COVID-19パンデミックがテーマ投資にもたらす大きな変化

長期にわたる構造的トレンドが変化するには、当然ながら時間がかかります。新たなテクノロジーの開発・採用、深く根付いた消費者行動の変化、または人口動態の変化は、一夜にして起こるものではありません。しかし、場合によっては、あるイベントが引き金となり、そのような変化が加速したり減速したりする可能性があります。

全体として見ると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、長期にわたる構造的トレンドの多くについて変化を加速させることが証明されつつあります。公衆衛生や世界的な経済成長をめぐる不安が広がる中、消費者、企業、学生、政府は、こうした新たな現実に対処するため、それぞれの行動を急速に順応させつつあります。そのような変化の多くでは、外出禁止令下の生活を快適にする最新テクノロジーが活用されています。例えば、仕事、学業、診療にビデオ会議サービスを使用したり、娯楽のためにストリーミングプラットフォームやゲームプラットフォームを利用したり、ソーシャルメディアネットワークで友人や家族とつながったり、店頭ではなくオンラインで商品を購入したりすることが含まれます。家の外でも変化の広がりを見ることができます。ロボット工学や自動化が一段と重視されることで、病院や倉庫、工場といった場所での人と人との接触が減少しつつあります。ヘルスケア分野では、研究者たちがこぞってウイルスと闘っていることから、ゲノミクスに基づく革新的な治験や治療法開発が勢いを増しています。

COVID-19は、こうしたテクノロジーの採用を加速させるだけでなく、その潜在的な市場をも拡大させつつあります。例えば、eコマースのサイトでは、サイレント・ジェネレーション(1928~1945年生まれの世代)を対象購買層と見ることはまずありません。しかし、高齢者はコロナウイルスに最も脆弱な年代層に属しており、ロックダウンが敷かれる中、基本的な食品、家庭用品、医薬品をオンラインで注文する方法を学びつつあります。同様に、ビデオ会議やソーシャルメディアのアプリは、多くの場合、若年層をターゲットとしていますが、高年齢が社会的なつながりを維持するために、こうしたテクノロジーをこれまで以上に利用している姿が見られます。

テーマ投資においては、予想される採用の軌跡と特定のテーマに対する市場の潜在性を表す普及曲線に沿ってプロットすることにより、テーマを評価しようとする傾向が見られます。下図に示すように、COVID-19の爆発的な感染拡大により、一部のテーマが加速・拡大していることから、普及曲線はスティープ化するとともに、上方に押し上げられる可能性があることが分かります。

COVID-19 impact on Thematic Investing

テーマのディスラプションを評価する方法

テーマのディスラプション(破壊的変革)に乗じて適切に投資するには、2つのプロセスを踏むことが必要です。まず、投資家はトップダウンで、経済の大部分を混乱させると予想される強力なマクロレベルのトレンドを特定する必要があるはずです。次に、投資家は、そうしたトレンドの具体化から恩恵を受けると考えられる企業を適切に特定する必要があります。これまで、テーマを特定し、適切な銘柄にアクセスするには、十分な調査と業務遂行能力が必要でした。そのため、テーマ投資を行えるのは極めて高度な機関投資家のみに限定されていました。しかし、現在では多くのテーマ型ETFが組成されていることから、投資家にはこれまで以上に多数の選択肢が用意されており、幅広い強力なテーマに効率良く投資することができます。

当社は、2020年第1四半期テーマ型ETFレポートで、60以上のメガテーマ、テーマ、サブテーマを追跡する125本のテーマ型ETFを特定しています。その累積運用資産額は250億ドルを超えています。投資家は以前にも増してテーマ型銘柄をポートフォリオに組み込むと思われることから、テーマ型ETFは今後も急速に増加することが予想されます。

Thematic ETF Landscape

複数のテーマに単一のソリューションで対応

このように多数のテーマ型ETFが用意されているため、投資家は自らのポートフォリオにどのETFを選択し、どのようなウエイトをかけるべきか迷うことが多々あります。グローバルX マルチテーマ成長株ETF(GXTG)は、高成長の可能性を秘めた少数のテーマに同時にアクセスできるよう設計されたファンド・オブ・ファンズ型ETFであり、投資家は最も魅力的な成長機会を提供するテーマを効率的に把握するとともに、そうしたテーマのウエイトと分散状況を自らのポートフォリオに反映させることができます。GXTGは、成長重視のポートフォリオにおける長期的なポジションとして保有するための単一のソリューションを意図したものです。これとは別に、投資家はコアテーマのポジションとしてGXTGを保有する一方、個々のテーマをターゲットとするETFを利用することにより、GXTGのエクスポージャーにティルトを加えたり、補完することができます。

GXTGの裏付けとなっているインデックスのインデックス・メソドロジーは、ほとんどがGlobal Xのテーマ投資に関する調査および投資アプローチを基礎としています。その際に考慮される事項の1つは、潜在的な成長率に基づいた最適化です。インデックス・メソドロジーにおいては、直近の売上高成長率に基づいてテーマを選択し、最も高い成長率を示すテーマをオーバーウエイトすることにより、当社が有望だと考えているテーマへのエクスポージャーを得ようとします。そうしたテーマの製品やサービスは市場で急速に勢力を拡大するからです。

もう1つ考慮される事項は分散化です。このインデックス・メソドロジーでは、ディスラプションの発生しているテーマをセクターごとにグループ化し、各グループから1つのテーマを選択することにより、ディスラプションをもたらすさまざまな主要な原因の間でバランスを取ろうとします。

GXTGの手法は効率性に優れ、これまでのところ、さまざまな市場ベンチマークを上回る高成長を達成していることが証明されています。COVID-19が経済の主要セグメントを混乱させ、一部の高成長テーマに機会をもたらす中、GXTGは特にeコマースやロボット工学、AI、ソーシャルメディアといった有利な立場にあるテーマでポジションを構築しています。その結果、設定来、年初来ともに、S&P 500やMSCI ACWIなどのインデックスをアウトパフォームしています。