オプション戦略のインカムの展望を理解する

FRB(連邦準備制度理事会)が継続的にマネーサプライを抑制していることから、インカム追求型の投資家は不安定な市場に直面しています。インフレ、雇用、経済成長のデータはまちまちで、不安定さがさらに助長されています。このような環境下では、投資家は、利回りや価格上昇だけでなく、トータルリターンを重視した投資先に資産を分散させることが重要であるとGlobal Xでは考えています。
オプション戦略は様々なレベルの上昇の可能性と下降のリスク軽減を提供することから、このような課題に役立つ可能性があります。より広範な投資戦略のコーナーストーンの一部となることもあれば、現在のインカム源として補足的に追加することもできます。本レポートでは、投資家の皆様が最近の市場の混乱を乗り切るために実行可能な様々な投資手段をご紹介します。

重要なポイント

  • 金利の上昇と強弱混交する経済指標により、株式市場全体のボラティリティが上昇しています。このため、配当インカムに依存する投資家にとって資産配分が難しくなっています。
  • オプション戦略は、異なる原資産を活用することで、投資家に対しセクター間の分散を図る能力を提供します。また、インカムを中心に様々な投資目標を追求できるような柔軟性も備えています。
  • カバードコールオプション戦略には、様々な形態や規模があります。Global Xは、このような戦略をETFの仕組みで数多く提供しており、現在の市場環境において、投資家のポートフォリオに魅力的な分散投資の可能性をもたらすことができると考えています。

インカム投資家が激動する経済環境を乗り切るには

2023年の株式市場の道筋を描くことが、ますます困難になってきています。高水準のインフレと金利上昇は少なくとも当面は続くと思われており、その結果、経済成長が鈍化し、実質所得率が低下する可能性が十分にあります。配当主導のインカムポートフォリオを求める人々にとって問題をさらに複雑にしているのは、世界各地で発表される互いに相反する経済指標です。

例えば、4月の米国の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%減の4.9%となったものの、FRBの目標インフレ率2%を大きく上回っています1。それでも、米国の消費者需要は堅調に推移しています。個人消費は、歴史的に米国の経済活動の約3分の2を占めており、3月の小売売上高の2.9%増を筆頭に、過去2四半期にわたって成長を続けています2。一方、S&P500を構成する主要セクターである情報技術セクターや一般消費財セクターでは、以下のグラフが示す通り、株式価値が上昇しています。このようなデータの組み合わせは企業コストも上昇しているため、一般的に配当利回りの高い株式を対象とする投資家に不確実性をもたらします。年内いっぱいは金利が上昇する場合、または業績が後退する可能性がある場合、これらの株式ポジションの価値が損なわれる可能性があります。

オプションは投資家に様々な分散投資の手法を提供

利回りを追求する場合、インカム志向の投資家は、生活必需品、不動産、公益事業などの特定のセクターに注目する傾向があります。これらのセクターの企業は一般的に、安定した配当を提供し、安定したキャッシュフローを生み出し、市場のボラティリティに対して十分に耐えることができるからです。とはいえ、特定のセクターや一セクター群を中心にポートフォリオを組むことは、投資家がリスクや機会費用に晒されることに変わりはありません。

オプション戦略を導入することで、投資目的の最重要項目であるインカムゲインを維持しながら、こうした懸念に対処することができます。オプションは、ポートフォリオに関連するベータ係数の低下、レバレッジの低減、将来の投資を見越した口座キャッシュ残高の増加をサポートすることができます。また、オプションは低コストであるため、投資家には比較的守りの姿勢を保ちながら、より多様なポジションを取ることができる余地も生まれます。

オプションのもう一つの魅力は、ボラティリティに対するクッションになり得ることです。アセットクラスとして、株式と債券はボラティリティと逆相関があります。一方、オプションはボラティリティと連動しており、VIXのような恐怖指数が上昇すると、プレミアムの上昇が認められます。この特性は、カバードコール売却やキャッシュ・カバード・プット売却のようなインカムゲイン戦略をサポートするもので、契約の締結によって受け取るプレミアムは他のアセットクラスから得ることが困難な即時のインカムをもたらす場合があります。大まかにいうと、ボラティリティの高い時期にこれらの機能をポートフォリオに加えることで、投資家はポートフォリオを分散しリスクを低減しながらトータルリターンを向上させることができる可能性があります。

