次のビッグテーマ(グローバル):2025年11月
ブロックチェーン
ブロックチェーン基盤とAIの融合が進み、収益源が多様化
最近のブロックチェーンの勢いを牽引する主要な要因でありながら十分評価されていないものとして、ブロックチェーン向けインフラとAI開発基盤の急速な融合が挙げられます。高性能コンピューティング(HPC)への需要が高まり、従来のデータセンターだけでは処理能力が追い付かなくなってきました。そのような中で、ビットコイン採掘企業がもつインフラを、AI向けに活用する動きが出てきました。例として、2024年10月には米データセンター建設及び運営会社のサイファー・マイニングがアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と15年間にわたる55億ドル(約8,500億円)規模のリース契約を結び、AI処理向けに300メガワットの設備を提供することになりました。このプロジェクトには空冷ラックと液冷ラックの両方が含まれ、2026年7月から2段階で設備が納入される予定で、リース料金の支払いはその翌月から開始されます1。また、アプライド・デジタルも、米国内のハイパースケーラー企業(企業名は非公開)と50億ドル(約7,800億円)にわたる15年のリース契約を締結し、ノースダコタ州にあるAIデータセンターキャンパスを提供することになりました。これは、同社が従来のブロックチェーン専用インフラ中心の事業から、拡大し続けるAIやHPCの需要に対応する方向へと戦略を転換しつつあることを浮き彫りにする重要な一歩です2。
人工知能
AIインフラ投資が世界的な基盤整備を加速
OpenAIはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と最大7年間にわたる380億ドル(約5.9兆円)規模のクラウドサービス利用契約を結びました。これは、最近組織再編を行ったOpenAIにとって、インフラ面で大きな前進となります。この契約により、OpenAIはAWSのデータクラスターを通じて数十万台規模のエヌビディア製GPUへアクセスできるようになり、巨大モデルの学習や推論を大規模に実行することが可能になります。導入は2026年末までに完了する予定で、状況によっては2027年以降も拡張される可能性もあります。AWSにとっても、本契約は自社のクラウド計算能力が高く評価されたことを裏付け、投資家からの信頼向上にもつながっています。一方で、OpenAIは最先端AIの拡大を目指しており、約1.4兆ドル(約220兆円)のコンピューティングリソース投資を計画しており、同社の試算によるとこの金額は米国の数百万世帯に電力を供給できる規模に相当します3。今回の契約は、OpenAIが従来の主要パートナー企業への依存を弱め、より独立した運営体制を築きながらAI分野で主導権を握ろうとしている戦略転換を表すものでもあります。
サイバーセキュリティ
イノベーションはAIエージェントを中心に進化
パロアルトネットワークスは、クラウドセキュリティをAIで自動化する大きな一歩として「Cortex Cloud 2.0」を発表しました。このプラットフォームには、実際の環境から集めた12億件の応答データで訓練された多数の自律型AIエージェントが搭載されています。そのため、これまで時間がかかっていた複雑なクラウド脅威の調査や解決をわずか数分で実行できるようになり、結果として、セキュリティチームはより重要な業務に専念できるようになります。また、クラウドの設定管理と実行時セキュリティを統合する新しいクラウド・コマンド・センターにより、企業は一つの画面で全体を可視化し、優先順位に沿ってリスク対応を進められるようになりました。さらに、性能を最適化したクラウド脅威検知・対応エージェントは従来よりも最大50%少ないリソースで稼働することができ、企業での大規模な導入もこれまで以上に現実的になりつつあります。そして、新たに追加されたアプリケーションのセキュリティ体制管理モジュールにより、開発段階で脆弱性を発見・修正でき、リリース後に問題が発覚するリスクを減らせるようになりました4。これらを総合すると、サイバーセキュリティは手作業での監視から、AIによる自律的で大規模な防御体制へと進化しつつあることが分かります。クラウドリスクが増大して複雑化するなか、こうしたAI主導の革新は企業がインフラを守る方法を大きく変えています。
データセンター&デジタルインフラ
テック大手がけん引し、AIデータセンターの建設ブームが加速
10月に大手テック企業がデータセンターへの投資を大幅に増加したことで、AIインフラの建設ブームが本格化しました。メタは、テキサス州エルパソに15億ドル(約2,300億円)を投資し、新しいデータセンターを建設すると発表しました。AI向け処理に対応した同データセンターは最終的には1ギガワット規模にまで拡張できる計画で、米国でも最大級のデータセンターキャンパスの一つになります5。また、OpenAI、オラクル、ソフトバンクグループが手掛けるインフラ構想「スターゲート」では、テキサス州アビリーンの拠点が全米6か所で計画される複数ギガワット規模のデータセンター開発の中核になると発表されました。また、オラクルはテキサス州とウィスコンシン州での事業拡張に向けて、380億ドル(約5.9兆円)規模の記録的な負債調達に近づいていると報じられています6。一方、マイクロソフトの最新の四半期決算では、同社が111億ドル(約1.7兆円)をデータセンターのリースに支出したことが明らかになりました。同社は2025年度末時点で400以上のデータセンターを保有しており、2026年度までにAI処理能力を80%以上増強し、さらに今後2年間でデータセンター規模を概ね倍増させることを検討しています7。
米国インフラ
マイクロンの巨大半導体工場、米国インフラの重要な節目に
マイクロン・テクノロジーは、ニューヨーク州オノンダガ郡にある1,400エーカー(約6平方キロメートル)の敷地で計画している総額1,000億ドル規模(約15.5兆円)の半導体製造工場(メガファブ)に向け、重要な承認を取得しました。ニューヨーク州公共サービス委員会は、既存の変電所とマイクロンの新工場をつなぐ、8つの枝線付きの2マイル(約3キロメートル)、345キロボルトの地下送電線の建設を承認しました。この承認により、州史上最大の民間投資プロジェクトに立ちはだかっていた大きな障害が取り除かれ、建設開始に向けた準備が大幅に前進します。このプロジェクトにより、マイクロンで約9,000人の直接雇用が生まれるほか、数万人規模の建設労働者の雇用、さらに今後数十年で5万人以上の地域の恒久的な雇用が創出される見込みです。また、地域経済への効果は2041年までに160億ドル(約2.5兆円)超に達すると試算されています。より大きな視点で見ると、今回の動きは電力供給や公共インフラなどの大規模な基盤整備が製造業の成長を後押しし、米国全体のインフラ投資をさらに加速させていることを示す象徴的な例だと言えます8。
クリーンテック
世界の気候テック投資が急増
気候テック分野では、ここ数年続いた投資低迷から反転し、再び資金流入が加速しています。2025年の第1から第3四半期に、クリーンエネルギー、蓄電、電気自動車(EV)などのクリーンテクノロジーへの世界全体の投資額は560億ドル(約8.7兆円)に達し、2024年通年の510億ドル(約7.9兆円)をすでに上回っています。特に注目されるのは、原子力関連がベンチャー投資全体の約2割を占めた点で、これはAIの普及による電力需要の急増が背景にあります9。投資動向も変化しており、従来の排出削減中心の視点からコスト競争力、規模拡大、地政学的なエネルギーインフラへと焦点が移ってきています。また、投資家動向は気候変動対策だけでなく、国家安全保障やエネルギー自給といったテーマにも寄っており、大手機関投資家はクリーンエネルギー転換向けに大規模な資金を集めています。更に、エネルギー貯蔵、水素、原子力、EVなど、技術領域の広がりは気候テック分野が成熟し、多様化していることを反映しています。
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