イノベーションに対する規制が明確になり、ブロックチェーンの勢いが加速
ブロックチェーンのテーマは、デジタル資産に関する重要な規制や機関投資家の参入の増加、拡大しつつあるAIコンピューティング・エコシステムとの連携強化が構造的な推進要因として登場し、再び勢いを強めています。
ステーブルコイン市場は2025年9月の2,820億ドル(約44兆円)から2030年末までに1.9兆ドル(約300兆円)に拡大する見通しですが、米国のジーニアス(GENIUS)法とそれに関連する法律がこのステーブルコインの規制環境を決定しつつあります1。ジーニアス法は、金融サービス部門におけるステーブルコインの発行や統合に関して明確な安全措置を規定することにより、これらのデジタル資産を従来の金融システムへよりシームレスに統合させる基盤を提供します。他方、機関投資家によるデジタル資産の導入は米国におけるスポット暗号資産ETFの成功から明らかであり、今や、機関投資家はビットコイン流通量の8%近くを所有しています2。トークン化などの分野でのイノベーションがさらなる追い風となっています。
グローバルXでは、これらの要因の融合がブロックチェーン技術のメインストリーム化への普及を加速させているとみています。金融サービスやポートフォリオ、現実世界での様々なユースケースを通じてブロックチェーンを組み入れている企業への株式投資を目指す投資家にとって、グローバルXブロックチェーンETF(BKCH)は魅力的な投資商品だと考えられます。
重要なポイント
- 米国で新たなデジタル資産の規制が導入されたことで、ステーブルコインを始めとする暗号資産に明確性がもたらされ、ブロックチェーン技術に対する投資家の信用と信頼感が高まりました。グローバルXでは、これが機関投資家のデジタル資産導入に向けた重要な一歩となり、金融エコシステム全体でステーブルコインの重要性が正しく評価され始めると考えています。
- ステーブルコインが中核的金融インフラへと進化するにつれて、ブロックチェーン・アプリケーション分野が急拡大し、金融やデジタルのネットワーク全体における実世界での用途、流動性、イノベーションを支えています。
- ブロックチェーンとAIの融合は、暗号資産マイニング(採掘)データセンターを多様なコンピューティング・プロバイダーに変化させ、ビジネスモデルを強化し、ブロックチェーンをAI時代の中核的な柱にしつつあります。
規制がデジタル資産を新時代へ導く
デジタル資産をめぐる規制上の不確実性が何年にもわたって続いていましたが、米国は暗号資産に関する初の包括的な国家法制について画期的な一歩を踏み出し、デジタル資産がより広範に統合されることを目的とした3つの法案が提出されました。
より広範な規制の明確化に向かう重要な一歩として、中核となるジーニアス法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins (GENIUS) Act)が2025年7月に成立し、米ドルを裏付けとする決済ステーブルコインの明確な枠組みを定めています3。この動きは、暗号資産関連の資産や企業、ブロックチェーン・インフラのプロバイダーおよびオンチェーン機能(ブロックチェーン上で直接記録・実行される取引やデータ処理の仕組み)を組み入れている従来型の金融機関やフィンテック企業にとって、かなりの追い風になるものと予想されます。
ジーニアス法について:ステーブルコインを守る安全措置
ジーニアス法は、ドルを裏付けとするステーブルコインをより明確で信頼性が高まるように、また、従来の金融システム全体との相互運用性が強まるように設計された連邦枠組みを導入します。同法は、発行体に対し、(ステーブルコイン発行額と)1対1の準備金を現金または米短期国債で保持することを要求し、毎月の準備金の開示を義務付けています。同法はまた、ステーブルコインの発行者が破産した場合のステーブルコイン保有者に対する法的保護を定め、銀行や認可された事業体など、ステーブルコインを発行する可能性のある者に対して明確な適格基準を設定しています4。
ジーニアス法の重要な目標は、消費者の保護、不正行為の減少、金融システム全体の保護を通じて、個人や企業がステーブルコインを安心して使用できるようにすることによって信頼と安定性を高めることです。具体的には、ステーブルコインが決済、銀行、暗号資産市場で円滑に運用されるように整備します。規制当局の監督もステーブルコインの役割を正当化するのに貢献し、機関投資家の信頼を高め、イノベーションを促進し、ステーブルコインをニッチな暗号資産から主流の金融インフラへと進化させます。
