Global X カバードコール&グロース戦略のご案内

この10年間、インカム投資家はポートフォリオに投資妙味のあるインカム源を分散して組み入れることに頭を悩ませてきました。歴史的な低金利の中、債券など従来のインカム源では投資家のインカム・ニーズを満たすことは往々にして困難です。時を同じくして、高齢化は進み、世代を超えて富を保有するニーズが高まる中、投資家は以前にも増してグロース投資に傾注しています。その結果、高いインカムの可能性と長期的な成長機会を共にもたらすオルタナティブ資産クラスと戦略へのニーズが日に日に拡大しています。

Global Xは、投資家の目標を効果的に両立するために、QYLGとXYLGを設定しています。

QYLGとXYLG:インカムと成長ポテンシャルの獲得を目指すカバードコールETF

QYLGとXYLGはカバードコール売り戦略を採用することで、インカムと成長機会の両方の獲得を目指します。QYLGとXYLGの主な特長は以下のとおりです。

  • 両ETFは、ナスダック100(QYLG)およびS&P 500(XYLG)に連動する証券を各指数と同じウェイトで購入します
  • 両ETFは、ナスダック100(QYLG)およびS&P 500(XYLG)の指数コールオプションをアット・ザ・マネー(ATM)で毎月売り、インカムの獲得を目指します
  • 売りオプションは、各ファンドが保有する株式価値の50%をカバーしています。つまり、両ファンドは、トラッキング対象の指数がアップサイドに動いたときに得る利益の約半分を獲得します

QYLGおよびXYLGはそれぞれ、Global Xのカバードコール戦略であるQYLDおよびXYLDに類似しています。主な相違点として、QYLGとXYLGが保有銘柄の50%をカバーするオプションを売るのに対して、QYLDとXYLDは100%をカバーします。つまり、QYLGおよびXYLGはそれぞれ、原資産である指数のアップサイドに対して約50%のエクスポージャーを取る一方で、獲得するインカムはQYLDやXYLDの半分にとどまる仕組みになっています。

カバレッジ比率:グロースとインカムのトレードオフ

保有する指数や資産、売却するオプションのマネーネス、コールオプションでカバーするポートフォリオ内の金額など、カバードコール戦略の設計には数多くの判断が求められます。前ページで例示したように、一般的には原資産のポジションを完全または部分的にカバーします。指数が1%上昇した場合、フルカバーの投資家はその利益を獲得できませんが、カバレッジレシオが50%の投資家はそのアップサイドの0.5%分を獲得できます。一方、指数が1%下落した場合、フルカバーの投資家は当該株式の下落の影響を受けるものの、オプションプレミアムを受け取ることで一部相殺できる場合があります。カバレッジレシオが50%の投資家は当該株式の下落の影響を受け、100%カバーの投資家より大きな損失を被るでしょう。なぜなら、カバレッジレシオが50%であれば、受け取るオプションプレミアムも半分になるからです。

フルカバーでは、ポートフォリオに組み入れた原資産証券の価値の100%を対象にコールオプションを売却します。仮にポートフォリオに1億ドル相当のナスダック100銘柄を保有していた場合、フルカバーの投資家は、1億ドルに相当する想定元本または投資家のポートフォリオ価値で、ナスダック100のコールオプションを売却するでしょう。コールオプション売りの想定元本はポートフォリオ内の株式価値と同等になるため、オプションがイン・ザ・マネーの場合、原資産ポートフォリオ内のすべての利益が相殺されます。指数の上昇1%分がコールオプション売りの損失1%で相殺される仕組みです。つまり、カバレッジレシオが100%で、さらにオプションをアット・ザ・マネーで売却する場合、QYLDやXYLDと同様に、投資家はアップサイドの可能性をほとんど、または一切獲得できません。しかし、フルカバー戦略ではコールオプション売りの金額がアンダーカバー戦略より大きくなるのが常であるため、獲得するインカムも増加します。

