次のビッグテーマ(グローバル):2025年6月

人工知能

テック大手、AIビジョンを実行し拡大し続ける

「Meta AI」の単体アプリが4月に展開されてから、同アプリはフェイスブック、インスタグラム、ワッツアップなどのプラットフォームで月間アクティブユーザー10億人を突破しました。メタのエコシステム全体に統合されたMeta AIは、検索やチャット、コンテンツ推薦などの機能を強化させています。同社は先んじてMeta AIを成長させ、正式なビジネスを構築し、サブスクリプションサービスや広告などを通じて収益化する計画です1。また、セールスフォースは、2021年のスラック買収以来最大のM&Aを発表し、データ管理企業のインフォマティカを約80億ドル(約1.2兆円)の現金で買収することに合意したと公表しました。これにより、セールスフォースは特にエージェントフォースのプラットフォームを強化するために、インフォマティカの強力なデータ統合、ガバナンス、管理ツールを活用し、エージェントAI能力を向上させることを目指しています。本買収は、2027年度の早い段階で完了する見込みです2

防衛テクノロジー

新たに設立されたEUの軍備基金、ヨーロッパの防衛力強化を支援

欧州連合(EU)の各国大使は、EUの軍事力強化に向けた重要な一歩となる1,500億ユーロ(約25.3兆円)規模の「欧州のための安全保障行動(SAFE)」融資制度を承認しました。SAFEはより広範な「欧州再軍備計画(ReArm Europe Plan)」プログラムの一環で、加盟国がEUから資金を借り入れて軍備を調達できるようにするものであり、ロシアからの脅威を含むEU圏全体の防衛態勢の強化を目的としています。当制度では、調達する兵器の少なくとも65%はEU、欧州経済領域およびウクライナのいずれかのメーカーから調達することが規定されています。しかし、最大35%まではEU域外の企業が関与することができるため、欧州の防衛産業を優先させつつ、より広範的に参加を促すことができます3。EUが防衛の自立化に進む中、世界の防衛支出、特に先進的な防衛技術に対する予算は引き続き増加することが想定されます。また、支出がバリューチェーンを通じて進むにつれて、EUの防衛関連銘柄は特に恩恵を受ける可能性が高いと考えられます。

ロボティクス&人工知能

倉庫ロボットとヒューマノイドロボットの進展が著しい

アマゾンは、触覚センシング機能を備えた新しい倉庫ロボット「Vulcan」(ヴァルカン)を発表しました。「Vulcan」は2本のアームを備えており、1本は保管区画内の商品を並べ替えるために設計され、もう1本は商品をつかむためにカメラと吸盤を装備しています。「Vulcan」は触覚センサーを搭載することで物体に接触した際に認識することができ、倉庫にある全アイテムの約75%を扱うことができます。また、触覚や力加減を含む物理的データに基づいて訓練された当ロボットは、時間を重ねるにつれて自己最適化を行うことも可能です。「Vulcan」はワシントン州・スポケーンおよびドイツ・ハンブルグのアマゾン倉庫に配備されており、これまでに50万件以上の注文を処理してきました4,5。更に、民間のAI開発プラットフォームハギングフェイスは、オープンソースの人型ロボット2種を発表しました。HopeJRは、66自由度(DoF)を備えた歩行と物体操作が可能なフルサイズロボットで、Reachy Miniは、AIアプリケーションのテスト用に設計されたデスクトップユニットです。同社はこれらロボットの価格設定をHopeJRを推定3,000ドル(約43万円)、Reachy Miniを250~300ドル(約3.6~4.3万円)にすることで、ロボット工学をより身近なものにすることを目指しています6

ヘルステック

デジタルヘルス分野にてグローバルな拡大が加速

米国を拠点とする遠隔医療プロバイダーヒムズ&ハーズ・ヘルスは、ロンドンを拠点とするデジタルヘルスプラットフォーム「Zava」の買収を発表しました。買収は2025年半ばに完了する予定で、ヒムズ&ハーズ・ヘルスのアクティブな顧客ベースは約50%増加し、英国、ドイツ、フランス、アイルランドを含む主要市場全体で130万人以上のユーザーが加わることになります。Zavaは、セクシャルヘルス、皮膚科、メンタルヘルス、肥満症治療などのカテゴリーでデジタル診察と処方を提供しており、ウゴービやマンジャロを含むGLP-1も提供しています。今回の買収は、ヒムズ&ハーズにとって重要な収益源となっていた肥満症治療薬の配合を制限する最近の米国規制の変化に対応するために行われたものです。同社はヨーロッパに進出することで収益源を多様化し、皮膚科、肥満症治療、セクシャルヘルス、メンタルヘルスなどの分野で地域に根ざしたデジタルヘルスサービスを提供することを目指しており、Zavaがヨーロッパで確立した地位と技術力を活用しながら、これらのサービスを現地言語で提供する計画です7

米国の電力化

電力需要、記録的な増加が予測される

世界的なアドバイザリー会社ICFインターナショナルのリサーチでは、20年近く伸び悩んできた米国の電力需要が2023年の水準から2030年までに25%、2050年までに78%増加すると予測されています。ピーク時の電力需要は2030年までに14%、2050年までに54%増加すると予想され、国の送電網をさらに圧迫することになります。更に、家庭用電力小売料金は、地域によっては2030年までに15~40%上昇する可能性があり、送電網の信頼性、手頃な価格、持続可能性の確保が急務となっています。このエネルギー消費の急速な変化を管理するにあたり、協調的且つ多面的な戦略が不可欠となります。この大幅な増加はこれまでのICFの予測をはるかに上回っており、AI、クラウド・コンピューティング、電気自動車、ヒートポンプ、データセンターの拡張による急増だと言われています。また、このような需要に対応するには、再生可能エネルギー、原子力、天然ガスなど、多様なエネルギー源への大規模な投資が必要となり、需要対応やエネルギー効率、ビハインド・ザ・メーター・ソリューションなどの需要側管理プログラムの強化も重要な役割を果たすことになります。こうした取り組みが総需要に対して占める割合は2025年の8%から、2030年には10%以上を満たすことができると予測されています8

クリーンウォーター

テキサス州の水インフラ整備計画、干ばつと老朽化したシステムの問題解決を目指す

テキサス州議会は、長期的な干ばつと急速な人口増加、および2025年のインフラ・レポート・カードで低評価を受けたインフラの老朽化によって悪化する水危機に対処するため、200億ドル(約2.8兆円)の包括的な計画を承認しました9。この法案は、600万人以上のテキサス州民が干ばつの影響を受けている今、非常に重要なタイミングで成立しました。2025年11月の有権者の承認を前提に提案された憲法改正案は、2047年までの間に年間10億ドル(約1,400億円)を水関連のプロジェクトに割り当てることを規定しており、海水淡水化、インフラ修復、節水対策、洪水対策などが含まれています。また、エルパソ・ウォーター社の2.95億ドル(430億円)の水再利用施設などのプロジェクトを支援することになります10

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