次のビッグテーマ:2021年2月

IoT

需要急増で半導体の売上が増大

IoT、クラウドコンピューティングハードウェア、自律走行車、工業オートメーションなどの新興技術の進化に欠かすことができないのが半導体です。こうしたテーマが加速化するにつれて、半導体の需要も高まります。Nvidiaなどの供給元である業界大手の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)では、2021年の設備投資が250億~280億ドルと見込まれ、2020年の少なくとも47%増になることを最近発表しました。1この発表は、世界的な半導体の供給不足の時期に行われました。多くの自動車メーカーは、半導体不足で生産の一時停止や減産に追い込まれました。Bluetooth接続、ドライバーアシスト、ナビゲーション、ハイブリッド電気系統などの電子機能の普及拡大に伴い、半導体は自動車産業の必需品になっています。自動車産業だけでなく、Appleも半導体不足で新製品の発表を数か月延期せざるを得ませんでした。2

人工知能

画像認識の精度向上で認識限界が拡大

グーグル・ブレインのリサーチ・サイエンティストであるQuoc Leは、物体の視認用データベース、ImageNet向けの新機軸を発表しました。画像認識技術は、人工知能(AI)の成功に最も重要なものでした。新しい学習法により、モデルの精度が90.2%に向上し、これまでの限界が1.6%拡大します。3画像認識技術は今後も進化し、AIの境界を広げます。例えば、顔認識はパンデミックのさなか、マスクの「ニューノーマル」で新たな用途になりました。マスクを着用した人に対する最新の顔認識技術は、日本のバイオメトリクス企業、NECによって開発され、99.9%の精度を誇ります。4この技術によって、企業・学校・公共施設・商業施設・イベント会場・テーマパークなどの入退室装置が安全に利用できるようになります。

大麻

大麻解禁を促進するアリゾナ州

成人による大麻の娯楽的使用の法制化から3か月足らずで、アリゾナ州は大麻の小売を開始します。70店以上の既存薬局が直ちに販売認可を受けました。5州レベルでは法制化から販売までの最短記録となり、これに次ぐのが2016年のネバダ州で、8か月でした。79店の医療用大麻薬局のうち73店が娯楽的販売を申請して認可を受け、残りの店舗も間もなく認可されることが予想されます。6娯楽的使用が法制化された他の州では、医療使用店舗ではなく娯楽使用店における購入者の数が3倍を超えていると報じられています。アリゾナ州フェニックスで4店舗の薬局を経営するSol FlowerのCEOは、どの店舗も成長の機会が見込まれると予想しています。7

ビデオゲーム&eスポーツ

経済再開でもビデオゲームの勢いは止まらず

Activision Blizzardのフランチャイズ、Call of Dutyは、経済が再開する中にあっても依然強い利用状況を示しています。2020年12月における、PC、コンソール、モバイルを合わせたModern Warfare/WarzoneとBlack Ops Cold Warの月間アクティブユーザー(MAU)数は合計6,600万人でした。8この数は2番目に身近なビデオゲーム、MinecraftのMAU合計数3,900万人を圧倒しました。このような数から、ビデオゲームの利用度は高いレベルを維持しており、2020年前半のステイホーム経済後もその傾向が続いていることが分かります。新しいビデオゲーム機が今後も登場し、その勢いは2021年も続くとみられます。

ウェルネスとデジタル健康

オンライン・セラピーでパンデミック対策

メンタルヘルスは、急速にバーチャルケアに移行している医療分野の1つです。パンデミック前には、遠隔による精神医療の利用は増えつつありましたが、比較的小グループが採用しているだけでした。しかしこのトレンドは急加速し、米国精神医学会の報告では遠隔による精神医療の利用者は、コロナ前の2.1%から84.7%に跳ね上がりました。9 おしなべて特異な状況の結果とは言え、このような移行は、患者と医療提供者の双方に利便性、時間、費用、療法士・患者の継続的関係といった付加的な益があることを示しています。

ロボット工学

COVID‐19への対応策にロボットを投入

COVID-19は、現場にとどまって作業を続けなければならない従業員の健康にリスクを与えます。このようなリスクに対処するため、多くのメーカーは次々にロボット工学に注目し、人と人との接触を抑制しようとしています。第4四半期には、前年比64%増となる9,972台のロボットの発注がありました。10 パンデミック終息後もメーカーは、コンピュータビジョン、物体をつかむための移動式アームエンドツールの進歩によるオートメーションを推進しています。このような進歩により、ロボットは作業負荷を肩代わりすることができます。例えば、FedExの現場では1時間に1,300個もの荷物を処理しています。一方、作業員は宛先の訂正や遅延処理など、もっと複雑な作業に集中でき、ロボット対人間の専門化を推進し、コストを節約できます。11