CES 2026:転換点を迎える自動運転
2026年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、再びモビリティが主要テーマとして浮上しました。さらに注目すべき点は、2020年代初頭以来初めて、業界の注目が電気自動車(EV)から離れ、自動運転に再び移ったことです。グローバルXの見解では、この自動運転への注目のシフトは、ハードウェアとソフトウェアの両面での大きな進歩によって実現されており、ここ数年で急速に拡大したAIエコシステムがその原動力となっています。CESで発表されたエヌビディアのフィジカルAIプラットフォーム「Alpamayo」(アルパマヨ)はこの移行を代表する一例であり、現実世界のデータとシミュレーションされたデータを大幅に拡大することによって、自動運転の開発の加速を目指しています。これは、より高度な自律化に不可欠なステップとなります。
このように、モビリティ分野は明らかな転換点を迎えています。アルファベット傘下のウェイモやアマゾン・ドット・コム傘下のズークスをはじめとするロボタクシー企業は、2026年に新しい市場にサービスを拡大する計画を発表しており、ウーバーも今年中に自動運転サービスを開始する予定です1。既存の自動車メーカー数社も、より先進的な運転支援システムを紹介しました。さらに、キャタピラーは、基調講演の中で「自律化」を強調して取り上げ、AI、機械学習、エッジコンピューティングを統合して生産性と安全性を向上させる建設・鉱業用の次世代自律重機を披露しました2。
展示会全体では、自動運転プラットフォームやLiDAR・レーダーのセンサー技術の進化、次世代バッテリー技術、そしてますます高度化する車載インフォテインメント(情報・娯楽)システムのデモンストレーションが行われました。これにより、「知能化」「自動化」「接続性」が融合し、モビリティの未来を大きく変えつつあることが強調されました。
本稿は、「CES 2026」での主要なテーマを取り上げる二つのレポートのうちの一つです。もう一つの記事「CES:AIとロボティクスは『話題性』から『実用化』へ」をお読みください。
重要なポイント
- モビリティセクターは、安全性、パフォーマンス、全体的なユーザー体験の向上を目指し、より高度な自動運転に向けて急速に進化しています。
- 乗用車ではロボタクシーが自動運転化を主導している一方、建設業・農業・鉱業向けでは半自動式から自動運転まで機械の選択肢が広がり続けています。
- 電気自動車の技術は、次世代バッテリー技術、充電の高速化、性能向上に向けて進歩し続けています。
自動車メーカーはL4自動運転に向けて大きく前進
複数の自動車メーカーやサプライヤーが、レベル4(L4)自動運転システムに向けた進展を強調しており、L3システムやL4システムの本格化が現実味を帯びてきています。現在利用可能な自律システムの大半はL2またはL2++であり、ドライバーがシステムを監視し、状況に応じて操作を主導する必要があります。L3システムでは自律性の観点から大きな飛躍が起こり、特定の条件下では車両が自律走行し、ドライバーがシステムを常時監視する必要はありません。ただし、介入の要請が生じた場合に備えてドライバーが同乗する必要があります。さらにL4システムは、人間の介入を必要とせずに予測できない状況にも対応できるように設計されており、ドライバーが不要になります。
グローバルXのチームは、ライドシェア業界がL4自動運転の分野で依然として明確なリーダーであることに注目しています。ウェイモは、中国の自動車メーカー、ジーリーのミニバン型車両をベースにしたロボットタクシー「Ojai」を披露しました。Ojaiは2026年後半までに商用サービスを開始する予定で、13台のカメラ、6つのレーダーセンサー、4つのLiDARセンサーを使って完全自律走行を実現しています3。ウェイモは、L4自動運転で1億マイル(約1.6億キロメートル)以上の走行距離を達成しており、今後1年間でデンバーやインディアナポリスのような寒冷地を含む12以上の都市にサービスを拡大することを検討しています4。
さらに、ヒョンデがロボタクシー「IONIQ 5」を紹介したほか、ウーバーは自動車メーカーのルーシッドや自動運転プラットフォームを提供するニューロとの提携によるロボタクシー「Gravity」を披露しました。ルーシッドは今年後半にアリゾナ州で生産を開始する予定であり、ウーバーは2026年後半にサンフランシスコでロボットタクシーの商用運行を開始する計画です。また、非公開企業のテンサーは、同社が「世界初のパーソナルロボカー」と称する車両を初公開しました。この車両は、L4自動運転向けに完全に設計されており、格納式のハンドルも搭載されています。なお、最初の受注は中東地域の顧客向けに開始されています。
ウェイモとウーバーは、投入予定のL4ロボタクシーモデルを発表
Sources: Global X ETFs with information derived from: Waymo. (2026, Jan 6). CES Presentation.; Lucid. (2026, Jan 8). CES Presentation.
既存の自動車メーカー各社も、自動運転の高度化に向けた進展をアピールしました。BMWは、ステアリング支援や速度制御を備え、安全性の向上が見込まれるL2運転支援システムを搭載した電気自動車モデル「iX3」を披露しました。フォードは、2026年後半にAI搭載の音声アシスタントを導入予定で、2028年までに新たな汎用電気自動車プラットフォームとともにL3自動運転システムを提供する計画です5。
自動車メーカーは、自動運転のレベルがL3やL4へ広がる中で、ユーザー体験の向上にも引き続き注力しています。運転中に集中する必要がなくなれば、車内のインフォテインメントシステムや個人化機能が体験の中心的要素になり得ます。これにより、完全にデジタル化されたカスタマイズ可能なダッシュボード、車内インテリジェンス・システム、ダイナミック照明、車窓に表示されるパーソナライズされたメッセージや広告といった新しいビジネス機会が生まれ、自動運転のバリューチェーンに関わる企業にとってビジネスチャンスが広がります。
オモビオの窓面投影技術が、将来の自動車での安全性向上と個人化体験を後押しする可能性
Sources: Global X ETFs with information derived from: Aumovio. (2026, January 8). CES Presentation.
