次のビッグテーマ(グローバル):2025年8月

米国の電力化

AIの急成長と原子力復権が、大規模電化の加速を後押し

米国のAIデータセンターの電力需要は、2035年までに30倍以上増加すると予測されており、2024年の4ギガワット(GW)から123GWに増加する見込みです。AIは、2035年までにデータセンター全体の電力使用量の70%を占める見込みで、現在のわずか12%から大幅に増加します1。このような成長は、AIが送電網の負荷が増加する主な要因となり、電力会社、発電、送電網計画、建設業界に前例のない影響を与えることになります。コンステレーション・エナジーは、原子力発電容量の拡大に数十億ドルを投資すると発表し、その一環としてクレーン・クリーン・エナジー・センター(旧スリーマイル・アイランド原発1号機)の再開に向けた投資も含まれています。本件は2027年に稼働開始予定で、835メガワット(MW)の電力を供給する同発電所は、3,400人の雇用創出と$36億ドル(約5,300億円)の税収に加え、$160億ドル(約2.4兆円)の経済効果を生み出すと予測されています2。AIによるデータセンターの需要が急増する中、これらの投資は米国の電化推進を支え、クリーンエネルギーインフラの拡大と電力網のレジリエンス強化に向けた重要なステップとなります。

防衛テクノロジー

米陸軍、AI活用による近代化を推進 ー 統合ソフトウェア契約を締結

パランティア・テクノロジーズは米陸軍と画期的な契約を結び、従来の75件におよぶソフトウェアとデータ分析の契約を、最大100億ドル(約1.5兆円)規模の10年間にわたる包括的な企業契約に一本化しました。この契約は、陸軍のデジタル現代化戦略における重要な進化であり、高度な意思決定ツール、戦場情報システム、予測メンテナンスソフトウェアの統合を加速することを目的としています。データ統合に使用される「ゴッサム」や分析システム「マヴェン・スマート・システム」を含むパランティアの各種プラットフォームは、陸軍のあらゆる作戦に組み込まれています3。本契約は、商用AIソフトウェアを対象としたモジュール型で軍全体における一括導入への幅広い移行を反映しており、軍が各分野にまたがるデータの標準化、相互運用性の向上、そしてAI機能のより効率的な展開を可能にします。また、国防総省がAI技術によって進化した戦争への移行を継続していることを示し、商業防衛技術企業が現在、米国の国家安全保障インフラに不可欠な存在となっていることを浮き彫りにしています。

人工知能

自律的な業務実行へ — エージェントAIが加速する産業の進化

オープンAIは、AIを活用したタスク自動化イニシアチブの重大な進化として、ChatGPT Agentをリリースしました。このエージェントは、ウェブ上でのやり取り、専門的な調査、会話対応型のインテリジェンス機能を一つのワークフローに統合しています。統合されたツールは、強化学習を用いて特別に訓練されたモデル上で動作し、カレンダーの計画、レストランの予約、研究報告書、デック資料のスライド作成、オンラインショッピングなど、複雑な多段階タスクを完了する能力を備えています4。また、アマゾン ウェブ サービシズ(AWS)は、自律型AIエージェントへのアクセスを簡素化するためにAIエージェントマーケットプレイスをリリースしました。主要な連携パートナーであるアンソロピックは、プラットフォームを通じてClaudeベースのエージェントならびにツールを提供しています。企業や開発者は、サブスクリプションまたは利用に応じた料金体系でエージェントを収益化でき、AWSは少額の手数料を徴収します5。当社見解では、セールスフォースのAgentforce 3など他のローンチと合わせて、これらのリリースは次世代のAIイノベーションにおける方向性を示していると考えられます。今後、タスク実行エージェントは現在のチャット型のインターフェースを超える大規模言語モデルの能力を高めると予測されます。