ジーニアス法と並んで、クラリティ法(Digital Asset Market Clarity Act)と反CBDC(中央銀行デジタル通貨)監視国家法(Anti-Central Bank Digital Currency(CBDC) Surveillance State Act)も下院で承認されました。
- クラリティ法は、暗号資産がどのように機能するかに基づいて監督官庁を割り当てます。ビットコインなど、コモディティのように機能する暗号資産は米商品先物取引委員会(CFTC)が監督し、投資や企業の株式に類似したトークンは米証券取引委員会(SEC)が監督します5。
- 反CBDC監視国家法は、米国人が金融面で監視されないようにすることを目的とし、連邦準備制度理事会が議会の明示的な承認なしに個人向け中央銀行デジタル通貨を発行することを禁止します6。
ステーブルコインがブロックチェーン・アプリケーションを促進する
新たな規制では、米ドルなどの法定通貨の信頼性と暗号資産のスピードや柔軟性とを併せ持つステーブルコインは、機関投資家が暗号資産を採用する入り口として位置づけられています。ステーブルコインは単なる暗号資産取引ツールを超えて拡大し、現在では24時間365日利用可能な流動性や資金移動のインフラとして機能しています。
新規制の成立を受けて、ステーブルコインの供給量と取引量は急増し、総供給量は2025年初めの2,000億ドル(約31兆円)から9月には2,800億ドル(約44兆円)に達しました7。この急増は、人気の高いUSDコイン(USDC)を発行するサークル・インターネット・グループやUSDTを発行するテザーなどの主要なステーブルコイン発行企業に恩恵をもたらし、両社とも需要の増加とかなりの増益を確保したと報告しています。サークル・インターネット・グループの2025年第3四半期売上高は、主にUSDCの準備金からの収益が前年同期比60%増加したことにより、前年同期比66%増の7.4億ドル(約1,150億円)となりました。USDCの流通量は前年同期比108%増の737億ドル(約11兆円)に達しました8。
ステーブルコインの推定市場規模は巨大で、導入が進むにつれて急速に拡大しています。世界の支払、送金、貯蓄のほんの一部でもステーブルコインに移行するだけで、その潜在的な取引量は数兆ドルに達する可能性があり、イノベーションの好循環が始まります。ステーブルコインの発行総額は2025年11月12日時点で約3,000億ドル(約47兆円)ですが、2030年までには1.9兆ドル(約300兆円)を超えると推定されています9。
ステーブルコインを支えるインフラが引き続き成熟し、改善するにつれて、周辺のブロックチェーン・アプリケーション分野もそれに伴って進化すると予想されます。この恩恵を受けるのは、ステーブルコインの発行体、支払・決済ネットワーク、消費者向けアプリ、オンランプ(法定通貨を暗号資産に交換するサービス)・オフランプ(暗号資産を法定通貨に交換するサービス)のプロバイダー、および伝統的な金融機関です。ステーブルコインの機能が拡張され、発行や送金、交換などの現実世界での使用が可能になることで、これらのプレーヤーは、より接続性と効率性に優れたデジタル金融エコシステムから利益を得ることができます。
イーサリアムやソラナのような決済プラットフォームもブロック空間に対する需要の高まりから恩恵を受けるとみられ、ジーニアス法成立後のイーサリアムの好調なパフォーマンスが示すように、ネイティブ・トークンの価値が高まる可能性があります。複数のブロックチェーン決済プラットフォームもステーブルコインを発行しています。このマルチチェーン・フットプリント(複数のブロックチェーン上で暗号資産が利用可能な状態)の拡大は、取引フローと流動性をめぐるブロックチェーン間の激しい競争をもたらし、それがイノベーションを加速させます。
より多くの従来型の金融機関や小売企業がステーブルコイン取引を自社のシステムに統合するにつれて、コインベースやペイパルなどの消費者向けフィンテック・アプリケーションが急速に拡大する可能性があります。ペイパルは2023年に独自のステーブルコイン「ペイパルUSD」を発行し、アマゾンなどの大手電子商取引プラットフォームも独自のステーブルコインを開発しています。これらの進展により、かなりの取引活動が従来の現金やカード決済から企業独自のデジタル決済ネットワークに移行する可能性があります10。
