次のビッグテーマ(グローバル):2025年2月
人工知能
AIインフラとスタートアップへの投資が急増中
トランプ大統領はオラクル、オープンAI、ソフトバンクとの共同事業で、スターゲートと呼ばれる新プロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、米国の再工業化の支援、また、米国および同盟国の国家安全保障の強化を目的とし、国内のAIインフラに当初1000億ドル、今後4年間で最大5000億ドルを投資します。その一環で、テキサス州では既に100万平方フィート(9.3万平方メートル)のデータセンター建設プロジェクトが進行しています。このプロジェクトの主要な初期技術パートナーはオラクルやオープンAI、アーム、マイクロソフトとエヌビディアが挙げられ、ソフトバンクの孫正義氏が会長を務めます1。また、AI関連企業の資金調達に関しては、オープンAIが現在最大400億ドルの資金調達に向けて交渉しており、最終的には企業価値が3400億ドルのまで上る可能性があります。この評価額はオープンAIの2024年10月の評価額の約2倍になり、SpaceXに次いで世界で2番目に価値のあるスタートアップとなります。ソフトバンクは150億ドルから250億ドルの投資で資金調達をリードすると予想されており、マイクロソフトを上回るオープンAI最大の投資家となります2。
米国の電力化
電力業界の歴史的な買収
米国の原子力発電事業者コンステレーション・エナジーは、天然ガスと地熱発電大手のカルパインを164億ドルで買収することで合意しました。本買収は、米国のエネルギー業界にて史上最大の取引になります。今回の買収により、既に米国最大の原子力発電所運営会社であるコンステレーション・エナジーは米国最大の独立系電力会社となり、発電容量が60ギガワット(GW)近くに拡大されます。また、最もエネルギー需要が高い市場、テキサス州とカリフォルニア州におけるコンステレーションの存在感も大幅に向上すると考えられます。この買収は、低排出で信頼性の高い発電へのシフトを強化するもので、米国の電化における大きな節目になります。AIデータセンター、電気自動車の導入、ビルの電化などによって電力需要が急増する中、エネルギー供給会社は原子力、天然ガス、地熱を組み合わせた送電網の容量拡大を急いでいます。特に天然ガスは、現在のデータセンター需要を満たす上で重要な役割を果たしています3。
防衛テック
米国防総省、次世代ミサイル防衛システムの導入を命じられる
トランプ大統領は、「米国版アイアンドーム」と呼ばれる大統領令を発令し、国防総省に対してイスラエルのような多層ミサイル防衛システムの導入計画を今後2か月以内に策定するよう命じました。その目的は、弾道ミサイル、極超音速ミサイル、高性能巡航ミサイル、そして次世代航空攻撃から国を守ることです。特筆すべきなのは、戦争における宇宙の役割の増大と衛星配備のコスト削減を考慮し、防衛システムは宇宙ベースのセンサーと軌道上に配置された迎撃ミサイルに支えられ、弾道ミサイルのブーストフェーズで攻撃可能であることを命じていることです。この命令は、米国の2026年度の次期予算要求に盛り込む資金計画を必要としており、この規模の高度な建築には、1,000億ドル以上の費用がかかる可能性があります4。
ヘルスケア・イノベーション
乳がんと肥満治療で革新的治療が進歩
前治療歴のある進行型乳がん患者に対するアストラゼネカの次世代化学療法が、食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。同治療法は既に肺がんの治療向けに承認されている抗体薬物複合体であり、抗がん剤が直接腫瘍細胞を攻撃することで健康な細胞を温存し、副作用を軽減できます。この薬の後期臨床試験では、外科手術でがんを切除できなかった患者、並びにがんが発生部位を超えて広がった患者においてがんの進行を遅らせられ5、売上高は2030年までに50億ドルに達すると予測されています6。また、ヘルスケア・イノベーション関連ではノボノルディスクの次世代GLP-1が、初期の臨床試験において患者の体重を大幅に減少することに成功しました。同社の発表では、「アミクレチン」と呼ばれる注射薬を高用量で投与した患者において36週間後に体重が22%減少したと言及しています。この効果がより大規模な臨床試験で確認されれば、本治療法は既存の市販の肥満治療薬と差別化を図れる可能性があります7。
リチウム&バッテリーテクノロジー
2024年、世界のバッテリーエネルギー貯蔵は急成長
バッテリー業界で最も急成長している市場である蓄電池にとって、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)導入量は、2024年に前年比(YoY)53%増と記録的な高成長を遂げました。この成長の主役はグリッド(電力網)市場で、世界全体で160ギガワット時間(GWh)以上が導入され、そのうち98%がリチウムイオンでした。その内、中国が最も多くの容量を設置し、新規のグリッド規模のBESS新規導入量は前年比67%増の108GWhとなり、続いて、米国とカナダが40GWh近く導入しました。英国、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域(中国を除く)を含む従来小規模なBESS市場は、2023年からの新規導入量を2倍以上に増やしています。1GWhを超えるプロジェクトは2023年にはわずか4件であったのに対し、現在は世界中で1GWhを超えるプロジェクトが17件稼動しています。こうした大規模プロジェクトのパイプラインは大幅に増加しており、2025年と2026年には1GWh以上のプロジェクトが140件計画されており、そのうち30件は2GWh以上の規模です8。
ロボティクス&人工知能
フィジカルAI時代の到来
2025年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(Consumer Electronics Show, CES)にて、エヌビディアからロボット工学と自律走行の発展を加速させる可能性を秘める2つの新技術が発表されました。まず、エヌビディアはフィジカルAIシステム開発のためのオープンモデルライセンス、「Cosmos(コスモス)」プラットフォームを発表しました。Cosmosは、ワールド・ファウンデーション・モデル(WFM)を使用してまるで実写を見ているかのようなリアルな映像を作成します。この映像は自動運転車や人型ロボットなど、物理的なAIシステムを訓練する際に利用され、実走行などの従来のデータ収集方法よりも低コストで進めることができます。大規模言語モデル(LLM)がチャットボットによる自然なコミュニケーションを可能にするように、これらのモデルが生成する合成訓練データは、機械が物理的世界を学習することを可能にします9。また、エヌビディアは人型ロボットを訓練するためのソフトウェア・ツール「Isaac GROOT Blueprint」も発表しました。開発者が特定の動作を記録し、その動作をソフトウェアが更に幅広い動作に合成することで、ロボットがより効率的に学習できるようになります10。グローバルXでは、これらの新技術がロボットや自動運転アプリケーションの学習においてデータが不足している課題を解決するのに役立つと考えられます。
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