次のビッグテーマ:2023年4月

デジタルヘルスとサイバーセキュリティ

FDA(米食品医薬品局)は医療機器の安全性を優先課題とする

FDAは、医療機器許可取得に関する規制とガイドラインを更新しました。更新後の規制によると、医療機器メーカーは、機器を保護するために実施されたサイバーセキュリティ対策と、潜在的な脆弱性に対応するための非常用計画について、より多くの文書を提供しなければなりません。1 更に、FDAは医療機器の新しいパッチプロトコルを制定し、機器ソフトウェアに使用されているコンポーネントやライブラリを文書化するソフトウェア部品表を要求しています。2 これらの新たなガイドラインは、2023年3月29日以降に提出された新たな申し出に適用されます。2023年3月29日以前に提出された申し出は、2023年10月1日まで旧ガイドラインに遵守するそうです。3

また、FDAは、機械学習対応機器ソフトウェア機能(ML-DSF)に関する変更案を発表し、製造業者は、計画された修正、当該修正の実施および検証に使用した方法、およびその潜在的影響の評価について、販売申請内で詳細に説明することを求めることになりました。4 これらの過程変更により、医療機器の許可時間はわずかに延長される可能性があるとみられます。

電気自動車(EV)

2023年初頭の販売台数は急騰

2023年2月に、世界のEV販売台数は80万台となり、前月比で23%上昇し、前年同期間比で45%の上昇となりました。5 この上昇の主な牽引役は中国であり、中国の販売台数は10万台となったらしいです。6 2月にかけて、世界の乗用車(PC)と軽負荷自動車(LDV)は年初来140万台となり、電池自動車(BEV)とプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の販売台数はそれぞれ年初来で100万台と40万台に達しました。7

新たな税額控除が決定

米国財務省は、インフレ抑制法(IRA)のEV税額控除規定について、さらなるガイダンスを発表しました。最大7,500ドルのEV税額控除を受けるには、消費者が個人用に適格なプラグインEVまたは燃料電池電気自動車(FCV)を購入し、主に米国内で使用する必要があります。8 米内国歳入庁(IRS)は、新要件が発効する2023年4月18日に対象車のリストを提供する予定です。対象車両は、北米で組み立てられ、バッテリー部品と重要材料を一定割合で国内または指定された貿易相手国から調達する必要があります。9 一つの条件のみを満たすEVは、3,750ドルの税額控除に適用されるそうです。10 これに対し、フォード社は、F-150 Lightning、Mustang、Mach-E、及びE-Transit商用バンを含めて、自社EVラインナップの全部は税額控除に適用すると確認しました。

人工知能(AI)とソーシャルメディア(SNS)

生成AIは商用化へ

メタ社は自社が2月に設立した社内チームを通じて、2023年12月を期日に生成AIの利用を大幅に拡大するという目標を立てました。11 メタ社のCTO(最高技術責任者)であるAndrew Bosworth氏は、AIが広告の効率性を大きく改善する可能性を秘めていると述べました。12 AIを活用し、特定のグループに向けた広告を作成することで、企業は時間と資金を節約できるはずです。広告事業はメタ社の重要な収益源であり、同社は、フェースブックとインスタグラムを含めて、様々な商品とサービスにAI技術を十分に生かすように取り組んでいます。Bosworth氏は、生成AIがメタバースの中で活用され、とりわけコンテンツ作成に大きなポテンシャルがあると期待しています。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、この分野で最も有望な新興企業を支援するアクセラレータを設立する予定です。13 この取り組みにより、イノベーションが促進され、業界を進歩させる触媒となることが期待されます。

ロボットとモノのインターネット(IoT)

自動車産業はロボットの導入を加速

自動車産業はロボット導入のトップだと言っても過言ではありません。自動車産業は、全世界の工場で約100万台のロボットが稼働しており、全ロボット導入台数のおよそ3分の1を占めていると推定されています。14 基本的組み立てのために、自動車メーカーは人間から隔離された産業用ロボットを活用し続けながらも、大多数の自動車メーカーは最終組み立てのために使用される協働ロボットにも資本を投下しています。2023年1月に5億2,100万ドル、2月に6億2,000万ドルを業界が投資したことから、ロボットの資金調達は増加傾向にあると言えるでしょう。15 クアルコムといった会社は先駆者となり、マシンビジョン機能を装備するプラットフォームを開発しています。クアルコムのRB1とRB2プラットフォームは、低消費電力でエントリーレベルのロボティクスおよびIoTアプリケーションに最適です。

クラウドコンピューティング

公的機関はクラウドに目を向ける

米パランティア社は、公的機関を含むように、マイクロソフトとのクラウドコンピューティングの戦略的パートナーシップを強化しました。パランティア・フェデラル・クラウド・サービス(PFCS)は、Microsoft Azure上で米国国防総省(DoD)の影響レベル(IL)4級・5級のワークロードをサポートするため、米国連邦リスクおよび承認管理プログラム(FedRAMP)から認可を取得しました。16 これにより、かつて民間セクターに限られた両社の戦略的パートナーシップは今後公的機関にも及ぶと想定されます。顧客や業界パートナーは、Microsoft Azure GovernmentとAzure Commercialの両エコシステムのコラボレーション機能にアクセスできるようになり、防衛組織は重要なニーズを満たす新しいソリューションの幅を広げました。更に、アマゾン・ウェブ・サービスは、将来5年間に渡りオーストラリアに130億ドルを投資する計画を発表しました。17 この投資計画の一環として、自社のデータセンターをすべて再生可能エネルギーで駆動し、1.1万人の正規雇用を創出する取り組みもあるらしいです。18

フィンテック

フィンテック業界の資金調達に弾み

3四半期連続の減少後、2023年第一四半期に、フィンテック業界の資金調達に弾みがありました。19 新興企業は847案件で170億ドルを調達し、2022年第四四半期より117億ドルの上昇となりました。20 厳しい経済情勢の中、より慎重に案件が構成されているとみられます。21 レグテック(規制テック)、詐欺防止、生成AI等のテーマがベンチャーキャピタルを誘致しました。後払い決済(Buy Now Pay Later)に関しては、アップルはApple Pay Laterの発売前バージョンを特定のユーザーに提供し、今後数ヶ月の間にアクセシビリティを広げる計画もあります。Apple Pay Laterを使用することで、ユーザーは50~1,000ドルのローンを申し込むことができ、iPhoneやiPadでApple Payを利用できる加盟店でのオンラインおよびアプリ内課金に利用可能です。22 大多数の後払い(BNPL)プラットフォームと同様に、ユーザーは、金利や手数料なしで購入した商品を6週間に渡って4回に分けて支払うことができます。