次のビッグテーマ(グローバル):2025年9月

自動運転車

ウェイモがニューヨーク市初の許可を取得、米国での急速な拡大を継続

アルファベット傘下のウェイモは、2025年9月までマンハッタンとダウンタウン・ブルックリンで最大8台の自動運転車の試験走行を行う許可を取得しました。今後許可の範囲は更に拡大される可能性もあります。この許可は、自動運転車(AV)の試験運用において重要な節目となります。ニューヨーク市は、全米で最も複雑な市街地の一つであり、また国内で最も厳格な自動運転車の安全規制が適用されている地域でもあります。ウェイモは、これまでに全米の主要都市で1,000万回以上の自動運転走行を実施しており安全面でも高い実績を誇るなど、豊富な試験経験と共にニューヨーク市に進出します。今回の許可取得は、同社の全米への展開をさらに推進するものであり、今年年初のオースティンにおけるサービス開始やサンフランシスコでの事業拡大に続く動きとなります。今後は、アトランタ、マイアミ、ワシントンD.C.への展開も計画しており、さらにフィラデルフィアでも運用を開始することで、米北東部市場への進出を本格化させる方針です1

人工知能

AI企業の評価額が過去最高を更新、業界の持続的成長に対する投資家の信頼を示す

オープンAIは企業価値を5,000億ドル(約75兆円)とするセカンダリー株式売却の協議を進めており、実現すれば、オープンAIは世界で最も高い評価額を持つ未上場スタートアップ企業となります2。この驚異的な評価額は、急速な収益成長と積極的な企業買収戦略に支えられた、オープンAIのAI分野における圧倒的な存在感を示しています。その買収戦略には、オープンAIのアプリケーション事業開発を強化するため、規制当局の承認待ちながら直近11億ドル(約1,650億円)で買収したStatsig(製品テストプラットフォーム)も含まれます。一方、オープンAIのライバルであるアンソロピックは130億ドル(約1.9兆円)のシリーズFラウンド資金調達を完了し、ポストマネー評価額(資金調達完了後の企業の総価値)は1,830億ドル(約27兆円)に達し、これは年初の評価額であった615億ドル(約9.2兆円)からほぼ3倍に跳ね上がっています。これは企業導入とクロードコード製品の急成長が牽引し、わずか8か月で、アンソロピックの年間売上高見込みは約10億ドル(約1,500億円)から50億ドル(約7,500億円)に急増しました。これらの資金調達は、AIの持つ変革的な可能性に対する投資家の期待が依然として高いことを示しており、両社にとっては、今後の事業拡大、技術革新、戦略的展開のための十分な規模とリソースを確保するものとなっています3

米国のインフラ

製造とイノベーションがアップルから強力な後押しを受ける

アップルは米国製造プログラム(AMP)に新たに1,000億ドル(約15兆円)を追加し、総額を6,000億ドル(約90兆円)に拡大しました。新たに開始された本プログラムは、先端部品の生産を米国に回帰させ、全国的なサプライヤーネットワークを強化することを目的としています。全50州にまたがるAMPは、45万を超えるサプライヤーおよびパートナー企業の雇用を支え、主に研究開発、シリコンエンジニアリング、ソフトウェア、AI、機械学習分野において、米国人労働者2万人の直接雇用が計画されています。アップルは、米国内のさまざまな企業との提携を通じて、複数の重要なAMPのプロジェクトを進めています。主な取り組みには、ケンタッキー州でのiPhoneおよびApple Watch用ガラスの製造、テキサス州での希土類磁石の生産拡大、そして、2025年末までに190億個の半導体チップの生産が見込まれている、アメリカ国内でのシリコン供給網の構築が含まれます。さらにアップルは、ブロードコムおよびグローバルファウンドリーズと連携し、5G通信製品向けのセルラー半導体部品の開発・製造を米国内で進めています4。これらの取り組みにより、米国内の製造業の強化が図られるとともに、ハードウェア、設計、イノベーションといった先端技術分野におけるアメリカの基盤強化が期待されています。

