インフレクション・ポイント:2026年、気を付けるべき5つのリスク

注記:本レポートの最初の草稿は12月29日に作成され、ベネズエラでの軍事作戦後、FRBの会合前の1月8日に修正されました。

このレポートの執筆は、私にとって、国防総省と関わる教授職としての立場を経て金融業界に復帰してから、毎年恒例の仕事となっています。最終的な目的は、何が起こるかを予測することではなく、金融市場が織り込んでいない可能性があるリスクを特定することです。これは、グローバルXの社員や政策当局者、投資家、学識者と協議した上でまとめられました。

昨年、このページで取り上げた2025年の5つのリスクの一部は、程度の差こそあれ、現実のものとなりました1。米国では、インフレリスクやFRBの慎重な姿勢を背景に、関税や税制変更の優先順位付けがボラティリティを高める要因となりましたが、その懸念の大部分は、最悪のケースの関税が撤回された4月半ばまでに後退し、7月には議会で減税が可決されたことを受けてさらに後退しました。グローバルな修正主義勢力は、複数の戦域で引き続き現状維持に異議を唱えましたが、ほとんどの紛争は、相互に関連し合っているとはいえ抑え込まれたままとなりました。最後に、中国で景気刺激策が講じられる可能性が貿易摩擦の激化とコモディティ価格の上昇を加速させるという懸念は、部分的に予想どおりになりました。

予想が外れた点として、宇宙を巡る大きな争いの拡大は起こりませんでしたが、対衛星活動は増加しました2。また、AIによるディープフェイクはますます蔓延しているものの、大きな社会不安や市場不安を引き起こすことはありませんでした。

グローバルXの予想どおり、2025年は堅調なファンダメンタルズが市場を牽引しました。グローバルXの「2026 Macro Outlook(2026年マクロ経済見通し)」では、今後も前向きな状況が続くと考える理由についてご紹介しています3。とはいえ、例年どおり、表面的なことにとどまらず、一般的な認識を超えて、今後展開し得る様々なシナリオを検討することが重要です。

5つの主要リスク

  • FRBの独立性・信頼性・成長のジレンマ
  • 米国と「ビッグ3」との貿易交渉
  • ベネズエラ情勢の余波とモンロー主義
  • 党派的政策、瀬戸際政策、政府機関の閉鎖、財政の信頼性
  • AIサプライチェーンの中断

FRBの独立性・信頼性・成長のジレンマ

景気拡大は年を取ったからといって終わるものではない——そんな格言があります。景気拡大が終わるのは、政策ミスや外生的なショックが原因です。外生的ショックは一般的に予測が難しいため、最初の2つのリスクは金融政策と貿易における潜在的な課題と結び付けられています。

2026年6月には新しいFRB議長が就任する予定ですが、政府が公然と利下げを求めていることから、政権は、利下げに積極的で且つそれを実行する意思がある人物を指名するとみられます4

こうした状況は、FRBが掲げる「雇用の最大化」と「物価の安定」という二つの使命の達成を、より難しくする可能性があります5。FRBの3つの目標(独立性、信頼性、成長)は、たいていは均衡が取れていますが、時には均衡が崩れ、FRBはうち2つを達成するために残り1つを犠牲にせざるを得なくなることがあります。これは、単一の政策選択ではすべての制約を満たせないという、アローの不可能性定理のような状況とも言えます6

理想的なシナリオでは、FRBは独立性を示すと同時に、長期的なインフレ対策で信頼性を維持し、短期的な成長を刺激することを目指しますが、実際には3つの目標のうち2つしか達成できないこともあります。これらの目標のいずれかを犠牲にすると、市場のボラティリティが高まる可能性があります。

インフレ率が目標に向けて推移していることと、パウエルFRB議長の発言を踏まえると、実質金利を100ベーシスポイント近辺に維持するためには、2~3回の利下げが妥当である可能性が高いとグローバルXは引き続き考えています7。ただし、新たに指名されるFRB議長とハト派的な金利政策が組み合わされば、FRBの独立性と信頼性が疑問視される可能性もあります。

