Charting Disruption:2025年と、その先の見通し
はじめに

昨日のSF(またはそれ以上のもの)を今日の現実に変える技術進歩の継続的進展からみてとれるように、人間の想像力と発明に限界はありません。人工知能(AI)の急速な進化からロケット・ブースターの帰還を発射台のアームでキャッチするまで、私たちは2024年に未来の一端を垣間見ることができましたが、イノベーションが次から次へと世界を創り出す中で、次は何が起きるのでしょうか。

グローバルXの代表的リサーチ・プロジェクトCharting Disruption2024年版は、将来起こり得ることに定量的な光を当てることを目的としています。AIによる計算量の増大が大規模なインフラ投資を促す一方、自律的システムの進歩が防衛力に革命を起こしています。老朽化したインフラが根本的に近代化され、画期的な電池技術と戦略的な素材サプライチェーンが運輸セクターを変革させつつあります。同時に、有望なGLP-1治療などの医療イノベーションが出現し、世界人口の高齢化の課題に対応しようとしています。

これらの画期的な出来事を検証すると、イノベーションは孤立した環境ではほとんど起こらないことが分かります。ある領域で開発された技術は他の領域に波及し、その波及効果は重なり合い連鎖して「ニューノーマル」(新しい常態)を生み出します。

重要なポイント

  • 破壊的創造の具体像を理解することで、昨日の発明を振り返り、今日と明日のイノベーションの影響を予測することができます。
  • 様々な産業技術への適用の面で、今のところAIがおそらく最も普遍的な破壊的テーマですが、他の重要なテーマも業種をまたいで同様の波及効果をもたらしています。
  • グローバルXは、データ中心の分析を通じて、パラダイムシフトを引き起こすテクノロジー、近代化されたインフラ、強靭なエネルギー・サプライチェーン、革新的な医療によって特徴付けられる未来を予測します。

破壊的創造の数値化:テクノロジーの波及効果を理解する

以下をご存知でしたか。

  • イーロン・マスク氏のxAIが開発した世界最大のAIスーパークラスター(AI開発施設)は、10万個のエヌビディア製半導体を使用し、テネシー州メンフィスにわずか122日で建設されました1
  • チャットGPTは、5から50の一連の命令や質問で冷却などのために、500mlの水を消費します2
  • 水素1kgはガソリン1kgの約3倍のエネルギーを含有し、燃料電池に使用されても水しか排出しません3
  • 2023年の米国の国防予算は約8,580億ドルで中国、ロシア、インドを含む2位以下10か国の合計国防予算を上回っています4
  • GLP-1薬の治療カテゴリーが成長し続けており、主要な5つのGLP-1薬(マンジャロ、ゼップバウンド、オゼンピック、ウェゴビー、カグリセマ)の合計売上高は2030年までに1,000億ドルを超えるとみられます5
  • 指先ほどの大きさのウラン燃料ペレット一個で、石炭1トンまたは石油480リットルに匹敵するエネルギーを生み出すことができます6
  • 電気自動車は最大80キログラム(176ポンド)の銅を必要とすることがあり、これは従来の内燃エンジン車で使用される量の約4倍です7
  • AIは、地球上のすべての写真家が150年かけて撮影したのと同じ数の画像をわずか1年で作成しました8
  • 10万平方フィート以上の広さがある米国の一般的なハイパースケール・データセンターは最大50メガワットの電力を消費します。これは、米国の約8万世帯に1年間電力を供給するのに十分な量です9
  • あらゆるテクノロジーの中でも、ゲノム医療は2030年までに年平均39%で成長し、売上高が640億ドルに達するとみられます。現在、あらゆる疾患を対象とする細胞・遺伝子治療の臨床試験が世界中で1,500件以上実施されています10,11,12,13

「今日の異例」が「明日の普通」になるかもしれない:世界的な課題と規模に応じた解決策

老朽化したインフラや地政学的な緊張から人口構成の変化や環境への圧力に至るまで、世界各国は山積する課題に直面しています。これらの障害は困難ではありますが、革新的ソリューションを開拓する機会を生み出します。

先進国では、予想耐用年数に達した、あるいは超えたインフラ資産が気候変動に伴うリスクを増幅し、イノベーションの伸びを鈍らせ、人口構成の変化への対応を妨げる可能性があります。2021年11月に制定されたインフラ投資・雇用法は、米国のインフラ資産の継続的な近代化を可能にする強力な基盤を用意するものですが、2024年第4四半期時点で、割り当てられた資金の約2/3がまだ使われていません14。米国だけがこれらの問題に直面しているのではなく、世界中の国々も同様です。地域別の世界的予測によれば、2030年までに電気自動車の普及率は38%~73%になる見込みです15。新しい道路、橋梁、電力網は電気自動車や自動運転車が走る文字通りの基盤であり、私たちが世界を前進させるための基盤でもあります。

AIの開発と応用は、私たちが知っている生活のあらゆる面に影響を与え得る革命的モデルへの架け橋を構築しつつあります。今年は、様々な業界でのAIの急速な導入が最も破壊的なトレンドの一つとして突出しており、すでに幅広い分野で大きな影響を与えています。最も個人的なレベルで言えば、AIを搭載したスマート医療機器やテクノロジーを活用した消費者向けケア製品によって、患者は医療システムを利用し、健康状態をより効果的に監視できるようになります。生成AI技術を利用した創薬ツールは、今後8年間でソフトウェア支出を410億ドル増やし、医薬品を市場に出すまでの時間を短縮する可能性があります16。AIを利用した分析ツールやソフトウェアは、医療システムを合理化し、蔓延している非効率を削減する機会を生み出します。また、AIソフトウェアを搭載したヒト型ロボットの市場規模は、効率的な物流システムを求める声にも後押しされ、数兆ドルに達すると予想されています17。国際的な規模で言えば、世界人口の増加に対応して農業生産を世界全体で2050年までに60~70%増加させる必要がありますが、精密農業へのAIの応用はこの必須目標を農家が達成する手助けとなる可能性があります18。また、地球上に30を超える紛争が続いている時代に自国の安全保障を確保するため、米国防総省はAI投資に関する予算要求額を2022年から2024年の間に倍増しました19,20

これらすべてを踏まえた上で、話は再び物理的インフラに戻ります。なぜなら、AIをすべての予想される活用例で実装するに当たって、こういった技術が必要とする電力とエネルギーを賄うために、物理的インフラの分野に多額の投資を行う必要があるからです。大手クラウド・コンピューティング企業がAI機能向上の取り組みを強化しているため、ハイパースケール・データセンターは2024年に世界で1,000か所を超えました21。また、AI分野のこれら大手企業は野心的な気候目標の達成を目指しているため、企業のクリーンエネルギー購入額でトップクラスとなっています22,23,24,25,26

AIは破壊的トレンドの一例にすぎません。ロボティクス(ロボット工学)も破壊的トレンドの一つです。2024年のサービスロボットの市場規模は、医療、家事、物流、農業、娯楽などでの活用で350億ドルを超えると予測されています27。手術用ロボットの市場規模だけでも2024年の112億ドルから2030年には277億ドルに拡大すると予測されています28

しかし、これはまだ出発点にすぎません。

発明は止まることなく続いています。イノベーションは加速しています。今日では思いもよらないことが、明日は普通のことになるかもしれません。2025年以降に予想される破壊的創造について、当社がどのような具体像を描くのか是非ご一読ください。

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