ソーシャルメディア: 利用シェア拡大と低いバリュエーションはアウトパフォームに繋がる可能性がある
ソーシャルメディアプラットフォームは、新型コロナウイルスの追い風が弱まったにもかかわらず、消費者の日常生活においてその役割を確固たるものにしています。Meta Platforms、YouTube、TikTok、Snapchatを含む主要なグローバルサービスではソーシャルメディアの利用時間やエンゲージメントが著しく増加しています。広告市場の低迷によりソーシャルプラットフォームのトップライン成長は抑制されていますが、Global Xは、広告市場が回復すれば、ソーシャルメディア企業は既存の大手チャネルに比べてより強く成長し、資金の流れはそのトレンドに乗ると考えます。ソーシャルメディアのバリュエーションがかつてないほど低くなっている今、投資ケースがより魅力的なものになると思われます。
重要なポイント
- ソーシャルメディアの使用時間は過去3年間一貫して増加しています。既存の大手チャネルからの関心の移行は永続的なものである可能性が高いと考えられます。
- ソーシャルメディアプラットフォームによるショート動画などの新しいフォーマットへの投資は、既存大手メディアの使用時間の減少を加速させています。
- 2022年の広告費の低迷から抜け出せば、ソーシャルメディア企業の売上高の伸び率も回復していく可能性があります。魅力的なバリュエーションから、素晴らしい投資チャンスが見えてきている様子です。
ソーシャルメディアのShare of Attention(注目度のシェア)は増加している
世界中で約49億人がソーシャルアプリを使用し、一人あたり一日平均2時間31分ソーシャルプラットフォームを使用しています1,2。全体的にオンラインに費やす時間が減少している中、ソーシャルメディアに費やす時間のシェアは拡大し続け、過去12ヵ月で3ポイント増加しています3。
アウトドアレジャーや通勤、オフィスへの勤務などの生活に戻る中でもこのような成長がみられることは、エンターテインメント、ニュース、その他コンテンツの垂直統合に成功していく中で、ソーシャルプラットフォームが消費者にとっての日常のデジタルレジャーの主要チャネルとしての地位を確固たるものにしていることを示しています。
大手ソーシャルメディアからの最近の四半期決算は、エンゲージメントの増加を実証しています。直近の四半期決算では、Meta Platformsがアプリファミリーのデイリーアクティブユーザーが前年比5%増の30.2億となったと報告しています4。ソーシャルメッセージアプリを運営するSnapchatのデイリーアクティブユーザーは3億8300万人を突破し、前年比15%増となりました5。AlphabetのYouTubeは引き続きNetflixやほかの人気SVOD(オンデマンドの動画ストリーミング)サービスをおさえ、ストリーミング時間で最大のシェアを誇っています6。
Robloxなどのソーシャルプロフィールを中心に構成されたゲーミングプラットフォームも同様の成長を遂げています。Robloxは2023年2月の1ヵ月間で前年月比22%増の6730万人のデイリーアクティブユーザー数を記録しました7。このような推移の変化は一時的なものではなく、ネットワーク効果の改善、プラットフォーム上のコンテンツ量の増加、バンドルサービスによって成長のフライホイール効果がブーストされ、この注目度の移行は永続的なものだと考えられます。
ソーシャルメディアは既存大手メディアの侵食しながら成功を収めています。米国でテレビを視聴する時間は年々減少しており、2023年には前年比で17%落ちると予測されています8。新聞の購読者数も同様に減少し続けています9。テレビの視聴率が低下する中、米国のZ世代の約47.3%が1日に3時間以上ソーシャルメディアを使用しています10。
ショート動画の時代ははじまったばかり
TikTokの成功により、ショート動画に注目が集まりました。わずか5年足らずで、TikTokは主要なソーシャルネットワークを差し置き、米国のユーザーが1日平均55.8分このプラットフォームを使用するようになりました11。この成長により、TikTokは昨年、推定110億ドルの収益を上げました12。
このフォーマットの人気により、他のプラットフォームもショート動画を導入せざるをえなくなりました。結果として、MetaのInstagramリール、Snapchatのスポットライト、AlphabetのYouTubeショートの利用シェアは急速に増加しています。このような印象的な現象をプラットフォームで効果的に収益化する方法が探求されています。例えば、Metaはリール広告を使用し始めた広告主はわずか40%に過ぎないと発表しています13。ショート動画は今後数年間、これらのプラットフォームの成長の主要な原動力となる可能性があるとGlobal Xは考えています。
また、TikTokはこれまで有利なポジションを維持することに成功しているものの、その優位性は規制リスクの高まりによって脅かされており、これはMeta Platforms、GoogleのYouTube、Snapにとってプラスにはたらくと見ています。規制当局が米国でのTikTokのビジネスを制限すれば、市場の関心と110億ドルの収益は、Meta、Alphabet、Snapの成長を大きくブーストする可能性があります。
最後に、ショート動画は没入型コンテンツへの導入にもなると考えています。ユーザーがソーシャルプラットフォームで過ごす時間が増え続け、現実逃避的な生活を送るようになるようにつれ、コンシューマーテクノロジーは、没入型体験、マルチモーダル入力、直感的インターフェース、高速接続、そして新しいユーザーからの需要に対応していかなければなりません14。
成長への復帰可能性は高い
2022年、金利の上昇と強まる景気後退への懸念の高まりは、ブランドに広告費を多く使うことを思いとどまらせました。その結果、デジタル広告業界は、史上初の1桁成長を記録しました15。Meta Platforms、Alphabet、Snapそしてその他広告ベースのソーシャルプラットフォームは前年比で減収したことを報告しました。
しかし、2023年には急速な回復が見込まれています。今年、デジタル広告への支出は10.1%増加し、その後も数年間成長スピードは上がっていくと予想されます16。ソーシャルプラットフォームは景気後退の中でもエンゲージメントをのばしたことから、回復後には大きな恩恵を受けると考えられます。また、世界広告費の約34.8%がいまだに非デジタルチャネルに配分されており、この一部も近いうちにオンラインに移行すると思われます17。
一方、ソーシャルメディア企業は不況を理由に積極的なコストカットを進めています。Meta Platformsは最後の人員削減で1万1000人を削減し、Alphabetは12,000人を削減、採用を一時停止しました18,19。これらの削減は、戦略的な資源の再配分と相まって、企業の効率化を加速させ、今後数年間、収益の効率を高めると考えられます。
生成AIも、今後成長の大事な原動力となるでしょう。パーソナライズされたコンテンツ制作から、より正確なユーザーターゲティング、中小企業向けのより洗練された効果的なチャットボットまで、生成AIはユーザー、マーチャント、ブランド向けの機能を活用し、ソーシャルメディアプラットフォームのマネタイズを高めるサポートができます。
結論: アウトパフォームの可能性
持続的なインフレや不安定なマクロ経済の状況により、広告市場全体が低迷しているため、ソーシャルメディアプラットフォームの成長は抑制されています。しかし、消費者がデジタルチャネルをニュース、エンターテインメント、コンテンツサービスを求めて当たり前に使うようになるにつれ、プラットフォームの利用シェアは増加し続けています。広告の低迷が緩和し、いずれ終わると考えると、ソーシャルプラットフォームも再び成長に転じ、収益性を高められる可能性があると考えられます。最近の市場は好意的に思われていますが、依然、ソーシャルメディアのバリュエーションは魅力的です。