次のビッグテーマ(グローバル):2024年2月

米国インフラ

インフラ投資雇用法(IIJA)の資金投入は続く

2023年12月の米国建設着工は、インフラと製造業プロジェクトによる力強い伸びと、インフラ投資雇用法(IIJA)による継続的な資金提供を背景に、季節調整済み年率20%増の1兆1,200億ドルまで急増しました1。高速道路と橋梁の着工は12%増加し、製造業での着工は75%増加しています2。1月下旬には、運輸省(DOT)が主要な高速道路と橋梁プロジェクトに49億ドルのIIJA資金を投入すると発表しました3。今回の資金調達ラウンドでは、37のプロジェクトに対し、「米国再建のためのインフラ」と「国家インフラプロジェクト支援プログラム」から39の競争的補助金が付与されました。最大の助成金は合計10億ドルで、ミネソタ州ダルースとウィスコンシン州スペリオルを結ぶブラトニック橋の架け替えに充てられました4。全体として、2024年の計画待ち事業数の安定化と、さらなる建設に拍車をかけるであろう金利低下の可能性に助けられ、インフラ支出の期待が高まっているといえるでしょう。

人工知能(AI)&技術

ビッグテックはAIへの取り組みを強化

グーグルは、最新のAIモデル統合の一環として、改善されたチャットボットの機能を反映させるために、同社の生成AIチャットボットBardの名称をGeminiに変更しました5。グーグルはまた、複雑なコーディング、論理的推論、クリエイティブな協業に特化したGemini Advancedという有料版もリリースしました6。それに加えグーグルはGメール、マップ、ユーチューブなどの主要サービスを統合したアンドロイド専用のGeminiアプリを導入する予定です7。メタ社は、メタ社開発予定の人工知能(AGI)のオープンソース化を含むAI事業をサポートするために、エヌビディアのAIチップに数十億ドルを投入すると発表しています8。このプロジェクトには、2024年末までに35万枚以上のエヌビディアH100グラフィックカードを含む大規模な計算インフラが必要となります。エヌビディアのH100が25,000ドル~30,000ドルで販売されると仮定すると、メタ社の総支出は90億ドルを超えると予想されます9。メタ社は、エヌビディアから購入したチップを補完するために、自社製のカスタムチップArtemisを導入することを計画しています10

ヘルスケア分野のイノベーション

減量薬メーカー、生産能力拡大への取り組みを強化

ノボノルディスクの親会社の投資部門は、人気の高い肥満症治療薬ウゴービと糖尿病治療薬オゼンピックの供給を強化する目的で、医薬品メーカーであるキャタレントを165億ドルで買収しました11。続いて、ノボノルディスクがキャタレントのフィル・フィニッシュ工場3か所を110億ドルで投資グループから買収する予定です12。CDMO(医薬品開発・製造受託機関)のトップ企業のひとつであるキャタレントは、すでにノボノルディスクと提携し、大成功を収めているGLP-1治療薬を製造しています。2024年末に完了する予定のこの事業は、特にイーライリリーとの激しい競争の中で、自社医薬品の生産能力を拡大し将来の供給不足を緩和するための、ノボノルディスク社の最新の取り組みとなっています13。イーライリリーの新しい減量薬であるゼップバウンドの需要は非常に高く、2023年11月に承認されたばかりであるにもかかわらず、第4四半期の売上高は1億7580万ドルに達しました14

ソーシャルメディア

デジタル広告市場、低迷の1年から急回復

大手テクノロジー企業のアルファベット、メタ、アマゾンの四半期決算は、落ち込んでいたデジタル広告市場の著しい回復をみせました15。メタ社の広告売上高は前年同期比24%増の387億ドルで、2022年第4四半期の4%減から回復しました16。アマゾンの広告事業は27%増の147億ドル、アルファベットのグーグル広告事業は11%増の655億ドルで、ユーチューブが16%増と貢献しました17。なお、メタ社とアルファベットの広告プラットフォーム強化のためのAIへの投資も良い結果に繋がっています。売上の回復には、マクロ経済環境の好転に加え、スーパーボウルなどの大型広告イベント、パリの夏季オリンピック、次期米大統領選挙など、いくつかの要因が寄与しています18。2024年、世界の広告支出は10%増加すると予測されており、広告業界の見通しは世界的に明るいといえます19。デジタル広告費は今年、広告費全体の約70%を占め、2027年には75%近くになると予想されています20

モノのインターネット(IoT)

PC不振は終わりに近づいている

PC業界は、厳しい2023年を経て、AIの強化の極めて重要な飛躍により、回復に向かっているようです。2023年第4四半期のインテルのコンシューマー向けチップを含むクライアント・コンピューティング部門は、コンシューマー向け在庫水準の正常化と、過去にないほどのノートPC出荷台数が報告されるとともに、前年同期比33%増という著しい成長をみせました21。AMDのチップ売上高は、デスクトップおよびノートPC用途に特化したRyzen 7000シリーズCPUの旺盛な需要に牽引され、前年同期比62%の大幅増となりました22。AI競争が過熱するなか、AMDはAI PCに賭けることで、PC市場の回復を加速させることができます。このような生成AIの搭載は、AI対応デバイスを好む消費者の嗜好と一致し、PCの販売を活性化する助けになるでしょう。2027年までにPC出荷台数の60%がAI機能を搭載したものになると見込まれています23

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