次のビッグテーマ(グローバル):2025年4月

防衛テクノロジー

スウェーデン、防衛費の増額に動く

スウェーデンは国防費を300億ドル増額し、国内総生産(GDP)に占める国防費の割合を現在の2.4%から2030年までに3.5%に上げる計画を発表しました。この増額は、欧州の安全保障に対する米国の支援が減少することへの懸念から、スウェーデンが冷戦以来実施する最大の再軍備の一環です。また、スウェーデンはウクライナへの2025年財政援助予算を250億クローナ(約3,700億円)から400億クローナ(約5,900億円)に増額しました。これらの取り組みに資金を供給するため、スウェーデン政府は2035年までに3,000億クローナ(約4.4兆円)の融資を調達する計画であり、これらの動きは、安全保障の課題の対応として軍事費を増加している欧州連合(EU)諸国の幅広い傾向と一致しています。一例として、ドイツは国防予算を大幅に増額し、第二次世界大戦後初めてリトアニアに軍隊を常駐させています1

米国インフラ

米国、過去最高のインフラ評価を獲得

米国土木学会(ASCE)は、4年ごとに発行している「米国のインフラに関する報告書」の2025年版を発表しました。2025年版の総合グレードは、2021年版の「C-」から「C」に改善しました。これらは、連邦政府および州政府の資金援助が増加したことで、いくつかの分野におけるグレードが上がったことが背景にあり、「C」は1988年にASCEが報告書を発行し始めて以来、一番高い総合グレードにあたります。しかし、最新の報告書では、米国のインフラをBグレード(許容可能レベル)まで改善するためには大規模かつ持続的な投資が必要であることが強調されました。中でも、エネルギー、航空、交通、道路、ダム、下水道の各分野における今回のグレードは「Poor, At Risk」(欠陥・リスクあり)のDグレードで、注目が必要であることを示唆しています。ASCEは、米国がインフラ資産の質を向上させるためには、今後10年間で9.1兆ドル(約1,300兆円)が必要であると見積もっており、投資ニーズが最も高い分野は、エネルギー、道路、学校、下水、飲料水などです2

人工知能

製品と収益の競争におけるAIプレーヤー

エヌビディアは、毎年恒例のGTC AIカンファレンスにおいてAIアプリケーションへの需要が高まる中、これまでで最も強力なAIチップである「Blackwell Ultra」と「Vera Rubin」を発表しました。今年後半にリリース予定の「Blackwell Ultra」は、現行モデルよりも50%性能が向上しています。2026年にリリースが予定されている「Vera Rubin」プラットフォームはさらなる進化を遂げ、2027年にリリースされる「Vera Rubin Ultra」は「Blackwell」の14倍の演算性能を提供できると言われています3。民間のベンチャーに関しては、OpenAIによる自社製品の採用が急拡大していることから、売上高が2024年の37億ドル(約5,300億円)から2025年には127億ドル(約1.8兆円)へと3倍になると見込んでいます。今年の3月には、OpenAIはChatGPTで画像編集やテキストレンダリング、空間表現を強化した新しい画像ジェネレーターを展開しました4。また、OpenAIの競合であるAnthropicの年換算売上高は3月に14億ドル(約2,000億円)に達し、2024年末の10億ドル(1,400億円)から40%増加し、この成長率で計算すると、Anthropicの2025年の売上高の予測は20億ドル(約2,800億円)から40億ドル(約5,700億円)の間になります5

ヘルステック

生成AI、医療文書作成作業の助っ人に

肥満症治療薬オゼンピックの製造元であるノボ ノルディスクは、生成AIを使用して医薬品文書作成プロセスを変革しています。Anthropicによる2023年秋のAIモデル「Claude 3.5」導入後、ノボ ノルディスクは薬事関連文書の作成に必要な時間を15週間から10分未満に短縮することができました。以前は50人以上の従業員が取り掛かり、作成に数か月かかっていた文書が今ではわずか3人で、且つ数分で管理できるようになりました。更に、ノボ ノルディスクは、医薬品承認のための臨床試験報告書の作成を迅速化できただけでなく、過去に承認された製剤を再利用する技術「RAG(Retrieval-Augmented Generation、外部から取得した情報で生成AIモデルの精度を向上させる技術)」により、エラーを最小限に抑えられています。更に顕著なのは、ノボ ノルディスクはこれらのテクノロジーを導入する一環で人員を削減しておらず、その代わりに、企業全体の効率向上のために人員配置を行っています。このような生成AIの導入は、ヘルスケアにおける重要なプロセスの合理化、イノベーションの加速、そして最終的には患者ケアの改善に役立つことを示しています6

サイバーセキュリティ

AIの導入拡大でサイバー投資が増加

グーグルはイスラエルのクラウドセキュリティスタートアップ、Wizを320億ドル(4.6兆円)で買収することで合意に達し、本取引はグーグル史上最大の買収となりました。Wizは2020年に設立され、わずか18か月で1億ドル(約140億円)の年間経常収益(ARR)を達成しました。今ではサイバーとAIの脅威に後押しされ、2024年にはフォーチュン100のリストに掲載されている企業の40%以上にサービスを提供し、ARRは5億ドル(約710億円)に達しました7。AIのワークロードには拡張性と耐障害性に優れたクラウド環境が必要であり、クラウド市場ではセキュリティが重要な差別化要因となっています。今回の買収は、こうした進化する需要への大きな対応であり、グーグルのセキュリティ体制を強化し、ますます複雑化するニーズを持つ企業顧客にアピールするものです。また、AIが業界全体のデジタル変革を加速させる中、買収、提携、インフラ投資を通じてクラウド提供を強化しようとする大手ハイテク企業の幅広い傾向を反映しています。

グローバルインフラ

世界的にインフラ投資が増加中

ドイツは、エネルギー、交通、デジタルネットワークの近代化を目的として、今後12年間で投資される5000億ユーロ(約81兆円)の特別インフラ基金を設立しました。この取り組みは通常の債務制約を超えてインフラへの追加投資を可能にするもので、特に温暖化対策とエネルギー・ネットワークなどの州レベルのプロジェクトに1000億ユーロ(約16兆円)が割り当てられます。この基金はあくまでも補完的なものであり、各会計年度の歳出の10%以上は連邦予算から支払われていることを義務付けています8
同様に、インド政府は2025年度予算で、資本支出に11.5兆ルピー(約19兆円)以上を割り当て、景気回復を促すためのインフラ整備に重点を置いています。これには、都市再開発プロジェクトを支援するための「₹1 lakh crore Urban Challenge Fund」の設立も含まれています。同予算も鉄道、高速道路、港湾への多額の投資を通じて、交通インフラにおける連結性を強化することにも重点を置いています9

関連ETF

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SHLD - グローバルX 防衛テック ETF

PAVE - グローバルX 米国インフラ関連 ETF

AIQ - グローバルX AI&ビッグデータ ETF

223A - グローバルX AI&ビッグデータ ETF

178A - グローバルX 革新的優良企業 ETF

HEAL - グローバルX ヘルステック ETF

BUG - グローバルX サイバーセキュリティ ETF