FRBが独立性を維持できる方法の一つは、政府からの圧力に抗い、金利を高水準に保つことです。もう一つは、バランスシートを縮小して中央銀行を金融システムから切り離すことです8。現在のバランスシートは約6.5兆ドル(約990兆円)で、パンデミック時のピークである約9兆ドル(約1,380兆円)よりも縮小していますが、コロナ禍前の約4.5兆ドル(約690兆円)を依然として上回っています。GDPに対する比率では、現在の水準は22%と、2000年以降の平均である18%をやや上回っています。この数値をS&P 500の時価総額に対して計算すると、現在は11%で、平均の17%を下回っています。世界金融危機以前は、バランスシートはGDP比で約6%、S&P 500の時価総額比で7%でした。

問題は、金利上昇とバランスシート縮小により流動性が逼迫し、さまざまな影響をもたらす可能性があることです。金利上昇は一般的に資本コストを上昇させ、借り入れや投資活動を抑制します。国債売却によるバランスシート縮小は、需給不均衡を生み出し、金利上昇を招くリスクがあります。いずれにしても引き締め方向であり、成長を鈍化させ、労働市場を圧迫する可能性が高いとみられます。

FRBは景気を後押しするために利下げを行う一方で、独立性への懸念を和らげるためにバランスシートを縮小する可能性があります。しかし、その結果として国債の供給が増えれば、市場で消化しきれず、金利を安定的に抑えられるのかという点でFRBへの信頼が揺らぎかねません。あるいは、FRBは利下げしてバランスシートを安定させ、インフレ目標の維持に注力して信頼性を示すこともできますが、その場合、独立性に対する市場の評価がやや低下する可能性があります。第三の選択肢は、成長を重視せず、利下げ要求を退けて信頼性と独立性の維持に注力することです。一般的に見れば3つのうち2つを満たせば悪くないですが、このケースでは不十分かもしれません。

関連テーマ:リスクが成長促進・インフレ促進の方向にあると仮定すると、エネルギーやインフラなどの景気循環セクター、貴金属(金や銀)、マスターリミテッドパートナーシップ(MLP)パイプラインのような実物資産。

米国と「ビッグ3」との貿易交渉

米国の三大貿易相手国であるカナダ、メキシコ、中国との貿易交渉が今後行われる予定です。これは、世界的に貿易をめぐる緊張が依然として高まっている時期に重なります。これまで、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の枠組みには大きな関税変更はありませんが、2026年に予定されているUSMCAの定期見直しは難しい交渉になる可能性があります。一方、米中の貿易交渉も続いており、追加の課税などのエスカレーションは2026年11月まで据え置かれていますが、状況が悪化すればすぐに市場の変動性が再燃するおそれがあります。

2025年4月2日いわゆる「解放の日」に関税が発表されて以降、市場は貿易関連の報道への反応が鈍くなってきましたが、USMCAの見直しや米中貿易関係はさらに重大かつ持続的なリスク要因となる可能性があります。4月2日とその後の4営業日でS&P 500は11.5%下落し、米国10年債利回りは1.42%上昇しました。4月8日には、VIX指数が50を超える水準まで急騰しました10

北米のサプライチェーンが深く結びついていることを踏まえると、交渉が長引けばさまざまな産業に広範な経済的影響が生じる可能性があります。例えば、自動車メーカーは不透明感の中ですでに200億ドル以上の投資を先送りしており、原産地規則が変更される可能性を受けて生産や物流コストが上昇するおそれがあります11。さらに、労働やエネルギー政策をめぐる対立もリスクを高める要因となります。現在、三国間貿易に関連する雇用は1,400万人以上にのぼっています12

2025年10月にトランプ大統領と中国の習近平国家主席は、対中追加関税の引き下げと、中国のレアアース輸出規制の一年間停止を盛り込んだ一時的な貿易休戦に合意しました。この休戦により圧力は和らぐものの、このような合意は脆弱なものです。米国にとって中国は依然として財・サービスの主要な輸出市場の一つであり(メキシコに次いで第二位)、中国にとって米国は最大の輸出先です13。世界最大の二つの経済圏の間で緊張が高まれば、農業、テクノロジー、エネルギーなどの重要なセクターに影響が出る可能性があります。また、現在の休戦に大きな変化があれば、世界のサプライチェーンや消費者物価、投資判断に影響が生じる可能性もあります。

