テーマ型ETFレポート:2021年第3四半期
Global Xのリサーチチームは、テーマ型ETFレポートの2021年第3四半期版を発表します。本レポートは、破壊的創造テーマに対するGlobal XのClassification System(テーマ別分類システム)とそれを追跡するテーマ型ETFを総括しています。また、テーマ型ETFの業界レベルの分析を行い、新規上場と償還、運用資産(AUM)の動き、資金の流れなどを見ています。
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テーマ型ETFの業界状況 – 第3四半期版の総括
2021年第3四半期末のテーマ型ETFのAUMは、米国ETF業界の総AUM6.6兆ドルのうち2.0%を占めています。これは、2021年第2四半期末に達した2.2%よりもわずかに低い水準です。
テーマ型ETFのAUMは第3四半期に1,337億ドルに減少し、過去最高を達成した2021年第2四半期末の1,432億ドルから7%減少しました。テーマ型ETFの前四半期比での資産の減少は、米国ETF業界のAUMが前四半期比で2%増加したのとは対照的です。
第3四半期中にテーマ別ETFの資産は減少しましたが、29億ドルのプラスの純流入がありました。また、テーマ型ETFの第3四半期の価格下落による減少は124億ドルとなり、同四半期の総AUM減少の原因となりました。
前年同期比ベースでみると、テーマ型ETFのAUMは2020年第3四半期末時点の586億ドルから128%増加しました。
現在、テーマ型ETFは198 本あり、前四半期末の173本から増加しました。前四半期末以降の新規上場は26本で、償還は1本でした。
Global Xの分類システムのカテゴリー(大分類)で見ると、AUMの減少額が最も大きかったのは「人口動態(People & Demographics)」関連テーマ(50億ドル減)で、次いで「破壊的創造テクノロジー(Disruptive Technology)」関連のテーマ(43億ドル減)、「物理的環境(Physical Environment)」(1億ドル減)でした。
テーマ別では、「ヘルスケア・イノベーション」のAUMが最も大きく、「クラウド・コンピューティング」と「クリーンテック」がそれに続きます。
Global Xによるテーマ別分類システム
Global Xのリサーチチームは、破壊的創造テーマを特定し、テーマ型ETFを分類するための一貫したフレームワークを提供する「Classification System(テーマ別分類システム)」を策定しています。メディアや金融の世界では、しばしばテーマ性のある投資の定義が矛盾しているのを目にすることがあり、どのETFにテーマ性があるのか、どのようなテーマを追っているのかについて混乱が生じています。この分類システムの導入により、破壊的創造テーマとそれに関連するETFについて、より明確になることを期待しています。
テーマ別投資の定義
Global Xでは、テーマ型投資を、破壊的創造に関するマクロレベルの強力なトレンドと、それらのトレンドの実現によって利益を得る基礎的要素を特定するプロセスと定義しています。
テーマ型投資とは本質的には長期的な成長志向の戦略であり、一般的な地理的な制約や伝統的なセクターや業界の分類にとらわれず、成長戦略どうしの相関性を低く保ちながら、関連性のあるコンセプトに投資するものです。
特筆すべきこととして、破壊的創造をトレースする構造的トレンド(気候変動など)を示すものでない限り、テーマ型投資はESG戦略、価値観に基づく戦略、政策主導型の戦略によって構成されることはありません。さらに、伝統的なセクターや業界の分類に固執するファンドや、主に循環的なトレンド(通貨、バリュエーション、インフレなど)へのエクスポージャーを得ることを目的としたファンドは、テーマ性のある投資とはみなされません。最後に、上場インフラストラクチャー、マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)、遍在的な国際商品などのオルタナティブ資産クラスはテーマ性があるとはみなされません。
テーマの分類
Global Xのテーマ別分類システムは、1)カテゴリー、2)メガテーマ、3)テーマ、4)サブテーマの4つの階層で構成されており、それぞれの階層の焦点はこの順に絞られていきます。
“カテゴリー”は最も広い階層であり、破壊的創造の3つの基本的な要因を表しています:テクノロジーの指数関数的な進歩(Disruptive Technology:破壊的創造テクノロジー)、変化する消費者の習慣と人口動態(People & Demographics:人口動態)、そして進化する物理的環境(Physical Environment:物理的環境)です。
一つ下の階層は“メガテーマ”であり、共通の領域で大きな変化を引き起こしている複数の変革的な力の基礎となります。概念的には、メガテーマは、より狭くターゲットを絞ったテーマの集合体です。例えば、ビッグデータは、機械/ディープラーニング、サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、クラウド/エッジコンピューティングで構成されるメガテーマになっています。
さらに下の階層では、テクノロジーの進歩、消費者の需要の変化、環境への影響など、変革的な破壊の具体的な分野を“テーマ“として特定しています。現在、40の“テーマ”が分類されています。
“サブテーマ”とは、テーマの特定の用途や、テーマを推進する上流段階の要素など、よりニッチな分野を特定しています。
テーマ型ETFは、特定のカテゴリー、メガテーマ、テーマ、またはサブテーマを対象とすることができます。Global Xの分類プロセスでは、特定のETFの方法論、保有状況、目的を分析し、そのETFに最適なものを見つけ出すことを目指しています。「Classification System(テーマ別分類システム)」は、四半期ごとに見直しを行い、新たなカテゴリー、メガテーマ、テーマ、サブテーマの可能性を検討しています。また、新たなETFの導入や戦略の変更があった場合には、直ちにその分類によって評価されます。
結論
新たなテクノロジーが既存のパラダイムに破壊的創造をもたらし、世界の人口動態の変化が世界の人口が求めるものを変化させ、消費者行動の変化を背景に既存のビジネスモデルが変更を余儀なくされ、物理的環境が劇的に変化する未知の時代にあって、これらのテーマとそれにアクセスするための金融商品を追跡する一貫したフレームワークの必要性が高まっているとGlobal Xは考えています。