次のビッグテーマ:2024年1月

電気自動車(EV)

自動車メーカーは2024年、電動化に向けて準備ができている

2023年のテスラとBYDの好調な売上に加え、2024年初頭のホンダの躍進により、今年も電気自動車(EV)産業にとって期待できる1年となりそうです。テスラは2023年に180万台の販売台数を記録し、BYDは2023年第4四半期の526,409台という記録的な数字を含む、150万台の販売台数を記録しました1。2024年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、ホンダが2026年に北米で発売予定の、サルーン・セダンとスペース・ハブ・ミニバンを含む革新的な0シリーズを発表し、大きな注目を集めました2。このシリーズは、ホンダのEV自社開発への意欲を示すもので、eアクスル、ステア・バイ・ワイヤ・システム、1回の充電での航続距離300マイル以上といった先進性を特徴としています3。このような出来事が与えるインパクトに加え、消費者がEVをより容易に購入できるよう、即時還元を含む税額控除の強化を導入する米国の政策改正が行われる可能性もあります4。このような法改正は、EV市場のさらなる成長を促すことが期待されます。

人工知能(AI)

AIがキーボードに登場

マイクロソフトは、Windows 11のノートパソコンに専用のCopilotキーを導入することで、AIとパーソナルコンピューティングの関係を再定義しようとしています5。Menuキーに代わるこのキーは、マイクロソフトのCopilot AIサービスに直接アクセスできるもので、Azureサーバーから個々のPCに至るまで、同社でのAI統合が進んでいることを示しています。グーグルは、Google Oneの有料サブスクリプションによって利用可能予定のBard AIサービスの上級バージョンを発表しました6。最先端の大規模言語モデルGemini Ultraを搭載したBard Advancedは、現在のGemini Proバージョンよりも大幅にアップグレードされています7。特筆すべきは、その高度な計算力と推理力です。その他、グーグルによる最近のAIイノベーションには、コードネームMotokoと呼ばれる、ユーザーのカスタムボット作成が可能になる機能や、Bardでユーザーの利用環境を補強する「パワーアップ」機能などがあります。さらに今後、新しい「タスク」タブや、Bardの利用環境をカスタマイズできる機能が追加されるとも思われます。これらの機能は、競争がより激化する市場におけるAIサービスの進化を強調しています。

メタバース&IoT(モノのインターネット)

複合現実(MR)が利用度向上を目指す

クアルコムは、サムスンとグーグルが近々発売する複合現実(MR)端末に搭載される予定のSnapdragon XR2+ Gen 2チップを発表しました8。メタ社のQuest 3に搭載されているXR2 Gen 2チップの進化版であるSnapdragon XR2+ Gen 2は、XRの生産性と没入型エンターテイメントを大きく飛躍させる4.3K解像度などの高度な機能を備えています9。このチップはアンドロイドアプリケーションにも対応しており、アップルの3,499ドルのVision Proヘッドセットよりも入手しやすい価格帯で提供されると見られています10。こうした新たな市場環境に対応するため、メタ社はQuest 2 VRヘッドセットの価格を250ドルに引き下げました11。この価格戦略は、改装された商品やアクセサリを含む128GBと256GBのモデルにも反映されています12。発売当初の価格がすでに好評だったこともあり、Quest 2の新たな価格帯は、膨大な数のVRタイトルに後押しされ、VR初心者を強く惹きつけると思われます。

人口高齢化

デジタルソリューションが患者ケアを変える

イーライリリーのデジタルプラットフォーム「リリーダイレクト」の立ち上げは、最近、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したゼップバウンド™を含む同社医薬品への患者アクセスを改善することが期待されています13。GLP-1受容体作動薬の一種であるゼップバウンド™は、肥満症治療薬です14。リリーダイレクトの登場は、減量遠隔医療サービスForm Healthとの提携とともに、より良い患者ケアのためにデジタルソリューションを取り入れるという、より広範なヘルスケアへの移行に沿ったものとなっています。メドトロニックの心臓治療における進歩は、ヘルスケアにおける技術主導型イノベーションのもう一つの側面をあらわしています。同社最新のリードレスペースメーカーであるMicra AV2とVR2が欧州で承認されたことは、心臓治療における新時代の到来を告げるものと言えます15。これらの機器は、コンパクトなサイズ感、長時間のバッテリー寿命、低侵襲の設置が特徴で、患者の快適性を高め、臨床成果を改善するように開発されています。

破壊的素材

銅と亜鉛の探鉱最新情報

破壊的技術には金属が必要であり、最近の動向は、亜鉛、銅、その他の金属に対する継続的な需要を浮き彫りにしています。カナダのバリック・ゴールドとチリのアントファガスタは、チリのアタカマ地方で銅と金属探鉱のための合弁事業、ミネラ・エル・エンシエロを設立しました16。このプロジェクトには9,500万ドルが投じられ、9,400ヘクタールにわたって60の掘削プラットフォームが設置されます。プロジェクト期間は5年の予定で、まだ15%ほどしか掘削されていない銅・金・モリブデンのポルフィリー鉱床があると考えられる地域を探鉱することを目的としています17。バリック・ゴールドもまた、パキスタンのレコ・ディク鉱山とザンビアのルムワナ・スーパーピットへの投資を通じて、銅の生産を拡大しようとしています18。同社は2031年までに銅の生産量を倍増させようとしており、最近パナマの主要鉱山を閉山したファースト・クアンタムの買収も検討しています19。また、スウェーデンのボリデンABは、亜鉛価格低迷による休止を経て、今年中にアイルランドのタラ亜鉛操業を再開する方向で交渉を進めており20、ノルウェーのオッダ亜鉛製錬所の生産能力も増強しています21。カナダでは、アマルク・リソーセズがボリデン・ミネラル・カナダと共同で、ブリティッシュ・コロンビア州のDUKE銅・金鉱区で2024年に大規模な掘削プログラムの拡張を計画しています22

データセンター&クラウドコンピューティング

企業はハイブリッド・クラウド・パートナーシップの恩恵を受ける

IBMはアメリカン・タワーと提携し、ハイブリッド・マルチクラウド・コンピューティングの展開を加速させ、IBMのアクセス・エッジ・データセンターにおけるクラウド機能を強化しています。広大なデータセンターのネットワークを持つ通信系不動産の代表格であるアメリカン・タワーは、IBMのハイブリッド・クラウド・プラットフォームと自動化システムを統合し、同社の拠点全体でエッジ・クラウドを構築していきます23。この施策は、企業に柔軟なアプリケーション展開の選択肢を提供し、データソースの近くでより高速で安全なデータ処理を可能にすることを目的としています。シラスケール・クラウド・サービスはクアルコムとの提携し、同社のAI Innovation CloudにQualcomm Cloud AI 100を組み込むと発表しました24。このAI推論アクセラレータは、生成AI、大規模言語モデル(LLM)、およびコンピュータ・ビジョンのアプリケーション向けに開発されており、クラウドベースのAI処理における大きな進歩がみられます。クアルコムがCloud AI 100を発表したことで、AI推論市場におけるクアルコムの地位はさらに強化されました。この動きは、AI対応エッジ市場への拡大を目指すクアルコムの戦略に沿ったものと言えるでしょう。

関連ETF

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