今後1年間で米国の貿易の40%近くが交渉の対象となるため、わずかな混乱であっても投資家心理が悪化しかねません14。市場は貿易関連の報道への反応が鈍くなったように見えるかもしれませんが、過去のケースからもわかるとおり、突然の政策変更によってすぐにボラティリティが再燃することがあります。

関連テーマ:インフラや電化などのセクターで国内収益を上げている米国企業、およびリショアリングを支えるロボティクス。

ベネズエラ情勢の余波とモンロー主義

ベネズエラはこれまで過去10年以上にわたり世界経済からほぼ切り離された状態にあったため、米軍による軍事行動の活発化は、一見するとこのリストの中ではやや場違いに感じられるかもしれません。この10年間、ベネズエラは低水準のエネルギー生産と持続的なインフレに直面してきました。とはいえ、それ以上に大きな問題となり得る考慮事項があります。12月に発表された米国の「2025年版の国家安全保障戦略」は、実質的に欧州重視から西半球重視へと転換を図るものであり、外国勢力が米国の勢力圏に干渉することを警告した1823年のモンロー主義を彷彿とさせる内容です。この考え方は、最近のベネズエラでの動きや、キューバおよびグリーンランドに関する議論が再び注目されている背景にも影響している可能性があります。これらの問題は今後数か月間、引き続き米国政府の最重要課題となる可能性がありますが、さらなる軍事行動の可能性は今のところ低いとみられます。もっとも、ベネズエラは特殊なケースであり、ニコラス・マドゥロ政権が排除された後の余波を受けて、過小評価されている市場リスクが顕在化しかねない理由を、グローバルXでは二つ挙げています。

第一に、トランプ政権は、ウクライナ・ロシア間の戦争終結には「抑止力の再構築」が重要だと考えているようです。今回の南米における軍事行動の狙いは、米国の強い決断力を示すことであった可能性があります。ロシア政府とそれを支持する国々が、米国の作戦を挑発ではなく地域安定化の試みとして最終的に解釈するかどうかは、現時点では不透明です15

新政権が昨年1月にホワイトハウス入りした当初は、原油価格の引き下げがウクライナとロシアの戦争終結への道になるとの見方がありました。具体的には、OPECの増産枠拡大や米国での掘削拡大によって原油価格を下げ、ロシア経済に打撃を与えることで、軍事行動の継続を困難にさせるという考え方です16。しかし実際にはそうならず、ロシアの支援国は同国の軍事活動を下支えしてきました。ロシアを妥当な条件で交渉の場につかせることは、トランプ政権の当初の予想以上に難しい状況となっています。

米軍は南米およびカリブ海地域に相当規模の部隊を展開しており、空母打撃群1個と強襲揚陸艦を中心とした両用即応群1個、あわせておよそ9隻の艦艇と105機の航空機が投入されています17。2025年9月以降、米軍は麻薬カルテルの疑いのある船舶への攻撃を10回以上行い、石油タンカー2隻を拿捕しました。マドゥロ大統領の排除を目的とする作戦は明らかに激化しており、この地域の先行きに様々な可能性を残しています。

第二の理由は、軍事作戦はほぼ例外なく、指導者の予想を超えてはるかに複雑化しやすいということです。そのことは、レバノン(1982年~1984年)、ソマリア(1992年~1994年)、アフガニスタン(2001年~2021年)、イラク(2003年~2011年、2014年~2021年)への軍事介入でも実証されています。長期的かつ危険と見なされる大規模な派遣は、そもそも承認されないことがほとんどです。そのため、軍事作戦の強度や資源、さらには成功の実現可能性も過小評価されやすい傾向が生じます18

ベネズエラの場合、米国は実力行使で政権交代を強いることができるかもしれませんが、その後に友好的な政権が誕生するとは限りません。実際、麻薬カルテルやイランの支援を受けているヒズボラなど、複数の武装勢力がベネズエラを作戦拠点として利用しています19。新しい政権に変わったとしても国内の武力を掌握できる可能性は低く、利害や忠誠心の異なる複数の武装集団が影響力を競い合う状況となります。そのような展開になれば、事態は長期化・泥沼化するリスクをはらんでいると言えるでしょう。

