次のビッグテーマ:2023年1月
メタバースとビデオゲーム
2023年は仮想現実に没入
メタ・プラットフォームズは、2023年の全体のコストおよび経費の約20%を、リアリティ・ラボ、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)、メタバース事業に配分する予定です。1 2022年第3四半期、メタはその支出の18%をリアルティ・ラボに配分していました。2 このように投資を増加させたのは、2022年に特にビッグ・テックに打撃を与えた景気の失速や市場のボラティリティにもかかわらず、同社がイマーシブ・テクノロジー(没入型技術)の開発にコミットしていることを示しています。同社のアプローチは、世界最大規模の民生技術イベント「CES 2023」のVR・ARスペースで展示された急速なイノベーションとも一致しています。CES 2023では、ソニー・プレイステーションのVR2ゲーム用ヘッドセット、HTCのVive XRエリート・ヘッドセット、LumusのZ-レンズ・テクノロジーなど、多くの企業が今後の可能性を広げるエキサイティングな新製品を発表しました。
人工知能(AI)とクラウドコンピューティング
ChatGPTがクラウドに進出
マイクロソフトはOpenAIに100億ドル投資する予定です。マイクロソフトは、人工知能の世界における新たなリーダーである同社の価値を290億ドルと評価しています。3 同契約には、投資が回収されるまでマイクロソフトがOpenAIの利益の75%を受け取り、最終的にOpenAIの株式49%を取得する条項が含まれています。4 このような動きはマイクロソフトにとって戦略的なものと考えられています。OpenAIの技術、特に自然言語処理モデルのChatGPTを統合することで、マイクロソフトはその検索エンジン機能を強化し、マーケットリーダーであるグーグルの支配的地位に挑戦できる可能性があります。また、マイクロソフトは、アズーレOpenAIサービスをパブリックに利用できるようにすることで、アズーレ・クラウドの顧客が、Dall-E AIアート・ジェネレーションやGPT-3.5言語システムなど、クラウド・アプリケーションのためにOpenAIツールを使用できるようにするなど、OpenAIとの提携を拡大する予定です。また、近い将来、ChatGPTへのアクセスを追加することも計画しています。
電気自動車(EV)
米政府はよりクリーンなアメリカのために数十億ドルを投資
米エネルギー省は最近、アルティウム社に対して、大規模な電気自動車(EV)リチウムイオン電池製造工場の建設を支援するための25億ドルという巨額の融資を約束しました。5 この事業は、ゼネラル・モーターズとLGエネルギーソリューションの共同事業で、最新の工場をオハイオ、テネシー、ミシガン各州に、そしておそらくインディアナ州に第4の工場を建設するものです。ミシガン州の工場は2024年には稼働する予定で、同工場は、2030年までに米国の自動車生産の50%を電気自動車またはプラグイン・ハイブリッド電気自動車にするというバイデン大統領の目標を達成するための重要なステップです。6 クリーン輸送を進めることに対するコミットメントは州レベルにも及んでいます。
カリフォルニア州エネルギー委員会は、2025年までに電気自動車の充電に関する州の目標を推進するための29億ドルという多額の投資計画を承認しました。7 この資金は、数千台のゼロエミッション・トラック、スクールバス、トランジットバスの普及を支援するもので、州全体で現在の8万箇所を大きく上回る9万箇所の充電設備が設置される計画です。8 このような投資は、電力会社や他のプログラムからの追加的な資金提供もあり、カリフォルニア州が2025年までに25万箇所の充電設備を設置するというその目標を達成するために重要な役割を果たすと期待されています。
ゲノミクスおよび高齢化
COVID-19に対する勝利:モデルナは癌に取り組み
モデルナは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを成功させたメッセンジャーRNA技術を利用して、実験的ながんワクチンを開発しました。同ワクチンはメラノーマの治療に有望な結果を示しています。中間ステージの治験において、モデルナのカスタマイズされた癌ワクチンとメルク社の極めて効率的な免疫治療薬キイトルーダを併用することで、キイトルーダ単独に比べて再発または死亡のリスクが44%低下しました。9
イーライリリーは2023年、バイオ医薬品でブレークスルー
イーライリリーは、5つの革新的な製品を規制当局に申請する、6件の第3相試験を開始する、他の6件の第3相試験からのデータを明らかにする野心的な計画を立てています。2023年は同社にとって変革の年になりそうです。10 これらの取り組みに加えて糖尿病治療薬のマンジャロもあり、同社の2023年売上高は300億ドルを超えると予想されます。11 また、米国、欧州、日本で規制当局に申請している医薬品には、慢性腎臓病向けのエンパグリフロジンや、初期アルツハイマー病向けのドナネマブなどがあります。イーライリリーはまた、米国と欧州で肥満症向けのチルゼパチドを、日本でアトピー性皮膚炎向けのレブリキズマブを申請する予定で、医薬品業界におけるイノベーションのリーダーとしてのそのポジションをさらに強固なものにすると考えられます。
太陽光エネルギーとクリーンテクノロジー
太陽光エネルギーは過去最高の変換効率を達成
ソーラー・モジュールの有力メーカーであるジンコソーラー社は、N型単結晶シリコン・トンネル酸化物不動態化接触(TOPCon)太陽電池技術において重大な成果を上げたことを発表しました。同社は最大26.4%の太陽光変換効率を達成、10月に達成した26.1%の記録を上回りました。12 同社はそのために、バルク欠陥不動態化技術や、新規構造のポリシリコン接触、金属シリコン・インタフェース組換え抑制技術など、先進的な技術を使用しました。また、カナディアン・ソーラー社は、その過半数所有子会社、CSIソーラー・リミテッドが2023年第1四半期、最高出力690ワットの高効率N型トプコン・ソーラー・モジュールの大量生産を開始することを発表しました。13
モノのインターネット(IoT)
半導体は長期的に成長
半導体製造装置の世界市場は、2022年に過去最高を更新したようです。OEMの売上高は1,085億ドルと予想されています。これは、2021年に記録した過去最高の1,025億ドルから6%の増加です。14 同業界は3年連続で過去最高の売上高を達成しました。
しかし、市場は2023年には一時的に落ち込み、912億ドルまで縮小、前工程と後工程両方の強い需要のために2024年に回復すると予想されています。15 また、半導体エコシステムの成長が加速しています。企業はCHIPS法による資金を活用して、イノベーションを進め、生産を増加させており、40を超える新規プロジェクトが開始、16州で2,000億ドル近い民間投資が実行され、業界で4万人の新規雇用が創出されると考えられています。16
パフォーマンス数値
下図は、投資テーマ(対応するETFに基づく)ごとのリターンおよび予想売上高成長率です。