次のビッグテーマ(グローバル):2024年3月

ロボティクス&人工知能(AI)

新たな投資でヒューマノイド(人型ロボット)の成長が加速

ロボティクスのスタートアップ企業であるフィギュアAIは、エヌビディア、マイクロソフト、オープンAI、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスの投資会社ベソス・エクスペディションズ、アマゾンのインダストリアル・イノベーション・ファンドなどの著名企業から、26億ドルの評価額で6億7500万ドルを調達することに成功しました1。この取引の一環として、フィギュアAIはオープンAIと提携してヒューマノイド用の次世代AIモデルを開発し、AIのインフラ、トレーニング、ストレージにはマイクロソフトのAzureクラウドサービスを利用します2。2022年に設立されたフィギュアAIのロボット「Figure 01」は、2本の脚と5本の指を持つ手を使い、物体を正確に移動・操作することができます3。テスラは、歩行速度が旧型より30%速い時速1.34マイルを記録したヒューマノイド「Optimus」改良版を披露しています。Optimusはいずれ、時速5マイルでの歩行が可能になると予想されています4。最近の技術の進歩と生産コストの低下により、2035年までに工場、物流センター、オフィス、高齢者施設、家庭など、様々な環境で1億台以上のヒューマノイドが稼働するとGlobal Xは予測しています5

電気自動車(EV)

世界のEV販売と生産は底堅く推移

2023年、EVバリューチェーン全体に逆風が吹いたものの、2024年1月の世界のEV売上(バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッドを含む)は110万台となり、前年比で69%増加し、月間で世界新記録を達成しました6。中国での売上は倍近くまで増加し、新たに668,000台のEVが登録されました。これは新車登録の約32%にのぼります7。北米の売上は41%増、欧州の売上は29%増となりました8。2023年下半期には、米国で約1,100箇所の公共急速充電EVステーションが増設されました9。これにより急速充電EVステーションは前年同期比16%増となり、米国にあるガソリンスタンド16箇所につき1箇所に急速充電EVステーションがある計算になりました10。トヨタは、ケンタッキー州の工場に13億ドルを投資し、電気SUVをはじめとするEVを生産する計画を発表しました。ゼネラルモーターズは2024年に、シボレー・エクイノックスEVとキャデラックLYRIQの2種類のEVを含む、4つのモデルを韓国のラインナップに追加する予定です11。中国の自動車メーカーBYDも最近、フェラーリなどのハイエンドモデルに匹敵する時速192マイルを出す新しい電動スーパーカー、U9を発表しました12

人工知能(AI)&テクノロジー

生成AIがオーディオとビデオの両分野で大きく進歩

オープンAIは、テキストの指示からリアルな映像を作成できる新しい動画生成モデル、「Sora」を発表しました。テキストを動画に変換するこのモデルを使用することで、文章で書かれたプロンプトから最長1分の写実的な動画を生成することができます13。また、静止画像に基づいて動画を生成したり、既存の動画に欠けているフレームを埋めたり、動画を拡張したりすることもできます14。アドビは、テキストの説明や参考メロディーから音声を作成できる多機能プラットフォーム「Project Music GenAI Control」を発表しました15。このプラットフォームでは、テンポ、強度、パターン、全体的な構成などの主要要素を細かく設定することができます。トラックを任意の長さに拡張することもでき、リミックスやシームレスなループ素材の作成も可能になります16。オープンAIの既存モデルに関する最新情報には、金融サービス企業クラルナのAIチャットボットアシスタントがあり、このチャットボットアシスタントは初月にフルタイムのエージェント700人分に相当する230万件の会話を処理しました17