提携が中心的な役割を果たしながら自動運転と電動化の加速を実現
完全自動運転車の実現に向けては、企業間のパートナーシップがこれまで以上に重要になっています。その中でも注目すべき発表の一つが、NVIDIAのCEOジェンセン・フアン氏による「アルパマヨ」技術プラットフォームの発表です。このプラットフォームには、オープンソースの視覚言語モデルに加えて、シミュレーション環境および実世界でのAI運転データセットが組み込まれています6。エヌビディアは、フィジカルAIシステムにより、「思考する」自律システムを構築するための基盤を研究者や自動車メーカーに提供することを目指しています。さらに、オープンな物理・シミュレーションデータセットは、自動車メーカーが地域ごとの特性や多様な運転シナリオに対応できるシステムをより迅速に開発するのに役立ちます。
メルセデス・ベンツやルーシッドなどの企業は、すでにアルパマヨの運転モデルを導入しています。米EVメーカー、ルーシッドの展示を訪問した際、同社の経営陣は、エヌビディアとの提携が先進運転支援システム(ADAS)をL2++からL3またはL4へと強化する開発のスピードアップにつながると話しました。ルーシッド、ウーバー、ニューロの提携は、3社それぞれの自動運転機能の拡張にも寄与していると見られます。三社は、まず米国および海外市場でルーシッドおよびニューロによるロボタクシー2万台を配備する計画であり、今後数年間で追加発注の可能性があります7。
非公開の自動運転長距離トラック企業であるオーロラは、ドイツを拠点とするテクノロジーメーカーであるオモビオとの提携により、大量生産を確保しながらハードウェアコストを削減することが可能になると述べました。オモビオは、主要システムに障害が発生した場合に備えてバックアップコンピューターも提供します。また、両社はアマゾンウェブサービス(AWS)と連携して、厳格な安全基準を確保しながらADAS技術の開発をさらに加速しています8。
自動車メーカー(OEM)やサプライヤーは、引き続き電気自動車(EV)のコスト削減と効率向上に注力しています。例として、全固体電池の商業化に向けた進展が特に際立っており、シェフラーやドーナツラボといった企業がそれぞれ自動車向けとオートバイ向けのモデルを公開しました。シェフラーは現在、OEM三社および電池メーカー二社と協力しながら同社の固体技術の試験と拡大に取り組み、2030年までに量産化することを目指しています。次世代の全固体電池は、大幅なエネルギー密度の向上、充電時間の短縮、安全性の向上が期待されています9。また、ソニーとホンダの合弁会社であるソニーホンダモビリティは、今年中に発売予定の最新の電気自動車「AFEELA 1」を発表しました。
自動運転車の用途が乗用車以外にも拡大
ディアは、高度に自動化されたX9コンバインを紹介しました。この収穫機は、同社の技術スタックやカメラ、衛星画像を利用して作物の状況を監視し識別するものです。この自動運転マシンでは、速度、収穫、加工の設定が自動的に調節され、作業効率を高め、作物の損失を最小限に抑えることができます。ディアの推計によれば、このコンバインの予測に基づく移動速度の自動制御により、生産性が20%向上する可能性があるとされています10。
また、ディアは、農業用の技術スタックを道路建設にも広げ、ハンドル操作や道路幅の調整を自動化する「Vogele Road Paver」も展示しました。この装置は、人手不足と安全上の懸念を解消しながら、原材料を大幅に削減できる可能性があります。
過去には、ディアはCESで自律走行トラクターや精密散布機を紹介してきました。2025年12月時点で、同社の接続型農機具は100万台以上が稼働中で、デジタル運用センタープラットフォームは世界中で5億エーカー以上の耕作地をカバーしています11。
ディアは半自動式のコンバイン収穫機と道路舗装機を披露
Sources: Global X ETFs with information derived from: John Deere. (2026, Jan 7). CES Presentation.
クボタも、幅の狭いトラクターや、多用途に利用可能な「トランスフォーマー」ロボットなど、AI搭載の農業機器を展示しました。また、現場で稼働する実機により収集されたデータを活用するクボタのデジタルツインシステムも、精密農業と作業効率を高めるソリューションとして紹介されました。
キャタピラーは、現場の効率性と安全性の向上を実現し得る建設・採鉱作業用の半自動式および自動式の機械を展示しました。オーロラは、米国における同社のL4自動長距離トラック輸送の進捗状況について説明し、これによりトラックの稼働率が倍増するほか、労働力不足の解消にもつながる可能性があると述べました。同社は2025年5月にテキサス州で初の自動運転トラックの商用サービスを開始しています。
クボタがスマート農業の未来として次世代機器とデジタルツインシステムを発表
Sources: Global X ETFs with information derived from: Kubota. (2026, Jan 8). CES Presentation.
結論:モビリティの進歩は市場の注目に値する
「CES 2026」では、モビリティ分野が一層の自律化と電化に向けて急速に加速していることが改めて確認されました。ロボタクシーは依然としてL4自動運転の最前線にあります。一方で、戦略的提携の拡大やエヌビディアの「アルパマヨ」モデルの導入に伴い、さらなる先進自動運転モデルの市場投入が加速する可能性があります。これらの技術は、乗用車やトラック、産業機械がより賢く、安全で効率的、かつ柔軟に進化する未来の基盤を築くものです。
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