次のビッグテーマ:2022年4月

The Next Big Theme: Thematic Newsletter Global X ETFs

再生可能エネルギー

民間企業、気候変動関連報告の公表義務化へ

米国証券取引所(SEC)では、上場企業に対し、自社における温室効果ガスの排出量およびカーボンフットプリントに関する詳細情報を、定期的な財務報告およびリスク開示と共に報告するように義務付けることを提案しています。スコープ3の排出(サプライヤーおよび顧客において発生する排出)を伴う企業については、これらの排出が投資家にとって重要な考慮事項であるか否かを開示することが義務付けられると予想されます。

欧州では、欧州委員会が、2030年までにロシア産の化石燃料への依存から脱却するための計画概要を発表しました。「REPowerEU」と呼ばれるこの計画では、エネルギー価格の高騰を踏まえて、同年までに天然ガス在庫を補充するための段階的な取り組みが記載されています。EUでは、エネルギー源の多様化を通じて、ロシア産天然ガスに対する需要を2022年内に3分の1に削減することとしています。さらに米国では、最近公表されたCHARGE法案において、エネルギー価格の引き下げを実現するために将来を見据えた排出計画の策定が要求されています。

アグテックと食糧のイノベーション

グローバルな食糧確保への懸念

国連では、2022から23年にかけてのマーケティングシーズンにおいて、世界全体の食品、飼料価格が20%上昇すると予測しており、これにより世界的な栄養不良が進むことになると予測しています。1国連食糧農業機関(FAO)では、短期的に、ウクライナにおける穀物生産やロシアからの輸出の見通しについて懸念を表明しています。ロシアとウクライナの両国による穀物輸出量は、合計で世界全体の3分の1以上を占めています。2グローバルな食品価格の値上がりに関する懸念に加えて、肥料についても、ロシアが世界最大の輸出国であり、生産過程において天然ガスが重要な役割を占めているため、価格が43%上昇しています。3米国は、引き続きG7各国との連携によりグローバルな食品サプライチェーンを強化することで、価格急騰の抑制に努めています。

電気自動車

電気自動車の需要、かつてない高まり

自動車メーカー各社は、燃料価格の上昇によって、電気自動車(EV)の普及を促す絶好の機会が到来したと見て、電気自動車への注力を一層強めています。ベルリン市内のギガファクトリー(240万平方フィート)の完全操業により、テスラは同社における最も重要な市場のひとつにおいて生産を開始しました。4欧州では2035年以降、ガソリンおよびディーゼル燃料の新車販売の実質的禁止が検討されていますが、テスラは同地域において電気自動車を年間50万台生産する計画を発表しています。5,6

さらに、電気自動車分野における企業間のコラボレーションが引き続き拡大しています。多国籍自動車メーカーであるステランティスは、LGエネルギーソリューションと共同で、年間で最大総電力量45ギガワットアワーとなるバッテリー生産を目指す工場をカナダで建設する計画を発表しました。7また、業界最大手のフォルクスワーゲンおよびフォードは、両社のパートナーシップをさらに拡大しています。フォルクスワーゲンは、欧州市場において、フォードの第2世代EVのアーキテクチャを提供する予定です。フォードは、フォルクスワーゲンによる追加の支援を受けて、2023年〜2029年におけるEV生産予定台数を120万台にまで倍増させました。8また、ホンダとソニーは、モビリティサービスと連動した最先端のバッテリー搭載型EVを製造する新会社を設立する意向です。

サイバーセキュリティ

「オプション」から「義務」へ

バイデン政権は、ロシアによるサイバー攻撃の脅威が常に存在することを受けて、民間セクターおよび重要インフラ所有者ならびに操業者に対して、政府と共同で、サイバーセキュリティに対する国を挙げた取り組みに参加することの重要性を訴えています。新たに導入された法律では、サイバー攻撃を受けた企業は、攻撃を発見してから72時間以内、ハッカーに対して身代金を支払ってから24時間以内に、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)に通知することが義務付けられます。9CISAはまた、関連官庁と連携して、サイバーセキュリティ対策に取り組む予定です。具体的には、データ侵害を防止し、医療ケアの提供コストの上昇を防ぐことを目指す「医療サイバーセキュリティ法」は、同庁と保健福祉省(HHS)が共同で提案したものです。EUでも同様に、官庁の枠を越えて新たにサイバーセキュリティ委員会およびコンピュータ緊急対応チーム(CERT-EU)を設立することを含む、サイバーセキュリティのフレームワークを導入しています。

ゲノミクスおよび高齢化

迅速承認された新薬関連法案

米国下院エネルギー・商業委員会は、食品医薬品局(FDA)による迅速承認制度を通じて承認された新薬につき、患者に実際の医療効果があることを証明するための「迅速承認インテグリティ法案」の内容について公表しました。同法において新たなレビュープロセスが導入されることによって、有効性が証明されていない新薬が流通してしまうことを防ぐことができます。同法ではさらに、迅速承認された医薬品に対する早急なフォローアップを行うために、FDAに対して多額の予算を割くことが可能になります。この法案は、迅速承認により新薬を患者に提供できる期間が短縮されるため、一部のがんを含む希少疾患の治療を目指す医薬品メーカーにとって朗報だと言えます。

IoTおよび自律走行車

半導体メーカーが未開拓事業に乗り出す

Nvidiaでは、自動車向け半導体事業を、数十億ドル規模の新たなビジネスと見込んでいます。同社では、従来は業務セグメントとして小さい規模に過ぎなかった自律運転プラットフォームに対するアップデートについて公開し、その中で今後6年間にわたり、自動車関連の技術パイプラインに110億ドルもの莫大な予算を投じることを発表しました。10同社はNvidia GTC(開発者向け年次コンファレンス)において、自動車関連の技術サービス市場が今後3,000億ドル規模に拡大する可能性があるとの予想を行っています。11同社はすでに、Lucid、BYD、メルセデスベンツ、およびジャガー/ランドローバーをはじめとする大手自動車メーカーとの間で契約を結んでいます。同業界内でもう一つの最大手であるインテルも、EUにおける半導体分野の研究開発および製造に対して、330億ユーロの初期投資を行っています。この計画に基づく施設建設は2023年初頭に開始され、実際の製造開始は2027年に予定されています。12