスタートアップ、アンソロピックに企業価値184億ドルの評価で27.5億ドルを追加投資します7。アマゾンのアンソロピックへの出資総額はこれで40億ドルとなり、アマゾンにとって最大の外部ベンチャー投資となります8。今回の投資は、アンソロピックがマルチモーダル能力に優れたAIモデル群Claude 3を発表した直後に行われました。Claude 3は、様々な教育レベルの知識や推論、基礎数学など、様々なベンチマークテストでOpenAIのGPT-4やグーグルのGemini Ultraを上回っていることが報告されています9。契約の一環として、アンソロピックはクラウドサービスにおいてアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を優先的に選び、同社の基盤モデルの開発と展開にアマゾンの半導体チップを利用します10。この契約は、テック大手によるAI投資強化の傾向の継続を示すもので、投資額は2022年の44億ドルから2023年には246億ドルに急増しました11。エヌビディアが最近、これまでで最も強力なAIプロセッサーであるBlackwell GPU Architectureを発表したことも、AI技術競争の激化を示す一例と言えます12。
米国インフラ
CHIPS法、新しい半導体施設建設に資金援助
米国商務省は、アリゾナ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、オレゴン州における半導体施設建設のために、CHIPS法から85億ドルをインテル社に割り当てるという法的拘束力のない暫定合意をしました13。2万人の建設雇用を支援することが期待されるこの4つのプロジェクトは、今後5年間で米国における半導体チップ生産能力を拡大するために1,000億ドル以上を投資するというインテル社の計画の一環です14。インテル社は最大110億ドルのCHIPS法融資を追加で受けることができ、特定の資本支出の25%を賄う税額控除を受けることができます。インテル社への資金援助は、CHIPS法ではこれまでで最大のものとなります15。ナショナル・グリッドは、ニューヨーク州北部の送電網を改善するために40億ドルを投資すると発表しました16。6年間で70のプロジェクトが、異常気象に対する送電網の耐性を強化し、再生可能エネルギーを促進することになります。1,000マイル(約1,609km)以上の送電線が整備される予定です17。このような投資は、老朽化し寸断された電力インフラを近代化し、エネルギー転換を促進するでしょう。
ソーシャルメディア
レディットのIPOがソーシャルメディアセクターを再び盛り上げる
3月21日の新規株式公開(IPO)でレディットの株価は48%急騰し、2019年のピンタレスト以来の主要ソーシャルメディアIPOとなりました18。レディットの革新的なAIの収益化は、ユーザーデータが豊富なソーシャルネットワークにとって、従来の広告を超える新たな収益機会を指し示すものであり、このマイルストーンはコミュニティベースプラットフォームの新時代の到来を示唆しています。例えば、レディットは、2-3年間で契約総額が2億ドルを超える複数の取引に合意しており、今後データライセンスからの増収を見込んでいます19。同社は2024年にはデータライセンス契約から約6,600万ドルの収益を得る見込みとなっています20。その中でも、グーグルの親会社であるアルファベットとレディットの提携拡大により、グーグルはAIモデルを訓練し、自社製品を改善するためにレディットのデータにアクセスできるようになりました21。この戦略的パートナーシップは、このような収益化努力の実行可能性を検証し、ソーシャルメディア内での継続的な成長の舞台を整えるものとなるでしょう。
ゲノミクスとバイオテクノロジー
2024年初頭、ゲノム医療とバイオテクノロジーの承認と契約が急増
米国食品医薬品局(FDA)は現在、26のゲノム医薬品を承認しており、すでに販売されている医薬品の承認拡大を続けています22。FDAは直近では、バーテックス社とCRISPRセラピューティクス社の遺伝子編集治療の承認を拡大し、β-サラセミアも含めるようにしました23。今回の承認拡大は、鎌状赤血球症(SCD)治療薬Casgevyの最初の承認から6週間後、予定より2か月以上早く行われました。Casgevyの売上は好調に推移することが期待され、2028年には27億ドルに達すると予想されています24。FDAは最近、固形腫瘍に対する初のCAR-T細胞療法も承認しました。歴史的に、CAR-T治療の承認は血液ベースのがんに限られていたため、今回の承認により、より幅広いがん種に門戸が開かれることになります。ゲノムとバイオテクノロジーの技術革新が進んでいることは、M&Aも加速させています。ギリアド・サイエンスは最近、肝疾患ポートフォリオを強化するため、CymaBay Therapeuticsを43億ドルで買収しました25。
クリーンテック
クリーンエネルギー推進のために業界リーダーが協力
マイクロソフト、グーグル、ニューコアの3社は、先進原子力、次世代地熱、長期エネルギー貯蔵など、24時間365日稼働するクリーンエネルギー技術を推進することを目的とした「先進クリーン電力」イニシアチブを発表しました26。この施策は、この種のプロジェクトのリスクを軽減し、効率を高めることを目指しており、風力や太陽光エネルギーの不安定性を考慮すると、長期的なエネルギー貯蔵がより環境に優しい電力網への移行に不可欠であることに注目しています。初期のパイロット・プロジェクトに関する情報提供の要請が出されており、応募者は4月中旬までに提出を求められています。選定されたプロジェクトの電力購入契約は、2025年初頭までに完了する予定です27。さらに、米エネルギー省は、アルミニウム、セメント、鉄鋼などのエネルギー集約型産業の脱炭素化に焦点を当てた33のプロジェクトに60億ドルの資金提供を発表しました28。金属リサイクルから水素を燃料とする鉄鋼生産まで、これらのプロジェクトは、年間CO2排出量を1,400万トン削減することを目指しており、これは300万台のガソリン車の排出量に値します29。
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