ロボット&人工知能

エヌビディアの新たなロボット「頭脳」が物理的自動化のブレークスルーを示す

エヌビディアは、ロボットの頭脳として機能し、次世代ロボティクスと物理AIを推進する設計となっている、最新のロボティクス向けチップモジュール「Jetson AGX Thor」を発表しました。エヌビディアの最新アーキテクチャである「Blackwell」グラフィックスプロセッサ(GPU)をベースに開発された本モジュールは、AIやコンピュータゲーム向けチップにも採用されている同じ技術を用いており、前世代と比べて最大7.5倍のAI処理能力を実現しています。この性能を用いることで周囲の世界を理解する生成AIモデルを実行できるようになり、ヒューマノイドロボット(人型ロボット)に不可欠な機能を提供します。アマゾン、メタ、ボストン・ダイナミクス、アジリティ・ロボティクス、キャタピラーといった主要ロボット・テック企業に加え、AIロボットスタートアップのフィギュアも既に採用しており、ディアやオープンAIなどの企業も応用の可能性を模索しています。極限でリアルタイム且つ知能的相互作用を実現するJetson Thorは、単一プラットフォーム上で複数の生成AIモデルをサポートし、これにより製造業、物流、農業、医療など多様な産業分野における高度なオートメーションの実現が可能となります5

米国の電力化

データセンター急増の中、原子力発電と再生可能エネルギーへの勢いが高まる

米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は最近、公益企業ネクステラ・エナジーによるアイオワ州のデュエイン・アーノルド原子力発電所の再稼働に関する特例申請を承認しました。同発電所は2020年に廃炉となっていましたが、2029年末までに最大600メガワット(MW)の発電能力を再び戻す計画です6。この決定は、データセンターによる電力需要の急増を背景としています。
また、イリノイ州にあるクリントン・クリーン・エナジー・センターでは、運営会社のコンステレーション・エナジーが次世代型原子炉の導入を検討しており、現在1,121MWの発電能力を有する同施設は、2027年からメタ専用の電力供給源となる予定です7。これらのプロジェクトは、原子力および再生可能エネルギーの発電事業者が、今後の電力需要の増加やデータセンターの拡大により恩恵を受ける可能性が高いことを示しています。技術系企業はクリーンエネルギーの調達とポートフォリオの多様化を加速しており、2024年に締結されたクリーン電力購入契約(PPA)のうち43%は、アマゾン、メタ、マイクロソフト、グーグルの4社によるものでした8

クラウド・コンピューティング

AI需要が急増する中、数十億ドル規模のクラウド契約が相次ぐ

グーグルは、メタとの間で6年間・総額100億ドル(1.5兆円)超にのぼるクラウドコンピューティング契約を締結しました。これは、グーグルにとって過去最大規模のクラウド契約となります。メタは、グーグルクラウドのサーバー、ストレージ、ネットワークなどの関連インフラを活用し、「パーソナル・スーパーインテリジェンス」などの急拡大するAI関連プロジェクトを支援していく計画です9
この契約により、グーグルのクラウド事業はさらなる勢いを得ることになり、既に大きな市場シェアを持つアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やMicrosoft Azureといった競合他社に対抗する動きが加速しています。年初には、これまでAzureへの依存が大きかったオープンAIからもクラウド事業を受注しており、グーグルクラウドのプレゼンスが徐々に高まっています10。今回の契約は、AI開発における膨大なコンピューティング需要の存在を浮き彫りにすると同時に、ライバル企業間においても連携が進んでいる現状を示しています。また、クラウドは単なるインフラではなく、企業がAIを大規模に導入・展開するうえで不可欠な基盤であることが改めて明確になりました。

関連ETF

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DRIV – グローバルX 自動運転&EV ETF

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AIQ – グローバルX AI&ビッグデータ ETF

223A – グローバルX AI&ビッグデータ ETF

178A – グローバルX 革新的優良企業 ETF

PAVE – グローバルX 米国インフラ関連 ETF

BOTZ – グローバルX ロボット&AI・ETF

URA – グローバルX ウラニウム ETF

224A – グローバルX ウラニウムビジネス ETF

RNRG – グローバルX 再生可能エネルギー ETF

CLOU – グローバルX クラウド・コンピューティング ETF

2244 – グローバルX US テック・トップ20 ETF