善意の投資を超えるコンシャス・カンパニー

本レポートは、2018年10月に作成され、2019年6月に更新されたものです。

ESG (環境、社会&ガバナンス) 投資はまだ草創期にあり、投資家は引き続き高い関心を寄せています。最近の調査では、投資家の80%が、価値観にマッチした投資を行うことをある程度重視していると回答しました1。ここでは、2018年の秋で設定から2周年を迎えた当社のESG関連ETFであるグローバル・X・コンシャス・カンパニーズETF (KRMA)の運用実績を分析し、投資家の価値観に合わせながら、マルチステークホルダー・オペレーティング・システムを用いてKRMAのインデックスが銘柄を選定するユニークな方法とそのパフォーマンスへの影響を考察していきます。

投資家がESG戦略の導入に躊躇する一般的な理由は、パフォーマンスが予測しづらいことです。価値観に適合した投資を望む投資家は多いものの、その代償としてリターンの低下を容認する投資家は稀です。KRMAのインデックスのパフォーマンスをS&P 500等のインデックスと比較したところ、設定来、KRMAのインデックスがアウトパフォームしており、ESG戦略はリターンを犠牲にするものではないことが確認されました。

Source: Bloomberg. 7/11/16 (KRMA’s inception date) through 6/26/19 Returns are cumulative. The standardized and most recent month-end performance for KRMA can be found by clicking here. The performance data quoted represents past performance. Past performance does not guarantee future results. Index returns are for illustrative purposes only and do not represent actual fund performance. Index performance returns do not reflect any management fees, transaction costs or expenses. Indices are unmanaged and one cannot invest directly in an index.

KRMAは、マルチステークホルダー・オペレーティング・システム(「MsOS」)に基づいて銘柄を選択するインデックスに連動しています。MsOSは5タイプのステークホルダー (顧客、従業員、サプライヤー、コミュニティ、株主・債券保有者) に対する良好な成果の達成実績に基づいて企業をランク付けします。このため、KRMAのインデックスは、一定の要件を満たさなければ指数から排除する「ネガティブ・スクリーニング」ではなく、実績を評価された企業のみが指数の構成銘柄となる「ポジティブ・スクリーニング」の手法をとっています。このKRMAの「ポジティブ・スクリーニング」の手法は、武器、たばこ、アルコール関連企業を除外する「ネガティブ・スクリーニング」の手法が主体となりがちなESG投資手法と一線を画す重要な特性になっています。

MsOSの採用によりKRMAと、より広範囲をカバーする時価総額加重平均ベースの株価インデックスの間で銘柄構成にどのような違いが生じるか分析することは重要です。KRMAは、銘柄構成に均等加重平均の手法を採用し大型株と中型株を投資対象としているため、KRMAのセクター・ウェイトを時価総額加重平均ベースのS&P 500およびラッセル1000 イコール・ウェイト・インデックス (均等加重インデックス) と比較してみます。

下表のとおり、KRMAがラッセル1000 イコール・ウェイト・インデックスとの比較においてオーバーウェイトが最も大きいセクターは一般消費財です。一方、アンダーウェイトが最も大きいセクターは電力・ガスとエネルギーで、ファンド設定来、ラッセル・インデックスに対し6%のアンダーウェイトで推移しています2


Source: Bloomberg. Data represents daily average overweight/underweight of KRMA relative to Russell 1000 Equal Weight Index and S&P 500 Index since KRMA inception of 7/12/16 to 6/26/19. All numbers are approximate. Allocations subject to change.

