次のビッグテーマ(日本):2023年11月

半導体

東京エレクトロン、エッチング分野で米ラム・リサーチに矛先を向ける

3次元NAND型(3D NAND)フラッシュメモリは、フラッシュメモリセルが積層されていない2D NANDとは異なり、メモリ記憶密度を高めるためにフラッシュメモリセルが垂直に積層されている次世代メモリチップです。現時点で、米ラム・リサーチは3次元NAND型市場の100%を占めていますが、東京エレクトロンは6月にエッチング技術の技術革新を発表し、その現状を打破すると期待されています。なお、エッチングとは、チップ・ウェーハから化学的に層を除去するプロセスのことで、より小型で複雑なチップを作るために重要です。現在、200層3D-NANDは最先端にありますが、東京エレクトロンの新たな技術は2~3年間以内に400層以上のチップを製造できると想定され、大きな増収につながる可能性があります1

海外勢、10月も対日投資を継続

国内半導体メーカーが地歩を固める中で、海外勢は日本を新たな生産拠点として検討する動きが続いています。関係者によると、台湾力晶積成電子製造(PSMC)は54億ドルの新工場の建設地として日本国内5カ所を検討していると報じられています2。7月に、同社はSBIグループと共同で日本に新工場を建設する計画を発表しました。また、日本政府は、米マイクロン社の広島工場建設に強力な補助金を提供する予定です。10月に、政府は、最先端のEUV(極端紫外線)露光装置を導入するマイクロン広島工場に対し、最大13億ドルの補助金を承認しました3。西村康稔経済大臣は、当工場は日本が次世代チップをより安定的に供給するのに役立つと述べました。

ゲーム&アニメ

「東京ゲームショウ」が4年ぶりにオフラインで再開、出展社数は過去最多に

待望の「東京ゲームショウ2023」は9月21~25日に千葉市の幕張メッセにて開催され、787の企業や団体が出展しました4。出展企業は新作ゲームタイトルの発表や、斬新なデザインの製品を展示した一方、参加者は新しい形のゲーム体験や周辺機器を試すことができました。「東京ゲームショウ」の再開は、ゲーム販売の復活の象徴となる可能性があります。消費者が巣ごもり経済から脱却したため、ゲーム収入はエレクトロニクス販売の全般的な落ち込みとともに減少しましたが、今年回復するかどうかは注目に値します。特に、ゲーム関連ハードウェア販売は先行指数として参照する価値があります。ソニーGはプレイステーションの販売台数は2500万台に達すると予想しており、Circana社の試算では、2023年前半米国のゲーム関連ハードウェア支出は23%上がったとのことです5。消費者はゲーム関連ハードを購入すると、その後何年にもわたって何度もゲームと周辺機器を購入するのが一般的です。これにより、2024年にはビデオゲーム関連企業のパフォーマンスが向上する可能性があります。

ロボティクス&AI

ファナックの産業用ロボット生産台数が100万台を突破

9月19日、ロボットとFA(工場自動化)大手であるファナックは、同社の産業用ロボット生産台数が100万台を突破したと発表しました。同社のロボット生産の歴史は1974年に遡り、現在200以上の産業用ロボット・協働型ロボットモデルを提供しています6。10月にファナックは英国で「ファナック・オープン・ハウス」という展示会を開催し、また、9月には米国ミシガン州の「FABTECH 2023」という溶接・塗装カンファレンスに参加し、自社の技術優位性を展示する方針です7,8。これと同時に、ファナック・アメリカは人工知能駆動のロボットを専門とする米オサロ社と連携し、倉庫管理やEコマース向けのソリューションを開発することを明らかにしました9