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半導体
エヌビディア、日本でのAI半導体需要増に備え
12月5日、西村康稔経産省大臣が会見を開き、米半導体大手エヌビディアが日本国内に研究開発拠点を設置する意向を明らかにしました。同日、エヌビディア最高経営責任者であるジェンセン・フアン氏が西村大臣と面会し、AI向け半導体の需要が急増する中、同社は日本からの需要を優先する方針であると述べました。AI向け半導体への需要が急増すると予想され、米ガートナー社の試算では、2022年から2027年にかけて世界のAI向け半導体需要は442億ドルから1194億ドルまで、3倍弱成長する見込みです1。こうした中、日本は国内の半導体業界を活気づけるために力を注いでいます。政府は2022年8月にRapidusを設立し、先進チップの生産において世界に追いつく狙いがあります。同時に、TSMCなどの国外の大手企業が日本に工場を建設するよう誘致するために補助金を活用しています。
東芝とローム、パワー半導体分野で提携
12月8日、東芝は、半導体大手のロームと提携し、パワーチップの生産に27億ドルを投資する計画を明らかにしました2。ロームの発表によると、同社は宮崎県に新たな生産拠点を建設する予定です。また、経済産業省は、このプロジェクトに1,294億円の補助金を提供するとのことです3。なお、パワーチップは大電力の電気エネルギーを効率的に管理・変換するために設計された特殊な電子部品で、電源装置、モーター駆動装置、再生可能エネルギー・コンバータなどのシステムに不可欠です。
ゲーム&アニメ
任天堂による大会ガイドラインが物議を醸す
10月24日、任天堂は「ゲーム大会における任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を発表し、コミュニティ大会の観戦料、出場者人数、任天堂ゲームの映像や画像などに対して制限を実施しています。当ガイドラインは欧州、日本、米州に適用される3つのバージョンが発表され、ガイドラインは11月15日に発効しました。ガイドラインによると、コミュニティ大会は営利を目的としない小規模なものである必要があり、オンラインで300人以下、またはオフラインで200人以下の出場者がプレイするものに限ります4。また、オフラインのコミュニティ大会の会場内において、正式な発売日を迎えた任天堂のゲームの大会でのプレイ映像を上映することができます。これらの要件を満たさないゲーム大会は、任天堂からの承認を受けなければなりません。しかし、これらのガイドラインは競技ゲームコミュニティから厳しすぎるとの批判を受け、物議を醸しています。任天堂のゲームにおける競技ゲームコミュニティは、Xbox、PlayStation、PCゲームの競技ゲームコミュニティよりも草の根的で、任天堂からの直接的な投資が少ない状況です。
ロボティクス&AI
ファナック、EV生産用ロボットを開発、ボルボと契約を締結
11月に、ロボット大手であるファナックが「M-950iA/500」というEV生産専用ロボットを開発したことが明らかになりました。当モデルは可搬質量が500キログラムに達しており、2024年1月に販売が開始されるとのことです5。同社はEVを需要の増加源と認識し、その需要に満たすために動いています。2023年10月に、ファナックはスウェーデンのボルボ社と契約を結び、電気自動車のみを生産するボルボ初の施設にロボットを提供する方針です6。さらに早い2021年には、ファナックはEV需要を背景に利益見通しを上方修正し、EV製造ロボットを長期的な成長ドライバーと位置付け始めています。