Thematic ETF Report: Q3 2020
Global Xのリサーチチームは、「Thematic ETF Report」の2020年第3四半期版を発表しました。本レポートでは、破壊的創造テーマに対するGlobal Xの分類システムと、それらを追跡するテーマ別ETFについて概説しています。また、テーマ別ETFについて、新規上場や閉鎖、運用資産残高(AUM)の動き、ファンドフローなどを見ながら、業界レベルの分析も行っています。
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テーマ別ETFの業界状況 - 第3四半期の総括
2020年第3四半期末時点で、テーマ別ETFのAUMは、米国ETF業界の総AUM4.7兆ドルの1.2%を占めています。これは、2020年第2四半期末のAUMシェア0.95%から上昇しており、米国ETF業界全体と比較すると、このセグメントの急速な成長が続いています。さらに掘り下げてみると、第3四半期末のテーマ別ETFのAUMは586億ドルに達し、第2四半期末に達成した413億ドルのAUMから42%増となり、前四半期比7%増の米国ETF業界全体の増加を上回りました。第3四半期のテーマ別ETFの受託資産残高増加額の173億ドルのうち105億ドルは、ポジティブな純流入が寄与し、残りは価格の上昇によるものでした。現在、テーマ別ETFは135本となり、前四半期末の129本から増加しており、6本が上場され、クロージングはありませんでした。
破壊的創造テクノロジー関連のカテゴリーがAUM(144億ドル)で最大の増加となり、物理的環境関連のカテゴリー(33億ドル)、人と人口動態関連のカテゴリー(25億ドル)がこれに続きました。テーマ別では、クラウドコンピューティングが引き続きAUMで最大のテーマとなり、クリーンエネルギー、AI/自動化のテーマがこれに続きました。
Global Xによるテーマ別分類システム
Global Xのリサーチチームは、破壊的創造テーマを特定し、テーマ別ETFを分類するための一貫したフレームワークを提供する「Classification System(テーマ別分類システム)」を策定しています。メディアや金融の世界では、しばしばテーマ性のある投資の定義が矛盾しているのを目にすることがあり、どのETFにテーマ性があるのか、どのようなテーマを追っているのかについて混乱が生じています。この分類システムの導入により、破壊的創造テーマとそれに関連するETFについて、より明確になることを期待しています。
テーマ別投資の定義
Global Xでは、テーマ別投資を、破壊的創造に関するマクロレベルの強力なトレンドと、それらのトレンドの実現によって利益を得る基礎的要素を特定するプロセスと定義しています。
テーマ別投資とは、長期的な成長志向の戦略であり、一般的な地理的な制約や伝統的なセクターや業界の分類にとらわれず、成長戦略どうしの相関性を低く保ちながら、関連性のあるコンセプトに投資するものです。
特筆すべきことは、破壊的創造をトレースする構造的トレンド(気候変動など)を示すものでない限り、テーマ別投資はESG戦略、価値観に基づく戦略、政策主導型の戦略から構成されていないということです。さらに、伝統的なセクターや業界の分類に固執するファンドや、主に循環的なトレンド(通貨、バリュエーション、インフレなど)へのエクスポージャーを得ることを目的としたファンドは、テーマ性のある投資とはみなされません。最後に、上場インフラストラクチャー、MLP、ユビキタス・コモディティなどのオルタナティブ資産クラスはテーマ性があるとはみなされません。
テーマの分類
Global Xのテーマ分類システムは、4つの階層から構成されています。1)カテゴリー、2)メガテーマ、3)テーマ、4)サブテーマの4つの階層で構成されており、それぞれの階層の焦点が順次絞られていきます。
“カテゴリー”は最も広い層であり、破壊的創造の3つの基本的な要因を表しています:テクノロジーの指数関数的な進歩(Disruptive Technology:破壊的創造テクノロジー)、変化する消費者の習慣と人口動態(People & Demographics:人と人口動態)、そして進化する物理的環境(Physical Environment:物理的環境)です。
一つ下の階層は“メガテーマ”であり、共通の領域で大きな変化を引き起こしている複数の変革的な力のより教義の集合体となっています。例えば、ビッグデータは、機械/ディープラーニング、サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、クラウド/エッジコンピューティングで構成されるメガテーマになっています。
さらに下の階層では、テクノロジーの進歩、消費者の需要の変化、環境への影響など、変革的な破壊の具体的な分野を“テーマ“として特定しています。現在、35の“テーマ”が分類されています。
“サブテーマ”とは、テーマの特定の用途や、テーマを推進する上流段階の要素など、よりニッチな分野を特定しています。
テーマ別ETFは、特定のカテゴリー、メガテーマ、テーマ、サブテーマを対象とすることで評価されます。当社の分類プロセスでは、特定のETFの方法論、保有状況、目的を分析し、そのETFに最適なものを見つけ出すことを目指しています。「Classification System(テーマ別分類システム)」は、四半期ごとに見直しを行い、新たなカテゴリー、メガテーマ、テーマ、サブテーマの可能性を検討しています。また、新たなETFの導入や戦略の変更があった場合には、直ちにその分類によって評価されます。
結論
既存のパラダイムを破壊的創造もたらす新技術発展や、世界の人口動態の変化により消費者の行動が変容し、既存のビジネスモデルは変革を余儀なくされ、また物理的環境が劇的に変化するという未知の時代にあって、これらのテーマとそれにアクセスするための金融商品を追跡するための一貫したフレームワークの必要性が高まっていると当社は考えています。