次のビッグテーマ(グローバル):2024年7月

人工知能(AI)&テクノロジー

エッジAIがスマートフォンを中心にコンシューマー機器に普及

クラウドではなくデバイス上でローカルにデータを処理するエッジAIは、幅広いアプリケーションや消費者向けデバイスにプラスの影響を与えると予想されています。AIが年間5,000億ドル規模のスマートフォン市場に、買い替えサイクルを加速し、AI関連の付加価値を高めることで、消費者向けデバイスの中で短期的に最大の収益化の機会を提供するとGlobal Xは考えます1。その代表的な例が、アップルが最近発表したApple Intelligenceです。Apple Intelligenceは新しいiPhone、iPad、Macに搭載された一連のAI機能です2。その中で注目すべきツールには、アップル製の大規模言語モデル(LLM)とOpenAIのGPT-4oを搭載し、iPhoneアプリ全体でより正確な応答とタスク実行を提供する強化されたSiriが含まれます3。このような生成AIの統合が、スマートフォンの販売低迷を回復させ、5GがiPhone 12の販売に与えた影響と同じように、次のiPhoneの大幅なアップグレードサイクルを促進することが予想されます。重要なポイントとして、Apple IntelligenceはA17 ProまたはMシリーズのチップを搭載したデバイスに限定されており、これは現在利用されているiPhoneのわずか5%にしか値しません。これは、iPhoneユーザーの95%は、Apple Intelligenceを使用するためにデバイスをアップグレードする必要があるということを意味します4

電気自動車(EV)

中国で新エネルギー車の販売が急増、価格引き下げが追い風に

中国のEV市場は加熱しており、自動車メーカーの競争が激化しています。中国乗用車協会によると、ハイブリッド車とバッテリーEVを含む中国の新エネルギー車(NEV)販売台数は、5月に前月比17%増、前年同月比36%増の79万台に達しました5。NEVは5月の総販売台数の46.88%を占めており、2023年12月以来NEVの販売台数で最高の月となりました6。年初来では、NEVは中国での総販売台数の40.26%を占めています7。この販売急増は、BYDやNioをはじめとする、5月に好調な伸びを示した企業の値下げや新モデルの投入によるところが大きくなっています。さらに、上海汽車とフォルクスワーゲン(VW)は、中国市場向けにプラグイン・ハイブリッドEV3車種とバッテリーEV2車種を共同開発する新たな提携を発表しました8。この提携は、VWの「In China, for China(中国で、中国のために)」イニシアチブに基づくもので、VWは同地域での市場シェアを拡大するため、現地での提携関係の強化に重点を置いています。中国での販売が予想を上回ったことで、テスラの第2四半期の販売台数は予想を上回りました。現在、テスラは中国での競争力を維持するため、様々なモデルでゼロ金利ローンを提供しています9

米国インフラ

鉄道システムがIIJA新資金の恩恵を受ける

インフラ投資・雇用促進法(IIJA)が5年計画の半分を過ぎ、最近5億2,970万ドルの助成金を受け取った運輸省(DOT)をはじめ、さまざまな機関に資金が流れ続けています10。補助金第一弾は総額3億4,300万ドルにのぼり、8つの州の鉄道輸送システムをより利用しやすくするために使用されます11。注目すべきは、ニューヨーク州都市交通局(MTA)の地下鉄システム改善に1億5,660万ドルがあてられることです12。残りの1億8,670万ドルは、34州にわたる91の空港プロジェクトにあてられます13。IIJAは、5年間で総額250億ドルの空港プロジェクト助成金を提供する予定となっています14。5月の米国内の建設着工は、10%増の1兆2,400億ドルに及びました15。構築物の部門、特に洋上風力発電と液化天然ガス(LNG)業界の2つの大型プロジェクトが好調な伸びを牽引しました16。住宅と非住宅の建築部門では、5月の総建築着工戸数が小幅な減少を記録したものの、3部門とも年初来では増加傾向を維持しています17

クリーンエネルギー&再生可能エネルギー

AIエネルギー需要が再生可能エネルギーにチャンスをもたらす

生成AIの爆発的な成長により、データセンターのエネルギー消費量は大幅に増加し、その結果、二酸化炭素排出量も増加しています。グーグルの排出量は2019年に比べて現在48%増加しており、マイクロソフトの排出量は2020年以降30%近く増加しています18。AIを活用したサービスは、一般的なオンラインサービスよりも大幅に多くのコンピューティングと電力を必要とします。2030年までに電力需要はおよそ20%増加すると予想されており、AIを活用したデータセンターだけでも、米国で323テラワット時(TWh)の需要が増加すると見込まれています。これはニューヨーク市の年間電力消費量の7倍に値します19。この環境問題に対処するため、原子力や太陽光発電のようなクリーンなエネルギー源をデータセンターの優先的な電源として選択することへの支持が高まっています。低コストで迅速な導入が可能な原子力や太陽光発電は、炭素排出量ネットゼロを目標とする巨大IT企業の気候変動への野心に合致したものになっています。最近の取り組みでは、アマゾン、グーグル、マイクロソフトがデューク・エナジー社と提携し、カロライナ州でのクリーンエネルギー開発を加速させ、関税によって投資コストを引き下げました20

eコマース

eコマース大手、競争激化に対抗し低価格商品カテゴリーに参入

近年、SHEINやTemuのような低価格の国際的な小売企業が、安価な衣料品や電化製品などで米国の消費者を惹きつけ、アメリカ市場で大きな足場を築いています。激化する競争に対抗するため、アマゾンは、手頃な価格のファッションや生活用品に特化した、新しいディスカウントストアの開設を計画しています21。このストアでは、中国の販売者による、(多くが20ドル以下の)様々なノーブランド商品を提供し、中国の倉庫から顧客の玄関先まで直接、11日以内に配送します22。この取り組みは、中国の販売者が米国の倉庫に商品を輸送し、そこから顧客に発送するというアマゾンの今までの戦略から離れることを意味します。また、この新しい取り組みは、迅速な配送と幅広い品揃えを重視するアマゾンの従来の戦略とも対照的であり、競争力維持を目指すeコマース企業にとって、低価格商品を提供することの重要性が増していることを浮き彫りにしています。

リチウム&バッテリーテクノロジー

直近の需給不均衡にもかかわらずリチウム需要は堅調を維持

国際エネルギー機関(IEA)の重要鉱物に関する年次報告書は、エネルギー転換が加速する中、潜在的な不足を回避するためには、リチウム、銅、コバルト、ニッケルなどの主要金属への投資が引き続き不可欠であることを強調しました23。例えば、現在のリチウム供給量は、2035年までに想定されている需要の50%しか満たせないと予測されています24。過去1年間においては、供給が需要を上回り、リチウム価格は下落したものの、リチウムの需要は30%も増加しています25。他の多くの金属も似たような状況にあります。米国立エネルギー技術研究所は、ペンシルベニア州のフラッキング廃水と天然地層からの水に含まれるリチウムが、重要な供給源になる可能性があるという研究結果を発表しました。まだ探査の初期段階ではあるものの、この新発見により、米国のリチウム消費量の最大40%が満たされる可能性があります26

関連ETF

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2627 - グローバルX eコマース-日本株式 ETF

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2638 - グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF

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BOTZ - グローバルX ロボット&AI・ETF

CTEC - グローバルX クリーンテック ETF

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LIT - グローバルX リチウム&バッテリーテクノロジー ETF