次のビッグテーマ:2022年12月

Eコマース

ホリデーシーズンの売上高が予想を大きく上回る

今年の米国の年末商戦は、インフレ高進と店舗回帰の流れという逆風にもかかわらず、特にオンラインで好調な滑り出しとなりました。サンクスギビング、ブラックフライデー、サイバーマンデーの売上が、すべて2021年実績を上回りました。米国の消費者がサンクスギビングデーにオンラインで支出した額は、過去最高の53億ドルと2021年比で3%増加しました。1 大幅な割引とサンクスギビング当日に実店舗が閉店していたことが、オンラインストアの好成績に寄与した形になりました。特筆すべきは、モバイルショッピングがオンライン販売の55%を占め、前年比(YoY)8.3%増となったことです。2 ブラックフライデーとサイバーマンデーの売上は、それぞれ91億2000万ドルと113億ドルで、過去最高のオンライン売上を記録しました。3 Eコマース大手Shopifyはブラックフライデーに前年比21%増となる34億ドルの収益を記録し、業績を大きく伸ばしました。4 また、サイバーマンデーの売上は前年比5.8%増でした。アマゾンやウォルマートをはじめ、多くの小売業者がホリデーシーズンの早い段階から大幅な値引き合戦を繰り広げていましたが、サイバーマンデーの需要に水を差すことはなかったようです。

人工知能&テクノロジー

ますます身近になる自動化

OpenAIのChatGPTを使用した人が、11月のリリース後の数日で100万人以上に達しました。5 人工知能(AI)ボットは幅広く利用されており、チャットからエッセイやコンピュータプログラムの作成まで、幅広い機能を持っています。ボットは対話のスレッドを保持し、過去の質問と回答を参照して次の応答を行うことができることから、インターネット上の膨大な情報を活用することができます。また、大規模な言語モデルにより、ChatGPTは見たものをもとに自動的にテキストを作成するよう学習します。盗作を含むチャット機能の悪用の可能性に対抗するため、OpenAIは検出可能な署名によって作品を特定する電子透かしを開発中です。ChatGPTはOpenAIのAI分野における最新の試みで、過去にはGPT-3による人間が書いたような書き言葉やDALL-Eによるジェネレーティブアートなどの成功例があります。

再生可能エネルギー生産事業

クリーンエネルギーへの政府拠出が継続へ

バイデン政権はクリーンエネルギーへの投資を継続する意向で、米国の電力網の拡張と近代化のため超党派インフラ法に基づき130億ドルの新規資金を調達しました。6 2030年に温室効果ガス排出量を2005年比で50%削減し、2035年までに100%クリーンな電力を実現するというバイデン大統領のミッションには、送電システムのアップグレードが必要不可欠です。7 ホワイトハウスはまた、風力発電の送電をサポートする新しい送電線の承認も検討しています。政府は、エネルギー効率化および保全に関する補助金プログラム(EECBG)を通じて、地域ベースのクリーンエネルギーの取り組みを展開するため、5億5,000万ドルを投資すると発表しました。8 一方エネルギー省(DOE)は、クリーンエネルギーの技術的進歩の最前線で活躍する8社に対し、1億ドルを授与しています。9

リチウム&電気自動車

EV革命で加速する各社のリチウム計画

テスラ、BYD、ゼネラルモーターズなどの電気自動車(EV)メーカーは、いずれも2023年とそれ以降に向けた大型計画を立てています。テスラに関しては、テキサス州でリチウム精製プロジェクトが当局との交渉の最終段階に入っています。自社の持続可能な製品ラインをサポートするために、テスラは工場に約3億6,500万ドルを投資する予定です。10 中国のEV大手BYDは、電気スクールバスやバッテリー部品への投資を行っており、米国でバッテリー工場を建設することを検討しています。さらに、欧州でのEV生産、およびチリからのリチウム供給確保を模索しています。ゼネラルモーターズは、LGエナジーソリューションとの合弁会社であるアルティウムセルズに対し、米国エネルギー省(DOE)から25億ドルの融資を確保しました。11 アルティウムセルズは、オハイオ州、テネシー州、ミシガン州にある同社のリチウムイオン電池工場での生産を加速させるために融資を利用する予定です。

フィンテック

BNPL:2022年における消費者の救済策

インフレに対する懸念が高まる中、今年のホリデーシーズンでは米国人のBNPL(今買って後で支払う)方式への依存度が高まっています。大手BNPLプラットフォームのAfterpayは、オンラインおよび対面での取引がホリデー前と比較して120%増加したと発表しました。12 SquareとAfterpayのフェスティブ・フォーキャスト・レポートは、米国人の6人に1人がギフトシーズンにBNPLを利用する予定であるとしたことから、このトレンドを予見していました。全体として、11月27日までの1週間のBNPLの利用額は、前週と比較して推定で68%増加しています。BNPLの収益は、前年同期比で72%増加しました。13

モノのインターネット(IoT)

米国は半導体の国内覇権奪回を目指す

ミシガン州の新しい半導体製造施設であるSKシルトロンCSSは、米国のサプライチェーン・プロセスの国産化を目指しています。このプロジェクトは、テクノロジー、電気自動車、家電、兵器システムなどといった産業向けの半導体製造に関わる米国企業への520億ドルの資金提供を含む「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」に関連しています。14 また、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)は、2024年にアリゾナ州に120億ドルの工場を開設し、米国での4ナノメーター・チップの半導体生産を強化する予定です。15 同社はまた、アップルなどチップをTSMCに依存している大手ハイテク企業のサプライチェーンへの懸念を解消するため、近隣に第2工場を増設する計画も持っているようです。

パフォーマンス数値

下図は、投資テーマ(対応するETFに基づく)ごとのリターンおよび予想売上高成長率です。