関連テーマ:防衛テック(需要が高まっている)、サイバーセキュリティ(非国家主体が非対称戦術を利用する範囲が拡大している)、エネルギーインフラMLPや天然ガスなどのエネルギー資産(供給が減少する中で様々な産業を支えている)

党派対立、瀬戸際戦術、政府機関の閉鎖、財政の信頼性

仮に政府機関の閉鎖(シャットダウン)が起きたとしても、それ単独で市場の流れを大きく変えたり、景気見通しを大幅に悪化させたりする可能性は高くないとみられます。しかし、予算問題を超えた党派対立が激化すれば、政治的な駆け引き(ブリンクマンシップ)が強まり、今年を通じてより大きく、かつ長引く不確実性を生むリスクがあります。幅広い分野で政策の対立が広がる中、特に11月に中間選挙を控えて、政策当局は反対派を妨害または強行突破するために利用可能なあらゆる手段を講じる可能性があります。イデオロギーの違いと政府当局を巡る議論が相まって、政治姿勢がさらに強硬になり、政府の継続性や支出に関する懸念につながりかねません。

政府機関の閉鎖が、発行増加、データの不透明性、脆弱な流動性状況と重なると、問題はさらに複雑化します。リスクとなるのは、閉鎖期間の長さよりも閉鎖が何度も繰り返されることです。財政の瀬戸際戦術が持続的な予算解決策に取って代わる状況が続けば、市場は財政の信頼性を巡る懸念の高まりを反映して、政治のリスクプレミアムをますます織り込むようになる可能性があります。

政治交渉が悪化し、超党派の足並みがそろわない中、政府機関が再び閉鎖されるリスクが高まっています。2026年11月の中間選挙が迫るのに伴い、瀬戸際政策が功を奏するかもしれないという認識が生まれる可能性もあります。政府機関の閉鎖は直近では2025年10月1日から11月12日まで43日間と過去最長となり、財政問題を巡る対立が一時的な出来事から繰り返し起こる特徴へと変化していることが浮き彫りになりました。議会における与野党の議席差が小さく、党派的な立場が固定化しているため、議会が引き続きつなぎ予算延長に依存する可能性は高いままです20

歴史的に見ると、政府機関の閉鎖(シャットダウン)が発生しても、市場は比較的底堅く推移する傾向があります。これは、最終的には景気や企業業績といった経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)が価格形成を左右する要因となるためです。実際、株式市場やクレジットスプレッド(社債の利回り上乗せ幅)は、シャットダウンに伴う不確実性を一時的に織り込んでも、政府機関の再開後には概ね落ち着きを取り戻してきました21。一方、債券市場は、政策、流動性、データの入手可能性を巡る不確実性に敏感であり、現在の環境ではこれらの要因の重要性が高まっています。

2025年初めの数週間で、米国債は過去10年でも最大級の売りに見舞われました。10年国債利回りは2024年後半の低水準から100ベーシスポイント(1%)以上上昇し、残存期間の長い債券は大きく下落しました。この動きは、インフレ圧力が長引いていること、ならびに財政赤字への懸念の高まりに伴いFRBの政策に対する見方が変化したことを反映しています22。重要な点は、上方への金利水準の見直し後に市場が安定化したことであり、ボラティリティの原因がシステム的な不安ではなく不確実性であったことが示されました。

もう一つの出来事は、4月の解放の日の後に始まり、5月下旬まで続きました。当初は貿易や関税を巡る不透明感を背景に、米国債が安全資産として買われましたが、その後急反転し、長期債利回りは数十年ぶりとなる数日間の急上昇を記録しました。この動きは、インフレリスク、強制的な売り、ボラティリティのヘッジとしての米国債に対する一時的な信頼感の低下が重なって起こりました23。ポジション調整と政策の透明性の改善に伴い、最終的に利回りは正常化しました。