水素テック

世界の水素テック産業は規模拡大の準備ができている

欧州委員会の第1回欧州水素バンクに対する圧倒的な反応は、再生可能な水素製造への関心を浮き彫りにしました。この補助金オークションには、欧州連合(EU)加盟国17カ国から132件の入札があり、合計8.5ギガワット(GW)の電解槽容量が見込まれています18。選ばれたプロジェクトは、4月か5月までに通知を受ける予定で、5年の期限で生産開始することが約束されます。入札件数がオークションの予算8億ユーロを大幅に上回ったため、今回のラウンドで補助金を調達できるのは、ごく一部のプロジェクトに限られることになります19。この入札がすべて実現すれば、最大880万トンの再生可能水素を生成することができ、EUの2030年目標のほぼ10%を達成することができます20。大手コングロマリットであるキャタピラー社、マイクロソフト社、バラード・パワー・システムズ社は、データセンターのバックアップ電源に水素燃料電池を使用するために協業しています。このプロジェクトは、ワイオミング州にあるマイクロソフトのデータセンターに1.5メガワット(MW)の水素燃料電池を設置するもので、48時間のバックアップ電源試験でその有効性が証明され、持続可能なエネルギー・ソリューションへの大きな一歩となりました21

遠隔医療&デジタルヘルス

AI主導のイノベーションがデジタルヘルスプロバイダの成長を後押しする

医療ネットワーキング・サービスのドクシミティーとテレヘルス企業のヒムズ・アンド・ハーズは、ヘルスケア分野での成長を押し上げるためにAI投資に力を入れています。ドクシミティーは、医療コミュニティを対象としたAI搭載製品をいくつか発売しており、ユーザーエンゲージメントを過去最高レベルまで高めることに貢献しています22。四半期、月次、週次、日次ベースのユニークアクティブユーザー数は、いずれも過去1年間で2桁の成長率を示しています23。同社のAIライティングアシスタントであるDoximityGPTは、重要な医療文書の下書きに広く使われています24。同様に、大規模なパーソナル・ヘルス・ソリューション・プラットフォームを提供するヒムズ・アンド・ハーズは、デジタル化の追い風を受けて成長し続け、結果、経営陣はメンタルヘルス、減量、皮膚科におけるテクノロジー・ファーストの製品により積極的に投資できるようになりました。2025年までに、同社の専門分野での売上は1億ドル近くになると予想されています25。メンタルヘルスは、AIの導入が広がっている分野の1つで、薬物療法に対する患者の反応を予測する役割を持つAIは、薬物療法の選択における当て推量を最小限にすることで、治療をスムーズにしています。

サイバーセキュリティ

ランサムウェア攻撃が激化、世界中の防御は強化

世界のハッキング被害は、2023年だけでランサムウェア攻撃によって過去最高の10億ドルに及び、その脅威は2024年も続いています26。良いニュースとしては、これまでで最大規模のサイバー犯罪対策の1つである米国司法省や英国国家犯罪対策庁のサイバー部門を含む法執行機関のグローバル連合が、悪名高いロックビットランサムウェアに著しい打撃を与えたことです。ロックビットはサイバー犯罪者が病院や学校などの重要施設を標的にする際に頻繁に使用するツールです。ロックビットのインフラを解体することで、法執行機関はロックビットの活動を効果的に停止させ、ダークウェブ・プラットフォームを情報リソースと被害者サポートのリポジトリに置き換えました27。このニュースは特にヘルスケア分野にとって喜ばしいものです。ユナイテッド・ヘルスケアの一部門であり、年間150億件の医療関連取引を処理するチェンジ・ヘルスケアは最近、ランサムウェアのハッカーによって業務が妨害されていたことを明らかにしました28。医師や病院は診療代を請求できず、患者は処方箋を入手することが困難になりました。このようにサイバー攻撃がますます巧妙化していることから、サイバーセキュリティとリスク管理に対する世界の支出は、2024年には前年比14.35%増の2,150億ドルに達すると予測されています29

関連ETF

関連商品へのリンク先はこちら:

2638 - グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF

2639 - グローバルX バイオ&メドテック-日本株式 ETF

BOTZ - グローバルX ロボット&AI・ETF

LIT - グローバルX リチウム&バッテリーテクノロジー ETF

AIQ - グローバルX AI&ビッグデータ ETF

BUG - グローバルX サイバーセキュリティ ETF

HYDR - グローバルX 水素テック ETF

EDOC - グローバルX eドック(遠隔医療&デジタルヘルス) ETF