再生可能エネルギーが電力セクターの成長を牽引

政府や企業が気候変動の影響を最小化する脱カーボンの取り組みを推進していることから、再生可能エネルギー、特に風力発電と太陽光発電の導入が加速しています。Global Xは、世界の非水力再生可能エネルギー発電能力は2023年から2032年で3倍になる可能性があると予想しています。1 2032年までに、非水力再生可能エネルギーが世界の総発電量のほぼ3分の1を占める可能性があります。2 本レポートでは、Global Xの強い成長見通しを支える要因と、その結果として起きる可能性がある重要な投資の機会について取り上げます。

重要なポイント

  • 非水力再生可能エネルギー・セクターは、政府の支援政策がますます増える中、おそらく今後10年間で大きく成長すると考えられます。
  • 企業の持続可能性に対する取り組みや、絶え間ないテクノロジーの発達、再生可能エネルギー・システムのコスト競争力も強い成長見通しを支えています。
  • 風力発電と太陽光発電はおそらく今後も最も選ばれる再生可能エネルギー・テクノロジーで、企業に風力と太陽光発電バリューチェーンでの機会を提供するでしょう。

政策による支援と優れたテクノロジーが再生可能エネルギーの成長見通しを強化

Global Xは、世界の非水力再生可能発電能力は今後10年間で195%増加し、2022年末の約2,064ギガワット(GW)から2032年には6,060GWまで増加すると予想しています。3 それに伴って、世界の発電に占める非水力再生可能エネルギーのシェアは、2022年の約14%から2032年には31%まで大きく上昇する可能性があります。4

高い成長見通しを支えているのは、政府の強力な政策による下支えです。約135カ国が経済全体にわたるネット・ゼロエミッション目標を立てています。5 また、多くの国・地方政府は特定の再生可能エネルギー目標も立てています。各政府は、再生可能エネルギーの成長を促し、それらの目標を達成するために、様々な助成金、補助金、固定価格買取、再生可能エネルギーの競売、プロジェクト入札を提供しています。

米国のインフレ抑制法はその良い例です。同法はクリーン・エネルギーの税額控除を延長・拡大するもので、米国の再生可能エネルギー成長にとって大きな追い風になると予想されています。6 政府による支援政策がプラス効果をもつと考えるもう一つの根拠は、米国ではまだ初期の陸上風力発電で、州と連邦レベルでの最近の広範な取り組みのため飛躍すると考えています。

民間セクターでは、一部の企業が、現場も含めて持続可能性目標を達成するために自社で再生可能エネルギーを供給することさえしようとしています。例えば、イケアはほとんどすべての建物に屋上太陽光発電システムを設置しています。7 ただし、企業の最も一般的な電力調達先は、再生可能エネルギー・プロジェクトを所有・運営する再生可能エネルギー発電業者との電力購入契約(PPA)です。8 PPAは、クリーン電力施設を直接建設することなしに二酸化炭素の排出量を削減する手段を提供します。米国には最も活発なPPAマーケットがあり、300超の企業が2022年に過去最高の20GWの再生可能エネルギー発電能力を契約しました。9 アマゾン、グーグル、メタなどのテクノロジー企業は過去10年間、累積で最大のPPA能力を契約しています。10

強い成長見通しをさらに支えているのは、クリーン・エネルギー・テクノロジーが絶え間なく発達すると予想されることです。ソーラー・モジュールや風力タービンなど、再生可能エネルギー・システム・コンポーネントの改善が、おそらく適合性の範囲やシステムのパフォーマンスを拡大します。重要なことに、より強力なソーラー・モジュールや風力タービのおかげで、土地費用、人件費、建設費を削減することができ、プロジェクトに必要な設備の金額を減らすことができます。

また、水上太陽光発電システムや浮体式洋上風力発電テクノロジーの発達のおかげで、おそらくプロジェクトが建設される地域が拡大しそうです。これは、特に土地が少ない国で役立つ可能性があります。また、電力貯蔵テクノロジーの発達と成長も、電力網における再生可能エネルギーのシェアを上昇させるでしょう。

風力および太陽光発電が成長機会を創出

風力と太陽光発電が、そのスケーラビリティ、テクノロジーの発達、利用しやすさから、おそらく今後も最も選ばれる再生可能エネルギー・テクノロジーでしょう。特に政府、企業、住宅発電の利用者は、再生可能エネルギー・システムのコスト競争力に大きな関心をもっています。

陸上風力と太陽光(PV)発電のコストは2010~2021年、テクノロジーの発達と規模の経済のため、それぞれ68%、88%低下しました。11 昨年は、サプライチェーンの問題のために風力と太陽光発電の価格が上昇しましたが、天然ガス価格のコストはより急激に上昇することが多く、風力や太陽光発電価格競争力は高いままです。12

太陽光と風力発電の以上の特性のため、それらの発電は大幅に成長すると考えられます。Global Xは、2つのセクターは、今後10年間に生じる世界全体の発電量増加のほぼ88%を占めると予想しています。これは、化石燃料や他の再生可能エネルギーなど、他のエネルギー源の発電能力成長率を上回っています。13 今後10年間、太陽光発電能力の年平均成長率(CAGR)は11.6%、世界の風力発電能力のCAGRは9.7%になる可能性があります。14

結論:再生可能エネルギーは画期的な成長可能性

再生可能エネルギーへの世界の投資は2022年、過去最高の4,950億ドルに達しました。これは2021年から17%の増加です。15 エネルギーの移行はペースを増しており、再生可能エネルギーへの投資は増加を続けるとGlobal Xは予想しています。投資が増加することで、再生可能エネルギー関連企業、特に太陽光と風力発電のバリューチェーンに属する企業には大きな機会が生じると考えられます。太陽発電モジュール、電池、インバーター、ウエハー、追尾システムの装置メーカー、風力タービン・メーカー、風力・太陽光プロジェクトのデベロッパー、資産オーナー、それらすべてが恩恵を受ける可能性があります。それらのプレーヤーは時間とともに発電セクターを環境にやさしいものとし、その過程で投資家に参加する魅力的な機会を提供するとGlobal Xは予想しています。