柔軟なエクスポージャーを提供するGlobal X カバードコール群

基本的なカバードコール戦略は、株式または株式バスケットを購入し、それらの同じ証券に対するコールオプションを売却することで構成されます。オプション契約の売却により売り手はプレミアムを得ることができ、原資産投資の損益分岐点を引き下げる一助となります。また、売却によりインカムゲインも生成されます。市場のボラティリティが上昇すると、契約売却時に受け取るプレミアムも通常上昇します。このプレミアムと、一定の逸失上昇の可能性を組み合わせることで、不安定な相場や横ばいの相場において、戦略のパフォーマンスを発揮することができます。もちろん、オプションのマネーネスと追求するカバレッジの大きさによっては、投資家は原資産の上昇から利益を得る能力をある程度保持することができます。

Global X は、カバードコール戦略を用いて、インカム志向の投資家やリスク調整されたリターンを求める投資家に対応する商品を組成しています。Global Xの主力カバードコールETFである、Dow 30・カバード・コールETF(DJIA)、NASDAQ 100・カバード・コールETF(QYLD)、S&P 500・カバード・コールETF(XYLD)、Russell 2000・カバード・コールETF(RYLD)などは、原資産ポートフォリオ全体に対してアット・ザ・マネーのコールを売却することによりインカム獲得を目指します。下のグラフは、これらのETFが生み出す現在の利回りを、他のアセットクラスとの比較で示したものです。

過去の運用成績は、将来の成果を保証するものではありません。
各アセットクラスは下記で表示されています。ハイイールド債:Bloomberg US Corporate High Yield Total Return Index、固定金利優先証券:ICE BofA Fixed Rate Preferred Index、米国総合債券:Bloomberg US Aggregate Bond Index、新興国債券:Bloomberg EM USD Aggregate Total Return Index、TIPS:Bloomberg US Treasury Inflation Notes TR Index、社債:Bloomberg US Corporate Bond Total Return Index、REIT:FTSE Nareit All Equity REIT Index、米国株式:S&P500指数、MLP:S&P MLP指数、住宅ローン担保証券:Bloomberg US MBS指数、高配当大型株式:S&P500高配当指数、地方債:Bloomberg Municipal Bond Index。

Global Xのカバードコール&グロースETFは、原資産へのロング・エクスポージャーを維持することを目的としています。これらのETFの手法には、ファンドの原資産の半分に対してアット・ザ・マネーのコールを売却するというものが含まれます。ナスダックベースのQYLGやS&P500ベースのXYLGのようなETFは、コアカバードコールファンドと同レベルのプレミアムを生み出さない場合があります。しかし、投資家はこれらの指数に分散して保有することで、指数の騰落率の50%を実現することができます。投資家にオプションが適している場合、100%カバーと50%カバーのどちらを選択するかは、投資家の投資目的と現在の市場に対する見方によって決まります。

Global X では、前述のインカムゲインと合わせてダウンサイドリスクの軽減を図るファンドも提供しています。下の図が示すように、Global XのNASDAQ 100・リスク管理・インカムETF(QRMI)のようなリスク管理・インカム戦略では、コールを売却し、プットを購入することで価値を得るネット・クレジット・カラーを使用しています。コール契約の締結により得られたプレミアムの一部を5%のアウト・オブ・ザ・マネーのプットを購入することによって、資産防衛に利用するものです。この機能は、オプションの有効期間中に、手数料を除いた価値の5%を超えてファンドが損失することを防止するものです。

分配金は変更される場合があります。
QRMIとXRMIは、通常、オプションプレミアムと株式からのインカム配当を得る。これらの金額は、経費を差し引いた純投資収益から配当として株主に還元されるのが一般的である。両ファンドはオプション売却によるキャピタルゲインおよび証券売却時のキャピタルゲインまたはロスを実現する。実現した長期キャピタルゲインは、ネット金額で出資者に対する「キャピタルゲイン分配金」の形で支払われる。分配金の一部には、出資金の還元が含まれている可能性がある。これらは将来の分配金の利率を示すものではない。

直近の月または四半期末までのパフォーマンスデータ、30日SECイールド、ファンドの目論見書のコピーについては、以下のファンド名をクリックしてください。

結論:不確実性の中でインカム源を確保できるオプション

インフレおよび米国の消費市場およびその他の様々なセクターにおける残留する強さにより、市場の高水準のボラティリティと不確実性が高い状態が続く可能性があります。オプション戦略は、様々なレベルのセクターへのエクスポージャー、潜在的な利回り、ダウンサイドリスクの軽減を提供し、投資家が今日直面している状況を含め、幅広い状況を乗り切るのに役立ちます。Global Xが提供するオプションETFのようなオプション戦略を選択する場合、投資家はヘッジプロテクションや潜在的なインカム獲得など、希望の市場要因や手段に焦点を当てることができます。市場は常に変動するものであり、他よりも大きく変動するものもあります。しかし、オプション戦略は、投資家のポートフォリオに一定の分散をもたらす一助となることができるとGlobal Xは考えています。