米国のインフラ

歴史的鉄道合併が、米国初の大陸横断型貨物ネットワークを誕生させる

米最大手の鉄道企業ユニオン・パシフィックは、同業大手のノーフォーク・サザンを$850億ドル(約12.6兆円)の現金と株式を組み合わせた取引で買収することに合意しました。本件は米国史上最大の鉄道企業による合併となります。合併後の会社は、5万マイル(約8万キロメートル)を超える路線網を擁し、43州、100の港湾、10の国際ゲートウェイを結ぶ、国内初の東西横断貨物鉄道ネットワークを構築します。両社は、資産の効率的な活用、列車の車両入れ替え作業(スイッチング)の削減、列車速度の向上により、2029年までに年間最大$27.5億ドル(約4,100億ドル)のコストシナジーを実現できると見込んでいます。路線サービスを統一することにより、大陸横断輸送の所要時間が1~2日短縮される可能性があります。この合併は、米国のサプライチェーンの安定性を高め、国内製造業の活性化を加速させることで、トラック運送に移っていた貨物を鉄道輸送に戻すことが促されると見られています。正式な規制申請は2026年1月までに陸上輸送委員会に提出され、合併は2027年初頭に完了する見込みです6

ロボット & 人工知能

アマゾンがロボット100万台を突破、AIモデルで自動化フリートを統合管理

アマゾンは最近、日本のフルフィルメントセンターに100万台目となるロボットを導入しました。これにより、同社のロボット群は世界300か所以上の施設で稼働していることになります。また、アマゾンは新たに生成AIの基盤モデル「DeepFleet」を発表しました。これは、同社のクラウドベースの機械学習サービス「SageMaker」と社内の物流データを活用して開発されたものです。DeepFleetは、知能化された交通管理システムとして機能し、ロボット同士の渋滞を緩和し、移動効率を約10%向上させます。これにより、注文処理のスピードが加速し、コスト削減とエネルギー使用の低減にもつながっています。一方、アマゾンは人材育成にも積極的に取り組んでおり、これまでに70万人以上の従業員に対し、ロボティクス技術者やフローコントロールスペシャリスト(物流・倉庫オペレーションをコントロールする職業)といった職務に対応する再教育・スキルアップを実施してきました7。DeepFleetは生成AIの活用範囲を言語領域からロボティクス運用へと拡張し、従来の静的な自動化をリアルタイムで予測可能な物流システムへと進化させています。これにより、オペレーションの効率化や倉庫レイアウトの最適化などが実現され、AI基盤モデルが製造・物流インフラを根本から変革しつつあることが明らかになっています。

フィンテック

GENIUS法」がフィンテックの革新とステーブルコインへの信頼を再構築

GENIUS法(本法)の成立により、米国で初となる決済用ステーブルコインに関する包括的な規制枠組が確立されました。ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨に連動したデジタルトークンを指します。本法では、連邦または州当局から認可された発行者のみが、米国内でステーブルコインを発行できると定められています。また、ステーブルコインは現金や短期国債などの高品質で流動性の高い資産に裏付けされている必要があります。更に、発行者は定期的な監査の実施や月次での準備資産に関する情報開示の他、「銀行秘密法(Bank Secrecy Act)」に基づいた銀行並みの監督体制を遵守しなければならず、厳格な管理の下に置かれます。本法による規制の明確化により、決済、送金、資産のトークン化といった用途において、ステーブルコインを活用する制度への信頼感が高まると期待されています8。また、本法はステーブルコイン発行者を金融機関と同様に扱うことで、より広範なフィンテック導入を促進することを目指しています。例えば、ファイサーブは銀行との相性が良いステーブルコイン「FIUSD」を最近発表しました。これは既存の金融インフラに直接統合できるように設計されており、金融機関は大規模なシステム改修をせずにステーブルコイン決済を導入できるようになります9

関連ETF

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223A – グローバルX AI&ビッグデータ ETF

178A – グローバルX 革新的優良企業 ETF

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