コモディティ・キャッチアップ:インフレに備える資産として注目されるコモディティ

インフレは誰もが毎日直面する数少ないリスクでありながら、多くの投資家は自身のポートフォリオに対する影響を過小評価しがちです。物価上昇が加速すると、さまざまな資産に影響が及びます。中央銀行は金融引き締めを進め、資本コストが上昇し、その結果、株式と債券が同時に下落する可能性があります。これにより、伝統的な60/40ポートフォリオ(60%株式・40%債券)は期待される分散効果を十分に発揮できなくなることがあります。
グローバルXは、こうしたインフレ・ショックが予測できないという点こそが重要だと考えています。次のショックを予測しようとするのではなく、投資家はインフレの発生源そのものである資産、すなわちコモディティを保有することで、ポートフォリオの耐性を高めることができます。

インフレはポートフォリオにとってどれほど大きなリスクか?

インフレは現在の金融市場における最も重大なリスクの一つであり続けています。インフレが加速すると、中央銀行は通常、政策金利の引き上げを通じて金融環境を引き締めざるを得ません。資本コストの上昇は、企業の成長を抑制するだけでなく、バリュエーション(PER)の低下を通じても、伝統的な資産に圧力をかけます。1970年代には、継続的なインフレ圧力により、株式や債券などの伝統的資産で長期間にわたり実質リターンが低迷しました。さらに最近では、2022年の物価急騰が、米連邦準備制度(FRB)による数十年ぶりの最も積極的な引き締めサイクルを招き、株式と債券の双方で二桁の下落をもたらす一因となりました1。今後も、供給面の混乱やコモディティ価格の変動は常に存在するリスクであり、誰にもこれを予測することも、タイミングを捉えることもできません。この本質的な予測困難性と、それによって引き起こされる突然のインフレこそが、まさにポートフォリオにおける分散が不可欠である理由です。

コモディティはインフレ・ヘッジになるか?

過去の実績を見ると、コモディティはインフレ局面で資産価値を守る役割を果たしてきました。米国の消費者物価上昇率が加速した年のおよそ70%で、コモディティ価格は上昇しています2。その理由は、「実物資産」としての性質にあります。コモディティが現実の需給の影響に直接さらされており、その需給の不均衡こそがインフレの原因となることが多いためです。また、米ドル安はインフレ要因となる可能性があり、米ドル建てで取引されるコモディティの価値にとっては追い風となります。その結果、ポートフォリオにコモディティを組み入れることで、歴史的にはリスク調整後リターンの向上につながってきました3。端的に言えば、コモディティは私たちの日常生活を根本で支えています。エネルギーは私たちの移動手段を支え、家庭の冷暖房にも利用されます。農産物は食料を供給し、金属は私たちが日々利用する電力を生み出し、送り届ける役割を果たします。誰もが毎日こうしたコストを負担している以上、インフレから資産を守る最も直接的な方法の一つは、その背景にある資産、すなわちコモディティを保有することだとグローバルXは考えます。

注目すべきポイント

  • ガソリン代:燃料価格の上昇に備える方法は?米国のガソリン価格は、過去5年間で2度目となる地政学的要因による価格ショックを経験し、世界のエネルギー供給の脆弱性に対する懸念が改めて高まっています。こうした価格変動が問題となるのは、ガソリン代が家計支出の相当な割合を占めており、エネルギー価格の上昇が家計に重い負担をもたらすためです。また、エネルギー価格は幅広いインフレに先行する傾向があり、家計だけでなく企業収益や株式のバリュエーションにも下押し圧力を与えます。このように、エネルギー価格の上昇は家計にも金融市場にも影響を及ぼすため、エネルギー資産はインフレ・ヘッジとして機能する可能性があります。エネルギー価格の上昇に備える最も効果的な方法は、関連資産を保有することだとグローバルXは考えます。また、先物を活用した戦略では、ガソリンや軽油(ディーゼル)などの石油製品に対して、より直接的なエクスポージャーを得ることが可能です。

  • 食料品価格:食品価格の上昇にはどう備える?農産物市場では、供給面の課題が強まりつつあり、今後の価格上昇要因となる可能性があります。肥料市場は、中東地域における供給混乱の影響を受けやすく、主要生産地域全般にわたって収穫量や作付け判断に影響を及ぼす可能性があります。また、「スーパー・エルニーニョ」が発生する可能性も指摘されており、干ばつや洪水などの異常気象によって世界の農作物生産が打撃を受けるリスクも高まっています。一方で、投資家が株式を通じて農産物へのエクスポージャーを得る選択肢は限られています。先物を活用した戦略は、農産物価格の上昇によるインフレをヘッジする手段となり得ますが、その一方で運用には複雑さが伴い、ロールイールド(限月の乗り換え・ロールオーバーに伴う損益)の影響も受けるため、アクティブな運用アプローチが望ましいと考えられます。

  • 安全資産としての貴金属:貴金属は依然としてヘッジ資産なのか?ホルムズ海峡の封鎖が始まって以降、貴金属は市場の予想とは異なる値動きを見せてきました。歴史的に「安全資産」とされてきた金は、地政学リスクの高まりにもかかわらず、相対的に伸び悩む展開となりました。グローバルXはこの原因を、市場が今回のエネルギーショックによる長期的な供給混乱を織り込んでいないことためであると考えています。株式が最高値をつけ、米国債利回りが上昇するなかでの金のパフォーマンスは、市場が今回のショックを一時的なものと捉え、長期的な景気減速よりもインフレ加速のリスクを重視していることを示唆しています。今後を展望すると、エネルギー価格の大幅な下落は、インフレを抑制する強い要因となる可能性があります。その結果、インフレ鈍化(ディスインフレ)が進めば、米連邦準備制度理事会(FRB)がより緩和的な金融政策へ転じる余地が生まれ、実質金利が低下する可能性があります。こうした環境は、歴史的に金価格にとって追い風となってきました。

まとめ

インフレは、従来型の60/40ポートフォリオにとって、依然として最も重大なリスクの一つです。株式に対しては企業収益とPERの両面から圧力を加え、同時に債券の実質リターンを目減りさせます。コモディティは、こうしたリスクに対する有力なヘッジ手段となり、株式と債券の伝統的な相関が崩れるまさにその局面で分散効果をもたらします。コモディティへの幅広いエクスポージャーを得る手段としては先物取引が最も有効ですが、そのメリットを十分に享受するためには、ロールイールドによる下押しや、ポジションを維持するための運用上の仕組みを考慮し、アクティブ運用が必要となる場合があります。そのため、グローバルXでは、インフレに備えるための資産配分の選択肢の一つとしてコモディティが挙げられると考えています。

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