ChatGPT1周年:生成AIがブレイクした年
2022年11月30日、OpenAIは正式にChatGPTをローンチし、生成AIブームが巻き起こり、テクノロジー業界や消費者の行動を急速に変えていきました。生成AIは革新的な時代の始まりを代表するもので、経済成長を促し、ほぼすべての業界の可能性を広げるとGlobal Xは考えています。ChatGPTや他の大規模言語モデル(LLM)に関連した初期のブレイクスルーは、生成AIで何ができるかを示すだけでなく、テクノロジーのパラダイムシフトが起ころうとしていることを明確に示しています。
重要なポイント
- ChatGPTが最初の1年間で達成したユーザーの劇的な増加と主要クラウド・サービスとの統合は、生成AIの急速な普及とスケーラビリティを反映しています。
- サービスとしてのモデル(Model as a Service、MaaS)などの新たなビジネスモデルの出現と、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)ベースのマネタイゼーションは、AIテクノロジーをマネタイズし、商業化する方法を変えており、あらゆる規模の企業に巨額の先行投資なしにAIを活用することを可能にしています。
- AIは、言語理解、マルチモデル機能、よりパーソナライズされたコンテキスト特定のLLMをさらに発展させようとしています。
誕生して1年、生成AIはすでに広く普及
ChatGPTは、2か月未満で月当たりのアクティブユーザー(MAU)数が1億人に達し、1年前のローンチ後、過去最速で成長した消費者インターネット・アプリケーションになりました。ご参考までに、TikTokはユーザー1億人に達するまでに約9か月かかりました1。同プラットフォームは現在、週当たりアクティブユーザー1億人と、約2億超のMAU(フォーチュン500企業の92%における開発者である200万ユーザーを含みます)を誇ります2,3。
過去12か月間のChatGPTの成長について特に注目すべきことは、MAUの急増が、主要クラウド・プロバイダーとの統合、製品のアップグレード、業界アプリケーションの広がりなど、鍵となるマイルストーンと一致していることです。例えば、2023年2月から3月のユーザー急増は、GPT-4のリリースとマイクロソフトの製品スイートとの統合による機能性の向上に対応したものです。2023年5月に実施されたiOS上のChatGPTアプリのローンチは、さらにユーザーを急増させました。学生の新学期が始める9月には、ユーザー・エンゲージメントが回復、1か月後のMAU記録更新への道を開きました4。
ユーザーの急速な増加のため、OpenAIの2023年売上高は年率換算ベースで13億ドルを超えました。これは、2022年から4,500%超の増加です5。このような高収益を得る機会を前に、大手テック企業は生成AIを巡る激しい競争を開始しました。
このような競争的状況に拍車をかけたのは、生成AIがもたらした生産性の向上と、業界で広く達成されたモデル・トレーニング・コストの減少です。新たなモデルは知識労働者の生産性を劇的に上昇させており、一部では40%も上昇しています6。そのような効率性の向上がさらにモデルの採用を増やし、それがモデル・トレーニングおよび開発のためのコストを減らし、参入障壁を低下させています。この継続的なイノベーション・サイクルは、AIテクノロジーの利用をさらに大衆化しています。
ChatGPTはAIマネタイゼーション拡大の道を開く
昨年、標準的な月払い消費者サブスクリプション料金以外の新たなビジネスモデルがいくつも現れました。MaaSフレームワークは、開発者がそのテクノロジーのライセンスを他の企業に繰り返し発生する料金で供与するもので、AIプレーヤーの中でもとりわけ人気のビジネスモデルです。
この戦略は、小規模企業がソリューションを大きなユーザー基盤をもつ大規模テクノロジー企業にライセンス供与する場合、特に大きな利益をもたらします。OpenAIがその最たるものです。OpenAIは、GPT-3 AIモデルのライセンスをその消費者および企業向けプラットフォーム上でマイクロソフトに供与し、マイクロソフトのすでに確立された販売ネットワークを利用することによって、市場に大きく食い込んでいます。
大半のソフトウェアについて現在存在するサブスクリプション・ベースのモデルと同様、MaaSの消費者ベースの価格設定戦略のため、企業は最高のAIモデルを導入し、その固有のニーズに合わせてAI利用を拡大することができます。また、彼らはそのようなモデルを社内で開発するのにこれまで必要だった、重荷となっていた設備投資を必要としません。
APIベースのマネタイゼーションも昨年、AI開発者がそのAI機能の領域を広げるための一般的な戦略として浮上しました。APIを通して、AIサービスは、多数のプラットフォームに利用回数ベース料金(拡張可能)でシームレスに統合されています。この戦略は、AI開発者の反復的な収益源を生み出すだけでなく、AIの広範囲にわたる統合も促しています。例えば、ChatGPTのAPIは、インプットに基づいて各種レートで価格が決まるもので、画像生成など、非チャット・アプリケーションを含む様々な体験を提供することができます。この機能を早期に採用したのは、スナップチャット、ショッピファイ、インスタカートなどです7。
マルチモダリティとカスタムメイドLLMがAIを広範な消費者向けアプリケーションにできる
近い将来、言語理解のLLMの進歩と、画像、ビデオ、ゲームにおけるマルチモダリティ機能を予想します。
また、カスタムメイドLLMの爆発的普及と、既存のサービスとしてのソフトウェア(SaaS)プロバイダーの垂直的統合による集中がありそうです。例えば、セールスフォースは最近、チャネル全体で自動生成のセールスコンテンツ、マーケティング、パーソナライゼーションを助ける新しいAI機能、アインシュタインGPTの販売を開始しました8。他の例としては、GitHubコードベース上でトレーニングされるプログラム・アシスタント、マイクロソフトコパイロットが挙げられます。同アシスタントは現在、100万超の有料アクティブユーザーを誇ります9。
これらのモデルの今後のバージョンはますますパーソナライズ化されたコンテンツに特化したものになるでしょう。特に、SaaSプロバイダーはその専有データを利用して、モデル・トレーニングを高度化し、業界ごとのタスクを自動化し始めています。OpenAIも最近、個人から大企業まで、ユーザーがChatGPTにカスタムメイドの指示、追加的な知識、カスタマイズされた技術の集まりを組み込むバリエーションを作成できる機能を公表しました10。
結論:ChatGPTの躍進は始まったばかり
ChatGPTの最初の1年が成功したのはテクノロジーの普及が大きく変化していることを象徴していると考えられます。マネタイゼーションが有効であることを示す証拠は、業界に投資を続ける燃料をさらに供給するでしょう。しかし、私たちは生成AIの可能性をまだほんの少ししか活用していません。私たちがこれまで見てきた進歩は、テクノロジーと人間の関係を再定義し、業界全体の経済的状況を再構築する、より深く、より重大な転換の前触れに過ぎないと考えています。
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