次のビッグテーマ:2020年11月

The Next Big Theme: Thematic Newsletter Global X ETFs

クリーンテック

アジアの使命、炭素排出量ゼロに向けて

韓国、中国、日本は、二酸化炭素排出量ゼロに向けた取り組みを進めています。韓国では、2025年までに再生可能エネルギー発電を3倍にすることを目指した380億ドルのグリーンニューディール法案が可決されました1。これが計画通り進めば、韓国は2050年までにカーボンニュートラルを達成できます。世界最大の汚染大国である中国は2060年までのカーボンニュートラル到達を目指して15兆ドル以上を投資する可能性があります2。現時点では、中国は、排出削減のための主要手段として、カーボンシンクや大規模なカーボンキャプチャー、炭素の利用、貯蔵などを活用しています。今世紀末までに世界の気温が産業革命前の水準を1.5°C以上上回らないようにすることが気候変動緩和の重要なベンチマークとなっていますが、このためには、中国が排出削減に成功することが極めて重要です3。さらに、日本は最近、排出量削減を目指して、洋上風力発電と蓄電池を用いて2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画であると発表しました4

フィンテック

中核的なデジタル決済機能に暗号通貨が加わる

デジタル決済業界のパイオニアであるPayPalは、ユーザー向けにビットコインなどの暗号通貨を取引する機能の提供を開始しました。プラットフォームに暗号通貨機能が加わることにより、ユーザーはビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、ライトコインを購入、保有、売却することも可能になりました5。新たな支払機能が加わることにより、ユーザーがプラットフォーム上で実行できる取引の種類が拡大し、PayPalはユーザーの収益化を強化することができます。ちなみに、同社の2020年第3四半期ユーザー1人当たり平均収益(ARPU)は15.78ドルであり、従来型商業銀行の300〜500ドルとは極めて対照的な数字となっています6,7。Square、Robinhoodの2社は、暗号通貨サービスを実装して収益を増やした企業の好例となっています。Squareは、2020年第2四半期のビットコインからの収益が前年比600%増の8億7,500万ドルに達したと報告しています8

ビデオゲーム&eスポーツ

Robloxが新規株式公開

没入型3Dの世界でユーザーがゲームをプログラムしたり、他のユーザーが作成したゲームをプレイしたりすることのできるオンラインゲームプラットフォームであるRobloxは、株式の新規公開(IPO)計画を正式に発表しました。ある推定によると、IPO時の同社時価総額は、今年2月時点の推定額である40億ドルの倍に相当する80億ドルに達する可能性もあるとのことです9。7月時点のRobloxの月間アクティブユーザー数は1億5,000万人、年間収益は1億4,000万ドルを上回っています。IPOによる資金調達は、ビデオゲーム業界がクラウドゲーム、新たなコンソール、新たな収益機会を背景に、変革の10年の節目にあることを示すもう1つの兆候と考えられます10

eコマース

米国eコマースのプライムタイム

プライムユーザー向けに2日間の割引イベントを開催し、企業にも取引機会を提供するAmazonのプライムデーは、急成長中のeコマース経済にさらなる拍車をかけています。10月13~14日のプライムデー期間中の世界全体の売上高は104億ドルと、2019年の72億ドルに比べて45.2%増となりました11。Amazonはプライムデーを7月から10月に移動しましたが、コロナウイルスの世界的感染拡大で消費者は依然、オンラインショッピングに頼っているほか、ホリデーシーズンに向けたショッピングも始まったことから、この変更が大きく寄与したようです。米国におけるeコマースの普及に前進がみられることには勇気づけられますが、プライムデーの売上高は、eコマース普及率の地域間格差により、Alibabaの「独身の日」イベントの売上高を大幅に下回っています。中国での小売eコマースの普及率は25.2%であるのに対し、米国では16.1%に止まっています。しかし、米国のeコマースは急速に拡大しており、2020年の米国オンライン売上高は、前年比32%増の7,950億ドルに達すると予想されています12。Amazon以外にも、ウォルマート、ターゲット、コールズ、J.C.ペニーなどの他の小売業者も独自のイベントを催しており、同様にeコマース活動の強化で恩恵を受けています13

ゲノミクス

ナノキャリアで精密腫瘍学実現の可能性も

ドイツとスペインの科学者たちは、抗がん剤を異常細胞に届ける方法を変えることのできる合成DNA輸送システムを開発しました。このデリバリーシステムは、要約すれば、ムチン、グリセロール、合成DNAで構成される合成ナノキャリアを用いて、治療薬をパッケージ化し、癌細胞固有のRNA配列に遭遇した場合にのみ放出します。これまでのところ、科学者たちは細胞培養の腫瘍モデルでこのシステムをテストしたところ、有望な結果が得られました。さらなる拡張テストを実施した結果、このドラッグデリバリーメカニズムは、正常細胞と損傷細胞を無差別に標的とする化学療法や放射線療法よりも優れた選択肢になる可能性があることが分かりました。さらに、研究者たちは、こうした概念をさらなる精度をもって、他の病気の治療に使用することができると予見しています14

ロボティクス&モノのインターネット

在宅勤務をより便利に

東京に本社を置くロボット工学企業であるTelexistence株式会社は、在宅勤務の概念を再定義する使命を担っています。ある東京湾沿いのコンビニエンスストアは、同社の支援を受けて、棚卸しや商品陳列などのバックエンドタスクにロボットを使用することになりました。ロボットはブーメラン型の頭と両手を持っており、吸引力と他の指と親指で商品を掴むことができます。しかし、このロボットのユニークな点は、人が遠隔地から操作することによって動くことです。操り人形師と同様、従業員は、事前にプログラムされ、コード化された命令ではなく、リアルタイムでロボットの動きを決定します。Telexistenceがこの技術を開発した理由の1つは、日本の慢性的な労働力不足への対応です。この技術は、まだあまりにもコスト高であるため、大量導入は困難であるものの、革命的な長期プロジェクトの始まりに過ぎないように思われます15