次のビッグテーマ: 2020年3月

リチウム&バッテリー技術

リチウムの扉を開く

ビル・ゲイツ率いるBreakthrough Energy Venturesは、革新的なリチウム抽出技術の実現を目指す米国のスタートアップ企業に投資することを発表しました。投資先のスタートアップ企業Lilac Solutionsは、海水からリチウムを抽出するイオン交換技術の商品化を目指している採鉱技術会社です。このイオン交換技術は、従来の技術と比べて遥かにスピーディかつ低コストで、拡張性に優れています。当技術は、電気自動車(EV)に必要なリチウムの供給量を大幅に拡大することを目的としています。EV化の波を止めることはできません。しかしながら、リチウムを含む主要原材料は、今後、需要が供給を上回ることが予想されます。技術の進歩が本格的なEVへの移行において重要な役割を果たすことは間違いありません。

フィンテック

カルマ(Karma)はインテュイット(Intuit)の方向に

フィンテック分野では引き続きM&Aが活発に行われています。IntuitはCredit Karmaを70億ドルで買収すると発表しました。本件はIntuitにとって過去最大規模の案件となります。Intuit はTurboTax(税金申告ソフト)による税務サービス事業を中核事業としており買収によってCredit Karmaの信用スコアや借入履歴といったサービスを強化する狙いです。当社の見方:2019年、フィンテック業界ではM&Aが爆発的な盛り上がりを見せましたが、2020年もこのトレンドが継続するものと思われます。他の大型買収事例としては、Morgan StanleyによるE*Tradeの買収(130億ドル)、VisaによるPlaidの買収(53億ドル)などが挙げられます。また、金融機関の間では社外に技術開発を求める機運が高まっています。老舗金融サービス機関は、フィンテック企業の攻勢から自社事業を防衛する動きを急ピッチで進めており、その多くがフィンテック企業との提携あるいは完全買収を選択しています。

ゲノミクス

100ドル未満でDNA配列解析

ヒトゲノムあたりの配列解析コストはムーアの法則を超える、劇的なペースで低下しています。技術の進歩はとどまるところを知りません。中国のゲノミクス会社BGI Groupは最近の業界の会合で、史上初めて解析コストが100ドルを切ったことを明らかにしました1 。なんと2001年は1億ドルと莫大なコストがかかっていました2 。あらゆる種類の遺伝子検査のコストが低下した結果、今や個人用DNA検査キットをオンラインで購入し、誰でも簡単に遺伝子解析サービスを利用できるようになりました。このトレンドは今後しばらく続く見込みで、医師から製薬メーカー、医療機器メーカーに及ぶあらゆる医療業界関係者の能力が向上し、診断の改善や新たな治療方法の開発につながることが期待されます。

人工知能

アンドロイドによるデジタルな創薬の夢が現実に

科学者はAIのラーニング機能を利用し、世界で最も危険な薬物耐性菌の一部を退治する強力な抗生物質を発見することに成功しました。こうした薬物耐性菌の中には、WHOが最優先すべき最も危険な病原菌に認定した3つの病原菌のうちの2つが含まれます3。研究者はまず、約2,500種類に及ぶ薬剤と天然化合物の原子データをAIに入力し、このデータを使って病原菌を死滅させる分子を特定するアルゴリズムを深層学習させました。どの分子が大腸菌の成長抑制に効果的かテストし、その分子に共通する特徴を持つ抗生物質を突き止めました4。病原菌が、人類がこれまで頼りにしてきた薬剤に耐性を持つ菌へと進化している現在、既成の枠にとらわれない方法で薬を開発し、また私達や次の世代の治療効果を改善するのにAIが大いに役立つことを示すものです。

バイオテクノロジーと寿命

心臓に「バンドエイド」を

研究チームが心臓発作患者を治療する心筋パッチを開発。このパッチは、心臓細胞をシート状に加工したもので、患者に移植することで、傷ついた心筋細胞を再生します。心臓は常に動き、独自の「電気信号特性」を備えており、これまで同様のバイオ技術で心臓を治療するのは困難でした。しかしながら、研究者・開発者は「溶解エレクトロワイヤリング方式」と呼ばれる新たな方法を用いることで、心筋細胞に代わるパッチの開発に成功しました。次のステップは、心筋細胞を必要としないパッチを作り、心臓の自然な鼓動を回復することです5。世界全体では、心疾患は男女問わず死亡原因の第1位となっており、バイオ技術の進歩であらゆる世代で寿命が延びる可能性があります。

サイバーセキュリティ

デジタル版ワイルドウェスト

サイバーセキュリティ会社Emsisoftは最新の報告書の中で、昨年ランサムウェアによる攻撃を受けた企業がクラッカーに支払った金額は250億ドルに達したと報告しています。これだけでも莫大な金額ですが、実際の被害総額は合計1,700億ドルと身代金を大きく上回っています7。クラッカーに支払った金額以外に、業務が中断することによる損失、攻撃への対処にかかる費用、今後の攻撃に備えるセキュリティ強化にかかる費用等です。2019年はランサムウェアによる攻撃が41%増加した一方、クラッカーの要求額は2018年の41,198ドルから2019年には84,116ドルと104%も増加しました8。企業の33%が支払い要求に応じており、Gartnerの試算によると業務中断に伴うコストは1分あたり5,600ドルに上っています。コストが増加した原因として、RyukやSodinokibiといった新たなマルウェアの登場が考えられます。

 

パフォーマンス数値

下図は投資テーマ別ETFのリターン及び予想売上成長率です。

上記記載のパフォーマンス数値は過去のパフォーマンスを示すものであり、将来の成果を保証するものではありません。投資のリターンと元本額は変動するため、売却または償還時の価値は当初コストを上回る、または下回る場合があります。また現在のパフォーマンスは記載の数値を上回る、または下回る場合があります。1年を超える期間に係るリターンは年率換算されています。市場価格に対するリターンは取引所取引終了時点のビッド/アスクスプレッドの仲値に基づくものであり、他の時点で取引を行った場合に得られるリターンではありません。直近月末までのパフォーマンスに関するデータにつきましては1-888-493-8631まで電話でお問合せいただくか、www.globalxetfs.comをご覧ください。

ETF HOLDINGS:

Global Xの成長テーマ別各ETFの詳細につきましては以下のリンクをクリックしてください:

  • 破壊的技術:

BOTZ:グローバルX ロボット&AI・ETF

CLOU:グローバルX クラウド・コンピューティング ETF

FINX:グローバルX フィンテック ETF

HERO:グローバルX ヒーローズ(ゲーム&eスポーツ)ETF

脚注

  1. MIT Technology Review:中国のBGIは、たった100ドルでゲノムの配列解析が可能になったことを明らかに」2020年2月26日
  2. Global X ETFs:「ゲノミクス:ヘルスケアの次の飛躍」2019年4月9日
  3. Vox.com:「AIがいつか貴方の命を救うかもしれない新たな抗生物質を発見」2020年2月27日
  4. Cell:「ディープラーニングを用いて抗生物質を発見」2020年2月20日
  5. Trinity College Dublin:「バイオエンジニアリングで心臓を修復」2020年2月13日
  6. 世界保健機関:「心血管疾患」2020年
  7. Emsisoft:「レポート:2020年のランサムウェア被害額、国別分析」2020年2月11日
  8. Decrypt:「なぜ身代金がランサムウェア被害額のほんの一部に過ぎないのか」2020年3月2日