一般消費財の比率が大きいのは、この業界の企業が、支持するブランドの価値を重視する意識が高い消費者へアピールすることに、他業界よりも尽力していることが理由と思われます。これとは対照的に、電力・ガスやエネルギー企業は、国家/州当局の厳格な規制対象になっている場合が多いため、消費者にアピールするインセンティブは比較的小さいため、消費者アピールよりも事業効率の向上を優先する場合が多いと言えます。こうしたセクター・バイアスがあるにもかかわらず、KRMAのアウトパフォーマンスの主な要因は銘柄選定です (下図参照)。ここから、セクター・バイアスの影響を排除すると、優れた倫理観 (values) を持つ企業はより高いパフォーマンスを実現して投資家に報いてきたことがわかります。

ESG ETF Outperformance

Source: Bloomberg. Data from 7/12/18 to 6/26/19. Performance relative to the Russell 1000 Equal Weight Index. Past performance is not a guarantee of future results.

最近の調査レポートを見る限り、ステークホルダーは強固な価値観を持つ企業を引き続き高く評価しています。逆にステークホルダーに強固な価値観が欠落したと見なされた企業はリスクにさらされる可能性があります。例えば従業員は、自身と価値観を一にする企業で働くことを非常に重視しており、ミレニアル世代の86%は、目標や価値観を共感できる企業であれば減給を受け入れて働くことも検討するとしています3 。また、顧客も企業はポジティブな価値観を広めることが重要であると考えています。ある調査では、顧客の66%が、サステナブルなブランドの製品であればより高価でも購入したいと回答しています4。もう一つの重要なステークホルダーである投資家、とりわけジェネレーションX世代とミレニアル世代の投資家の間では、ESG投資の人気が急速に高まっています。ESG投資人気は、幅広い世代でも一般化ししつつあります。ESG原則の実践を表明している機関投資家は運用資産総額で2桁台の増加が続いており、今や60兆ドル近くに達しています。5

こうしたデータは、ESG投資が一時的な流行ではなく、経営理念をそれほど重視しない企業に対し、潜在的に優位な企業を識別するのに有効な投資アプローチであることを示しています。当社は、MsOSがESG投資アプローチの実践に有効な手法であると考えています。その理由は、MsOSは企業に対し、特定のグループだけでなく、様々なステークホルダーに価値理念を拡張していくことを義務付けるためです。時間はかかりますが、MsOSの手法は、投資家の価値観に沿った投資の維持だけでなく、長期的に市場をアウトパフォームする魅力的な可能性をもたらすと考えています。

 

関連ETF

KRMA: グローバル・X・コンシャス・カンパニーズETFは、持続可能かつ責任ある方法により、業績だけでなく、環境・社会・コーポレートガバナンス(ESG)で高い成果を上げている経営の優れた企業に投資する機会を提供できるよう設計されています。

脚注

  1. Global X. “Disruptive Technologies: In Life and Personal Portfolios”. July 11, 2018.
  2. Bloomberg. Data from 7/12/16 to 6/29/19.
  3. CNBC. “Nearly 9 out of 10 millennials would consider taking a pay cut to get this.” June 28, 2018.
  4. Forbes. “Millennials Driving Brands To Practice Socially Responsible Marketing.” March 17, 2017.
  5. KeyBank. “Keeping You Informed: Values Based Investing.” 2016.

定義:

コンシニティ・コンシャス・カンパニーズ・インデックス:コンシニティ・コンシャス・カンパニーズ・インデックス(「インデックス」)は、Concinnity Advisors LP(「インデックス・プロバイダー」によって定義された、マルチステークホルダー・オペレーティング・システム(「MsOS」)と一致するプラスの成果を上げられる能力を評価することによって、インデックス・プロバイダーが持続可能かつ責任ある方法で業績を達成したと考える米国の上場企業に投資する機会を提供できるよう設計されています。

S&P 500指数:S&P 500指数は、米国株式の代表的な500銘柄のパフォーマンスを追跡し、米国市場の時価総額の約80%をカバーしています。同指数は、米国大型株の動向を表す最適な単一指標として広く認められています。

ラッセル1000 イコール・ウェイト・インデックス:ラッセル1000 イコール・ウェイト・インデックスは、ラッセル1000インデックスの均等加重バージョンで、9つのセクターを均等加重した上で、各セクター内の企業銘柄を均等加重します。