次のビッグテーマ(グローバル):2024年5月
人工知能(AI)&テクノロジー
成長と拡大を続けるAIインフラ・エコシステム
ハイパースケーラー(大規模クラウド運営企業)は、少しずつ自社製AIチップを優先するようになっています。メタ社は、Facebook、Instagram、WhatsAppのAIアプリケーションで増大するコンピューティング需要を管理するために設計された最新のAIアクセラレーター・チップ、Artemisを発表しました1。TSMC(台湾積体電路製造)によって製造されたArtemisは、メタ社の初期プロセッサーの3倍のパフォーマンスを提供し、メタ社のエヌビディア製チップへの依存度を減らし、エネルギーコストを削減します2。企業の需要が高まる中、インテルも最新のAIチップ、Gaudi 3を発表しました。報道によると、Gaudi 3は、ChatGPTのようなGPT言語モデルを学習させたH100 GPUよりもエネルギー効率が2倍以上高く、1.5倍の速さでAIモデルを動かすことができます3。さらに、インテルは2027年もしくは2028年開設予定のオハイオ州の新工場でAIチップを製造する予定です4。エヌビディアとAMDはその顧客となるかもしれません5。グーグルは、データセンターでのAI運用をサポートするために、Axionと名付けられた独自のカスタムArmベースのCPUチップを開発しています6。グーグルはまた、AIアクセラレーション用のグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)に代わるテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)を強化し、より集中的なAI業務をサポートしています7。
防衛テクノロジー
防衛システムを進化させる次世代ミサイル技術
レイセオンは、SM-2 Block IIICU と SM-6 Block IU の2種類のミサイルを開発するため、3億4,400万ドルの契約を締結しました8。両種類とも、ミサイルを標的に誘導するための高度な電子機器とソフトウェアを含む、新設計の共通誘導部を搭載しています9。これらの機種は、新しい標的探知装置、独立した飛行誘導システム、そして統合された電子ユニットも備えています10。これらのシステムを統合することで、両ミサイルを単一の生産ラインで製造することが可能となり、柔軟性、拡張性、コスト効率を高めることに繋がります11。このイニシアチブは、レイセオンが米海軍とその同盟国のための重要な兵器システムの生産速度と生産効率を高めることを可能にする、著しい進歩を示しています。さらに、このイニシアチブは、米国の海外同盟国へ標準ミサイル能動レーダー技術を初展開することも意味しており、防衛協力の新時代の到来を告げるものでもあります12。ロッキード・マーチンのオーストラリア部門はまた、敵のミサイルや航空機を迎撃することで、将来の防空の基盤となると考えられている同国の統合航空戦闘管理システム(JABMS、Joint Air Battle Management System)を構築するため、3億2,000万米ドルの契約を締結しています13。
クラウドコンピューティング
生成AIがクラウドコンピューティングの収益を急増させる
大手テクノロジー企業のアマゾン、アルファベット、マイクロソフトの第1四半期のクラウドコンピューティング収益は、2023年にみられたITコストの適正化策による減速の後、AI関連投資への企業の積極的な支出に牽引され、回復しました。マイクロソフトのAzureクラウド部門は前年比31%増(前四半期は30%増)となり、このうち7ポイントがAIによるものでした14。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は前年比17%増と再加速し、グーグルのクラウド収益は28%増の95億7,000万ドル、同部門の営業利益は4倍超の9億ドルとなりました15,16。基盤クラウドインフラは、企業が長期投資を受け入れるようになるにつれ健全な成長を見せており、これが生成AIの下流での普及を後押しすることが予想できます。ハイパースケール・クラウド・ソリューション・プロバイダーは、2024年、2025年も堅調な推移が予想されており、恩恵を受ける良い位置にあると考えられます。また、より広範なクラウド・ソフトウェア・エコシステム、データ管理プラットフォーム、サイバーセキュリティのような重要なソリューションを提供するベンダーにもポジティブな影響を与えると、Global Xは予想しています。
ロボティクス&人工知能(AI)
急速な進化を見せる新型ヒューマノイド(人型ロボット)
ボストン・ダイナミクス社は、従来の油圧式モデルのヒューマノイドAtlasの引退を発表した翌日に、全電動式のヒューマノイドである新型Atlasを発表しました17。このロボットは、強度、器用さ、敏捷性を高める旋回可能な関節を備え、可動域が大幅に向上しています18。このような改良により、危険な作業や反復作業により適したロボットになりました。新型Atlasは旧型同様、人間に近いフォルムをしているものの、ボストン・ダイナミクス社はAtlasのタスク遂行のために動作効率を最適化することで、その動作が人間の能力を超えることを目指しています。旧型Atlasの動作は人間ができる動きに限られていました19。アップル社もまた、家庭用ロボットや、ロボティクスを利用してディスプレイ画面を調整する卓上型デバイスの開発を模索しています20。まだ初期段階にあるこの構想の全容は不明ですが、ロボティクスによってアップル社が消費者の家庭により大きな足場を築き、人工知能の進歩を資本化できるようになる可能性があるとGlobal Xは考えています。
クリーンテック
AIとデータセンターの需要が高まる中、再生可能エネルギーに注目が集まる
マイクロソフトは、ブルックフィールド・アセット・マネジメント社およびその関連会社、ブルックフィールド・リニューアブル社との間で、再生可能エネルギー容量を増強するために100億ドル以上のパートナーシップを結びました21。この契約は、この種の取引としては最大規模で、風力、太陽光、革新的なカーボンフリーのエネルギー源の開発に注力します22。ブルックフィールド社は、2026年から2030年の間に、米国とヨーロッパで10.5ギガワット(GW)の再生可能エネルギーをマイクロソフトに供給します23。この10.5ギガワットは、世界有数のデータセンター・ハブであるバージニア州北部のデータセンターが現在使用している3.5ギガワットの3倍に値します24。このイニシアチブは、AIの進歩、半導体とバッテリー生産の拡大、国産車の電動化により電力需要が急増している米国において、重要な時期に締結されたと言えます。10年間安定的に消費されてきた米国の総電力消費量は、10年後までに20%増加すると予測されています25。
ゲーム&eスポーツ
ゲーム業界は成長加速のために広告に注目
ロブロックスは、F2Pゲーム(基本プレイが無料なゲーム)を収益化するための最新の動きとして、動画広告を使ったバーチャルビルボードを導入しました。ウォルマートやワーナー・ブラザーズなどのブランドを宣伝するこれらの広告は、現実と同じように表示され、同プラットフォームのDAU(デイリーアクティブユーザー)7,150万人の半数を占めるZ世代ユーザーをターゲットにしています26。この動きは、収益多様化の手段として広告を利用するゲームプラットフォームの増加傾向に沿ったものと言えます。IAB(双方向広告業界団体)の調査によると、ゲーム内広告は、デジタルビデオと並んで、投資成長分野の上位に挙げられています。特に、調査対象となった広告主の86%は、広告は重要性が高まっている分野であると言い、40%は来年、ゲーム広告への支出を増やす計画があることを明らかにしています27。米国でのゲーム人気が上昇し続ける中、すでに2億1,300万人のゲーマーがいる同市場では、ゲーム広告が広告主にとってますます有力なプラットフォームになることが予想されます28。ゲーム内広告費は、2024年の85億ドルから、2027年には115億ドルに達すると予測されています29。
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