次のビッグテーマ(日本):2023年9月

ゲーム&アニメ

ソニーGは携帯型ゲーム端末「プレイステーション・ポータル」を発表

2004年にプレイステーション・ポータブルを発売することで、ソニーグループは大人気のプレイステーション(PS)ゲームを携帯端末に搭載しました。2019年、任天堂スイッチの大成功に直面し、当時のPSモバイル端末であったPS Vitaは廃止を余儀なくされましたが、2023年8月にソニーグループはプレイステーション・ポータルを正式に発表し、携帯型端末に再挑戦するではないかとの見方があります。しかし、プレイステーション・ポータルは独立したゲーム端末ではなく、自宅に設置したプレイステーション5とインターネットで接続し、画像をストリーミングする形でゲーム体験をユーザーに提供する予定です。当デバイスは11月に発売される予定で、価格は29,800円となる予定です1

「2023年CESAゲーム白書」が明かす日本ゲーム市場の現状

7月31日、コンピュータエンタテインメント協会(略:CESA)に執筆された「2023年CESAゲーム白書」が公開されました。当レポートによると、2022年日本の国内家庭用ゲームの市場規模は3,774億円に達し、その内訳は、ハードウエアが2,099億円、ソフトウェアが1,675億円となりました2。なお、同協会の試算では、2021年の家庭用ゲームハードウエアの市場規模は2,028億円、ソフトウェアの市場規模は1,691億円でした3。また、2022年に、出荷数が100万本に達したタイトルは合わせて5タイトルあり、第2~4位は任天堂スイッチのゲームでした4。2023年4~6月期決算発表において、任天堂の売上高は映画「ザ・スーパー・マリオ・ブラザーズ」と「ゼルダの伝説ティアーズ・オブ・ザ・キングダム」に大きく牽引され、前年比でおよそ50%の伸びを記録しました5。更に、任天堂スイッチは発売から6年間以上経過したにもかかわらず、同期間において、任天堂のハードウエア部門の売上高は13.9%上昇し、予想外の展開となりました6。将来的に、任天堂はスイッチの売上が下落傾向に転じると予想しており、次世代端末の計画が問われるでしょう。

半導体

23年第二四半期:日本半導体関連企業は予想通りに減収を発表、世界半導体市場に回復の兆しか

2023年8月、東京エレクトロン、ディスコ、アドバンテストといった日本半導体関連企業は軒並みに減収減益を発表したものの、世界的な半導体在庫調整を考慮すると、これは予想通りの展開だと言えるでしょう。こうした中、9月6日に公開されたSIA(米半導体工業会)業界レポートが特に目を引きます。同レポートによると、3~7月の期間において、世界半導体売上高の前月比成長トレンドがプラス圏に戻りました7。3月に0.3%とわずかな伸びを記録しましたが、7月の数値は2.3%となり、底打ち感が強まる可能性があります8。とはいえ、7月の売上高は前年比で11.8%下落し、不況から完全に脱したわけではないという点も示唆しています9

半導体大手ルネサス、仏シーカンスを買収、モノのインターネット(IoT)分野で存在感を増す

8月7日、ルネサスは公開買い付けの形でIoT集積回路とモジュールを手掛ける仏シーカンスを買収する予定であると発表しました。9月11日、同社は公開買い付けを開始し、10月6日までに完了する見込みです10。取引完了後、ルネサスはシーカンスのセルラー接続製品とIPを自社の主力製品に統合し、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)市場への即時展開が可能になります。さらに、ルネサスの既存のパーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)とローカル・エリア・ネットワーク(LAN)製品群も強化されます。ちなみに、WANは地理的に広いエリアでの通信に対応し、PANは個々のデバイス間で短距離の通信を行い、LANは特定の場所、たとえばオフィス内での通信に特化しています。ルネサスはIoTを4つの成長分野の1つと捉え、2022年通期において、IoT事業は同社の収入の28%を占めました11。IoT技術の普及に伴い、半導体への需要が増加すると考えられます。

バイオ&メドテック

島津製作所、マイクロプラスチック研究で大きな貢献

マイクロプラスチックは5mm以下の微小なプラスチック片で、海洋や環境汚染の一因とされています。これらは化粧品や洗剤、さらには食品まで多くの製品に含まれています。その影響は生態系だけでなく、人間の健康にも潜在的なリスクを持っていると考えられています。8月31日、島津製作所は世界初のマイクロプラスチック自動前処理装置「MAP-100」を発売することで、マイクロプラスチックの研究に大きな貢献をしました。「MAP-100」により、かつて数日間手作業で行われた前処理は自動化され、研究効率が向上したとのことです。なお、同社は「MAP-100」を200万円の価格で、年20台を販売する計画です12。他の日本企業もマイクロプラスチックの判別技術に貢献しています。9月、自動車・オートバイ・船外機を事業とするスズキは、マイクロプラスチックの判別に向けて静岡大学と共同研究の契約を締結したと明らかにしました13