GXIG:AIを活用した投資運用で価値の最大化を目指す
テクノロジーは、投資分析が進化する上で極めて重要な役割を果たしてきました。従来、アナリストの手法は基本的なスクリーニングや線形回帰分析に限定されていたかもしれませんが、計算能力の向上や機械学習の適用により、これらのモデルの予測や説明の範囲は時間の経過とともに拡大しています。導入の進展は、大規模データを迅速かつ効率的に評価する必要性に支えられており、この課題に対応する手段として、ディープラーニングをはじめとするAIアーキテクチャが活用されてきました。
グローバルX 米ドル建て投資適格社債 ETF(GXIG)はAIの力を取り込み、この萌芽的テクノロジーを活用します。具体的には、GXIGは債券分析に多面的なアプローチを取り入れ、定量的ファクター・モデルとディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)を組み合わせて投資適格社債のユニバース全体にわたって銘柄を評価しています。GXIGのポートフォリオ構築に関する最終的な意思決定は人間のポートフォリオ・マネジャーが行いますが、AIを活用することで大量のデータを迅速かつ効率的に処理することが可能になり、マネジャーの意思決定に役立ちます。
重要なポイント
- ディープラーニングはデータの複雑な関係を分析する手法を変革してきました。GXIGのDNNの目的は、データ内の複雑で非線形なパターンを把握してポートフォリオ運用チームに情報を提供し、同チームを導くことです。
- GXIGのディープラーニング・モデルは、分析のための最適なアーキテクチャを構築して銘柄の期待リターンを予測するように設計された4段階のプロセスを通じて訓練されます。
- 社債ユニバースはその膨大な規模と多様性ゆえに、DNNを活用して相対価値分析を行う対象としておそらく理想的であるといえます。
今や投資家は定量分析のためにディープラーニング・モデルを活用できる
ファクター投資は何十年もの間、銘柄選択モデルを開発する際に企業の財務データとマクロ経済指標だけを頼りにしてきました。しかし、2010年代に、多様なアルゴリズムで機械を訓練させることによって、そのような手法の限界を突破することが可能になり、投資分析アプローチに新たな次元が加わりました。AIモデルと現在呼ばれている人工ニューラル・ネットワークへのこれらの応用はこのプロセスをさらに一歩進めたものです。
同じインプットを与えた場合でも異なる結果を生み出す可能性があるChatGPTなどのモデルとは異なり、グローバルX 米ドル建て投資適格社債 ETF(GXIG)で使用されているような訓練済みの「フローズン(凍結)」ディープラーニング・モデルは常に同じアウトプットを生み出します。金融商品投資のように一貫性と信頼性が不可欠な分野では、このような決定論的考え方は非常に重要な要素となります。訓練されたディープラーニング・モデルは、まるで計算機のように機能します。誰がいつ使用するかに関係なく、同じインプットは常に同じアウトプットを生み出します。これにより、ディープラーニングモデルは、データセット内で人間が検出するのが困難な非常に複雑で非線形な関係を明らかにすることができます。十分なデータと十分に構造化された階層を備えたニューラル・ネットワークは、従来の分析的または機能的アプローチでは正確に解読できない高次元パターンを認識することができます。
GXIGは、AIアーキテクチャの構築と潜在的リターンの評価について巧妙なアプローチを採用
グローバルX 米ドル建て投資適格社債 ETF(GXIG)に採用されているディープ・ニューラル・ネットワークは、ディープラーニング技術のコア・コンピタンスや強みを活用するように設計されています。同モデルは、個々の銘柄の将来リターンについて信頼できる予測を導き出すにあたり、与えられた主要変数の間に存在する関係を学習し、データセットには市場データ、経済指標、企業財務データなどが含まれます。モデルに関しては熟達したモデル開発者が経験豊富なポートフォリオ運用チームの指導の下、債券価格の動きを最も的確に説明すると考える変数に関してできるだけ多くの関連データを確保し、次に、反復テストを通じてこのタスクに最適と考えられるニューラル・ネットワーク・アーキテクチャを設計しました。GXIGのモデルは、そのパフォーマンスが有意義で信頼できるものになるよう、仮説テストと堅牢性チェックを通じた訓練を受けています。
訓練プロセスの第1段階では、投資適格社債ユニバースに存在する銘柄をブルームバーグ米国社債指数に基づいて分類します。分析のこの段階での目的は、発行セクターや債券デュレーション、信用格付けなど、銘柄選択の範囲外にある変数を管理することです。各ピア・グループ内でモデルを訓練するのに十分な数の構成銘柄が利用できるようにしないといけないことから、ユニバースは「セル」と呼ばれる35のサブグループに分割されます。
