次のビッグテーマ:2021年10月

EVとクリーンテック

米、東西の両州でCO2削減取組

カリフォルニア州とニューヨーク州は、内燃エンジン搭載車の製造および使用の削減という2つの国際的最先端の取組について、責任を負っています。カリフォルニア州は、軽量自動運転車について2030年までに排ガスゼロとすることを義務化しました。1 同州での自動運転車の割合は、今のところごくわずかですが、将来無人タクシーが盛んに街を走るようになる頃には、この義務化によって大気汚染の大部分が防げるようになると予想されています。反対側のニューヨーク州では、2035年までに乗用車の排ガスゼロを、2045年までに中型・大型車の排ガスゼロを目標に定めています。2

リチウム&バッテリーテクノロジー

EV革命、リチウム需要に拍車

世界経済が将来のオール電化に向けて歩みを進める中、国際的にリチウムの需要が供給を上回るペースで増加しています。需給の不均衡によって、既にリチウム価格は大幅に上昇しています。3 今年1~7月のEV売上台数は、前年比50%増の3百万台超えとなっており、リチウム価格は3年ぶりの高値となっています。4 9月前半には、世界最大のリチウム市場である中国の国内価格が20%以上上昇しました。リチウムイオン・バッテリーが、今後もバッテリー技術の最先端であり続けると予測されるため、リチウムの採掘能力を増やしていく必要があります。世界最大のリチウム生産業者であるアルベマール社は、同社のネバダ州シルバーピークにある施設でのリチウム生産量を2倍にする計画を公表しました。5

ゲノミクス

臨床試験進む

エクシジオン・バイオセラピューテイクス社は、HIV患者の治療のために、クリスパーに基づく遺伝子編集を引き続き進めています。初期試験において有望な結果が出たことから、食品医薬品局(FDA)は、同治療法についての臨床試験に対する認可を行いました。6 遺伝子編集は多くのHIV患者に対して行われているスタンダード・レトロウイルス療法に取って代わる可能性があります。FDAは、クリスパー・ゲノムの編集を利用して、急性骨髄性白血病患者のがん細胞を全滅させる試験についても認可を行いました。7 ボストン・チルドレンズ・ホスピタルの医師たちは、鎌状赤血球病患者の治療の目的で、遺伝子療法を使って健康な胎児の遺伝子を活発化させ、変異した大人の細胞を不活発化させる医療試験を実施しています。8

eコマース

倉庫募集中

事業用不動産サービス会社のCBREが発表した最新データでは、新型コロナ感染症によるパンデミック収束後のeコマース・トレンドについて言及されています。それによると「オンライン販売が増加傾向にあることから、産業用倉庫のスペースが急速に埋まりつつある」とのことです。カナダでは、モントリオール市およびその周辺都市部の事業用空室率が、第3四半期には過去最低の1.2%にまで低下しました。5年前の8%から急落したことになります。9 米国でもこれと同じような空きスペースの下落傾向が見られます。eコマースによる商品発送の増加に合わせるためには、国内全体で3.3億平方フィート以上の倉庫スペースが必要とのことです。10 現状では、物流プロバイダーのDHLサプライチェーンが過剰気味の貨物を取扱うために、今年は季節労働者の採用を20%増やす予定とのことです。11 またDHLは他のプロバイダーと同様、自動注文受取の業務を補助すべく、協働ロボットの導入も検討しているとのことです。

モノのインターネット(IoT)

バイデン大統領、半導体供給の確保へ始動

バイデン政権は、世界的な製造不足により硬直化している半導体サプライチェーンについて、透明性強化のための新たな構想を表明しました。半導体不足によって、自動車や電気製品の価格が上昇しています。9月には、電子機器の製造を一時停止したメーカーもあります。インテル、サムソン、アップル、GM、フォード、TSMC、ステランティスといった大手メーカーが、バイデン大統領がオンラインで開催したイベントに出席し、その席上で大統領は、長期的なサプライチェーンの機能不全の軽減を早めるために750億ドルを拠出することを誓約しました。メーカー側にとっては、この拠出によってボトルネックがいち早く解消されることが頼みの綱といえます。12 テスラのイーロン・マスクCEOは最近、現在建設中の新たな半導体工場が稼働すれば、半導体不足はすぐに終わると主張しています。13

SMSとブロックチェーン

ツイッター、暗号資産をチップに

ツイッターのジャック・ドーシーCEOは、暗号資産はインターネット界の「母国通貨」であり、従ってビットコインを同社プラットフォームに統合することは自然な調和だ、としています。ツイッターは同社事業の収益化をさらに押し進めるための一策として、ユーザーは今後ビットコインを使ってチップの授受ができるようになるとの公表を行いました。同社はさらに、ユーザーのNFT(非代替性トークン)の認証についても検討しています。暗号資産は、分散型金融やブロックチェーン技術に魅力を感じるユーザー(特に後進国市場のユーザー)の間では一般的になりつつあります。アフリカは最も急速に暗号資産を導入しつつある市場で、利用者数はなんと前年の1,200%となっています。14 また、インドも特筆すべき市場で、同国での暗号資産使用者数は世界一多く、1億人(全人口の7.3%)と言われています。15