これらの出来事は、経済の悪化よりも政策の不確実性が債券市場のボラティリティの主因となってきたことを浮き彫りにしています。政策の不確実性は高まっており、おそらくその状態は今も続いています。政府機関の閉鎖により、雇用、インフレ、GDPなどの主要な経済指標の公表に混乱が生じ、現在の動向がさらに強まる可能性があります。直近の閉鎖期間中、債券投資家は民間指標に大きく頼らざるを得なくなり、その結果、データ依存度の高い債券市場では金利予想のばらつきとボラティリティが高まりました24

関連テーマ:金や銀などの貴金属(政府の資金繰りが不透明な中、価格が上昇する可能性がある)、公益事業(電化と直接結び付いている)、ポートフォリオの安定化を目的としたカバード・コール戦略

AIサプライチェーンの中断

AIエコシステムは、些細な混乱が期待感に極めて大きな影響を与えかねない時期にあります。これまでAIの普及を巡る期待感が市場を押し上げる原動力になってきましたが、最近の市場のボラティリティを見ると、現在のバリュエーションは、計算能力が中断なく迅速に拡張されることを前提としていることがわかります。一時的な混乱であっても、その前提を揺るがし、大きな不確実性をもたらす可能性があります。この敏感さが最も顕著なのは、半導体のサプライチェーンです。

半導体は依然としてAIの進歩の土台ですが、先進的なチップの製造拠点は驚くほど狭い範囲に限られています。台湾は世界のファウンドリー売上高の70%以上を占め、高性能チップでは最大92%を占めます25。サプライチェーンに関する議論では、台湾海峡での軍事衝突の可能性に焦点が当てられる傾向がありますが、制裁や空域制限、軍事演習に伴う封鎖など、それよりも小規模な措置であっても、サプライチェーンの混乱や設備保全の遅れを招く可能性があります。それに加え、台湾の地理的条件もさらなる脆弱性をもたらします。台湾は環太平洋火山帯に属し、地震や津波、深刻な気象災害が生産に影響を及ぼす可能性があるためです。

これらのリスクをさらに大きくしているのが、半導体エコシステムでASMLだけが担っている独自の役割です。オランダ企業であるASMLは、最先端の半導体ノードに必要な極端紫外線(EUV)露光装置を供給できる唯一の企業です26。これらの装置は、少数のパートナーが製造する高度に特殊化された光学系やサブシステムに依存しており、代替品がほとんどない緊密に結び付いた供給網を形成しています。

半導体以外にも、AIワークロードの拡大は物理インフラに依存しているため、さらなる制約が生じます。先進国では、全体的な電力不足に直面しているわけではないものの、各地域の政治や規制上の審査が新規のデータセンターの承認にますます影響を及ぼすようになっています。公共料金の上昇、土地利用を巡る議論、エネルギー集約型産業への懸念が、データセンターを電力系統(送電網)に接続するための系統連系の承認の遅れや、場合によっては連系手続きの全面的な一時停止につながる可能性があります27。世界有数のデータセンター拠点の一つである北バージニアでは、すでに将来の開発に対する制約が示唆されています28

データセンターの建設と電化の両方に不可欠な銅は、供給面で構造的な課題に直面しています。世界の鉱山供給のほぼ半分をチリ、ペルー、コンゴ民主共和国が占めており、市場は政情不安、労働争議、気候変動による混乱の影響を受けやすい状況にあります29。このような圧力のもとで、送電網のアップグレードやデータセンターの拡張が遅れる可能性があります。他の投入材も同様の制約を受けます。データセンターが集中している地域では、水資源の確保が冷却戦略を左右する一方で、レアアース、ガリウム、産業用ガスなど、チップ製造や露光に不可欠なものすべてが地理的に集中しており、代替手段は限られています。現在、供給の多様化に向けた取り組みが進められているものの、その進展は緩やかになりそうです。

関連テーマ:銅鉱山(潜在的な攪乱要因があるにもかかわらず、AIインフラ拡大に向けて有利な立場にある)、ウランとエネルギー(データセンターの建設に伴い需要が拡大する)、短期米国債(混乱が企業の投資に悪影響を及ぼす場合にダウンサイドプロテクションとなる)

本稿の執筆にあたっては、Jason Anderlik氏、Jack Kiernan氏、Dylan Quigley氏から協力を得ました。

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