言い換えれば、アンダーカバーのポートフォリオでは、コールオプション売りの想定元本がポートフォリオ内の株式価値を下回ります。例えば、ポートフォリオにナスダック100銘柄を1億ドル相当保有している場合、カバレッジレシオ50%の戦略では、ナスダック100を対象にして想定元本5,000万ドル相当のコールオプションを売却します。その結果、ポートフォリオ内の株式価値が1%増加すれば、オプションのポジションに起因する損失によってその利益は0.5%押し下げられます。そのポートフォリオは原資産証券のアップサイドを50%享受するということです。この戦略を採用しているのがQYLGとXYLGです。アップサイドの恩恵をより多く受けるトレードオフとして、フルカバー戦略よりもインカムは減少します。以上の点から、この戦略はインカムと成長ポテンシャルの両方の獲得を目指す投資家に適しています。

ナスダック100とS&P 500の特徴

QYLGとXYLGはともにカバレッジレシオ50%の戦略ですが、トラッキングする指数は異なります。QYLGはナスダック100指数の銘柄を保有してナスダック100の指数コールオプションを売却しますが、XYLGはS&P 500銘柄を保有してS&P 500の指数コールオプションを売却します。ナスダック100とS&P 500、どちらのカバードコール戦略を選択するべきでしょうか? それはポートフォリオ内のエクスポージャー水準や投資家の目標、市場見通し次第です。

ナスダック100は情報技術セクター中心の指数であり、金融セクターを除外しています。一方、S&P 500指数は組み入れセクターも広く、より分散の効いた指数です。組み入れセクターが違うため、これら2つの指数では、けん引役やパフォーマンス、ボラティリティ、他のインカム戦略との相関関係が大きく異なります。

歴史を紐解けば、高ボラティリティはナスダック100で顕著に見られます。過去のデータによると、ナスダック100はS&P 500より高いボラティリティを継続的に示しています。高ボラティリティの方がオプションプレミアムも大きくなるため、投資家としては、S&P 500よりもナスダック100のオプションを売却した方がインカムが増える可能性があります。

ナスダック100は、情報技術や通信サービスなどの「新経済」セクターに集中しているため、より高い成長が見込まれます。一方、S&P 500は、生活必需品や公益事業、金融セクターへのエクスポージャーが大きく、成長の度合いは小さくなる傾向にあります。

これらのセクターがボラティリティを低下させて市場の後退期にバッファーとなる可能性はありますが、指数の長期的成長の足を引っぱる要因にもなりかねません。

カバレッジレシオが50%のカバードコールETFを選ぶ

50%のカバードコール戦略は成長ポテンシャルとインカムの両立を目指しているため、両方の成果を求める投資家にぴったりです。例えば、最近退職したばかりで、貯蓄を切り崩しながら今後20~30年間生活する投資家の場合、インカムとインフレヘッジ目的の成長株の両方を望む場合があります。さらに戦略的な場合、今後の市場に対して強気な見通しを持ち、フルカバーから50%カバーの戦略へ切り替えて、近い将来にさらなるアップサイドを目指す投資家もいるでしょう。

また、特定セクターへのエクスポージャーが既に過大な点を懸念して、ポートフォリオの分散を図る投資家もいるでしょう。例えば、インカム重視のポートフォリオでは金融や公益事業、不動産などの高配当セクターのウェイトが大きく、情報技術や通信サービス、医療などをアンダーウェイトする傾向にあります。50%カバードコール戦略の商品を購入すれば、アンダーウェイトしたセクターへのエクスポージャーを高めつつ、インカムも継続的に獲得できる場合があります。

50%カバードコール戦略でもアップサイドの半分は手放すため、投資家が市場に対して強気の見方を持ち、インカムへの選好も高くない場合、アップサイドの半分を諦めることは難しい決断となり得ます。100%の完全なカバードコール戦略よりインカムは少なくなりますが、どの戦略を選択するかは投資家の目標や市場見通しによって決まります。

投資家が自らの手でカバードコール戦略を運用することもできますが、カバードコールETFへ投資する方が効率的です。ETFを一つ購入してプロの運用マネージャーへ委託することで、ナスダック100の各銘柄を購入してコールオプションを毎月売却する手間を省略することができます。

足元の市場環境を見ると、50%のカバードコール戦略がうってつけでしょう。各国の中央銀行がきわめて低い金利水準を設定する中、大半の資産クラスでインカムの獲得が難しくなっています。その一方で、株式市場は堅実に成長しています。エクスポージャーの半分をアップサイドの可能性に振り向けて、残りの半分でインカムを獲得する戦略は、現在の特異な市場環境と向き合ううえで、魅力的な解決策になるでしょう。