プロセスの次の段階では、35個のセルごとに個別のディープラーニング・モデルを訓練します。市場データ、経済データ、企業財務データをすべてインプットとして使用し、セルごとに10個の独立したDNNを訓練し、堅牢性を高めます。広範な試行錯誤を繰り返しながら、キャッシュフローや営業利益、負債構造、支払利息、総資産、短期投資、売上高などの最も代表的な財務項目の組み合わせをテストします。また、全体的なアーキテクチャについても数多くの実験が行われ、どのデータをニューラルネットワークのどの層に供給すべきかといった決定を含め、設計を洗練させるために無数の反復が必要となります。DNNは、同じ方法論の下で別個に訓練することによって、ニューラル・ネットワーク訓練でランダム初期化が引き起こす可能性がある問題に対処することを目指しています。これらの結果は集約され、堅牢性を高めるために活用されます。このアンサンブル手法は、同じ問題に対してそれぞれ独自の視点を持つ10人の異なる調査アナリストの合意を集めることに例えられます。
最適なアーキテクチャが特定されると、汎化性能(未知の新しいデータに対する性能)を評価するために、複数の観点からのバックテストを含む広範な検証を実施し、最終的なモデルを選択します。これらのモデルは推論専用に保存・使用され、それ以上の訓練は行われません。推論結果に基づき、各サブグループ内の銘柄についてランキング表が作成されます。最終段階では、これらのランキングに基づいて構築された仮想ポートフォリオを用いたバックテストによって、パフォーマンスの検証を行います。このプロセスは最終的に戦略レベルで実施され、ポートフォリオ・マネジャーがモデルの出力結果を実際の投資判断にどのように適用するかを検討する段階となります。学習を終えたモデルは、各銘柄の短期的なリターンを予測することで、その銘柄がどれだけ投資に魅力的かを分かりやすく示します。次に、ポートフォリオ・マネジャーはこれらの評価結果(予想リターンと投資ユニバース全体の中の相対的ランキング)、自らの知見、およびリスク管理面の考慮事項を総合して、ポートフォリオ構築などの最終的な投資判断を行います。
GXIGは社債ユニバースへの投資でアクティブ最適化アプローチを提供
ディープ・ニューラル・ネットワークの債券分析プロセスへの応用は精緻なモデル訓練と、信頼性を評価するためのテストを必要とします。投資適格社債の分野で債券のメリットを適切に評価するには、こうしたプロセスを行う価値があると考えられます。このユニバースは非常に広いため、数百の要因の相互関係を評価するAIモデルを組み入れることによって、何千もの債券の分析に費やす時間を節約することができ、運用担当者の効率化に繋がります。また、このアプローチでは受動的な方法で、従来の市場へのエクスポージャーを追求することに伴ういくつかの欠点を解決するのにも役立ちます。
2025年9月30日現在、ブルームバーグ米国社債指数は約8,500の債券で構成されています1。これらの銘柄の一部は、従来のスクリーニング手法を用いたポートフォリオにおいても初期分析の対象とならない場合もありますが、ユニバースに含まれた証券の投資機会を順位付けする作業も、なお多くの時間と労力を要します。構成銘柄数を名前に含む代表的な株価指数であっても、これほど大きなグループと比べると、その規模は全体的に見てかなり小さいことが分かります。ハイイールド社債の数でさえ、上記合計の4分の1程度に過ぎません。さらに、非常に多くの要因が分析の対象となり、適切な市場環境で適切なグループに適用されることをも踏まえると、判断に必要とされる分析の深さは手に負えないレベルになると考えられます。
パッシブ運用もこの課題に取り組んでいますが、指数に基づく方法では、債務の多い債券に重みがかかる一方で、信用度の高い債券が十分に反映されない可能性があります。あるいは、信用度の高い債の指数を使う場合でも、その指数が良いパフォーマンスを出す魅力を持っているかは注意が必要です。パッシブな手法には、リバランスのタイミングに関する柔軟性が低いこと、質が劣るとみなされかねない証券を保有しなければならないこと、信用や時事ニュースに係る事象に対応できないことなど、他にも様々な潜在的な欠陥があります。
結論:GXIGの最先端DNNがファンド・マネジャーの債券スクリーニングを変革する
債券の価値に影響を与え得る固有の要因は数多くあります。しかし、投資家がその部分の分析に取り組む前でも、スクリーニング・プロセスを用意しておくことは有益です。GXIGが利用しているDNNは、グローバルXの経営陣がこのスクリーニング戦略を実行する上で迅速かつ検証済みの方法であり、他の方法では見えないパターンを認識することによって付加価値を提供する可能性もあります。DNNおよびGXIGの経験豊富なポートフォリオ運用とを組み合わせることによって、グローバルXは様々な市場環境でより高い投資成果、耐性のある戦略を投資家の皆様に提供できるように努めています。
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