また、ガバナンスの進化に伴い、銀行や決済ネットワークなど、これまで導入に消極的だった企業が、資産保管(カストディー)、取引処理、デジタル資産トークン化などの分野で導入を進めています。例えば、米国の大手銀行J.P.モルガンは、デジタル化した商業銀行預金として機能するように設計された独自のステーブルコイン代替商品「JPMD」を立ち上げました。JPMDは、機関投資家向けに決済サービスを24時間365日提供し、JPMD保有者への利息の支払いを可能にします11。
ブロックチェーン・インフラはAIとの融合により収益源を多様化し、リスクの軽減も可能
最近のブロックチェーンの勢いを牽引する主要な要因でありながら十分評価されていないものとして、ブロックチェーン向けインフラとAI開発基盤の急速な融合が挙げられます。高性能コンピューティングへの需要が従来のデータセンターの処理能力を上回る中、これまで特定用途向けのエネルギー集約型半導体に特化してきたビットコイン採掘企業は、AIワークロードを支援するため、画像処理半導体(GPU)に軸足を移しつつあります。ハイパースケール・コンピューティングのニーズに合わせて設備を改良することで、これらの企業は余剰能力をAI市場向けに転用しており、暗号資産採掘専業(ピュアプレイ)から多様なコンピューティング・プロバイダーへと実質的に変身しつつあります。この転換によって、世界的なAI向けコンピューティング不足の解消に貢献すると同時に、デジタル資産市場の変動に左右されにくい、より安定した複数の収益源を持つビジネスモデルを築くことができます。
このように変化する状況の中で、規模やインフラを選択できることが戦略的な差別化要因になりつつあります。より規模が大きい採掘企業は資本を集め、半導体チップの割り当てを確保し、長期的な企業契約を結べるようになり、その結果、企業統合を推進し、売上を加速度的に伸ばしています。また、採掘企業は電力にもアクセスできます。これは、AIをより大規模に構築する上で電力がボトルネックになっていることを考えると戦略的に有用です。
グーグルは最近、契約済みAIコンピューティング・キャパシティの200メガワット(MW)強に関連するリース債務18億ドルを保証することにより、デジタル・インフラとビットコイン採掘の大手、テラウルフの株式の8%を取得しました。この取引により、テラウルフは継続的な収益源を確保する一方で、ビットコイン採掘から高機能コンピューティング事業への移行を進めることができます12。同様に、米データセンター建設及び運営会社のサイファー・マイニングがアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と15年間にわたる55億ドル(約8,500億円)規模のリース契約を結び、AI処理向けに300メガワットの設備を提供することになりました。このプロジェクトには空冷ラックと液冷ラックの両方が含まれ、2026年7月から2段階で設備が納入される予定で、リース料金の支払いはその翌月から開始されます13。
ブロックチェーン・インフラとAIの統合が深まることによって、ブロックチェーン企業の構造的な事業見直しとリスク軽減が進む可能性があり、結果として、これらの企業はAIインフラ構築の重要な柱としての地位を確立し、市場での評価を高めることになります14。
結論:ブロックチェーンの成長ストーリーは新たな章へ
ブロックチェーンのテーマは明確な規制、機関投資家による導入、技術的な融合を特徴とする新たな段階に入りつつあります。ステーブルコインは伝統的な金融とデジタル・イノベーションを結ぶ役割を担いつつあり、他方、ブロックチェーン・インフラとAIが統合することによってステーブルコインの有用性が広がり、投資対象としての魅力が高まっています。これらの力が相まって、より強靭で多様な、成熟したデジタル資産の環境が立ち上がってきました。この変化がさらに進展する中、ブロックチェーンのテーマは今後数年にわたって拡大し続けるとグローバルXは考えています。
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